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第十八話:決定打

その瞬間、正面玄関が轟音と共に開け放たれた。


もうもうと立ち込める煙を切り裂き、防火服とヘルメットに身を包んだ人影が飛び込んでくる。消防隊だ。


「救助に来ました!」隊員の一人がタマラ・パヴロヴナ先生のもとへ駆け寄り、ナイフの一閃で拘束を解いた。「状況を簡潔に! 二階、三階、四階に人は?」


「ええ、います!」教頭は痺れた手首をさすりながら叫んだ。「私たちと同じように縛られています!」


隊員は仲間に頷いた。


「一班、上へ! 残りは避難誘導だ!」


消防隊は迅速だった。人質を解放し、動けない者を抱え上げ、燃え盛る校舎から外の空気へと運び出していく。


外では、校舎は巨大な松明のように炎上していた。


放水車のホースから強力な水流が窓へ叩きつけられるが、炎はさらに激しく咆哮し、抵抗していた。


同時刻、「グロズヌイ・ハンター」の残党たちは裏口のドアを蹴破っていた。都会の雑踏に紛れて姿を消す算段だった。


だが、そこには罠が張られていた。


外へ出た瞬間、数十台のパトカーの赤色灯が彼らの視界を焼き尽くした。特殊部隊スペツナズが半円形に展開し、出口に照準を合わせている。


「武器を捨てろ! 両手を頭の後ろへ組め!」


メガホンで増幅された警視の声が、サイレンの音をもかき消した。


「貴様らを学校占拠および放火の容疑で逮捕する!」


賊たちは凍りついた。逃げ場はない。


「分かった、分かったよ……」エイツが重い溜息をつき、ゆっくりと指を開いた。「降参だ。野郎ども、武器を捨てろ。抵抗しても死ぬだけだ……」


アサルトライフルが乾いた音を立ててアスファルトに落ちる。特殊部隊員たちが即座に彼らに襲いかかり、地面にねじ伏せて手錠をかけた。


「クッソ……いてぇ……これで三発目だぞ、畜生……」


ラミレンは歯を食いしばりながら、ズタズタになった脚から最後の鉛の欠片を血まみれの指で引き抜いた。


そして、信じられないことが起きた。


出血が止まった。傷口が目に見る速さで塞がり始めたのだ。早回しの映像を見ているようだった。


再生リジェネレーション……? 直ってる……マジかよ……」


ラミレンは壁に寄りかかり、その光景を見つめて呟いた。


「俺の足が再生してる……まあ、痛みが消えるわけじゃないけどな……」


校舎が崩落の衝撃で震えた。煙は濃くなり、呼吸をするのも困難になってきた。


「ここを出ないと。天井がもう限界だ、空気もない。脱出しなきゃ」


彼は苦痛に顔を歪めながら立ち上がり、再生した足の具合を確かめた。


「でもその前に、学校に残ってる人を助けないと」


ラミレンは教室の出口へと足を踏み出した。


一歩廊下へ出た瞬間、視界が痛みの閃光で埋め尽くされた。


重い拳が鼻に直撃したのだ。軟骨が砕ける音が、火災の轟音の中でもはっきりと聞こえた。


ラミレンは後ろへ吹き飛ばされ、床に叩きつけられた。反射的に左手で顔を押さえる。指の間から血が溢れ出した。


「クソッ……なんだ……? 一体誰だ……?」


呻きながら顔を上げる。


目の前にハンターが立っていた。マスク越しの瞳は、氷河のように冷徹だった。


「お前は……学校を占拠したリーダーか!」ラミレンは彼を認識した。


怒りが痛みを麻痺させた。ラミレンは跳ね起き、左ストレートを敵の顔面へ叩き込もうとした。


ハンターは微動だにしなかった。彼は気だるげに、ほとんど退屈そうに、右腕だけでその一撃を受け止めた。


続けてラミレンの襟首を掴んで引き寄せ、渾身の力で腹部に拳をねじ込んだ。


ヒュッという音と共に肺から空気がすべて絞り出される。


少年が体勢を立て直す隙も与えず、ハンターは彼を壁へと投げ飛ばした。漆喰が雨のように降り注ぐほどの衝撃だった。


「ぐっ……お前、ただじゃおかないぞ……」


ラミレンは血を吐き捨てて言った。


彼はまた立ち上がった。意地でも屈したくなかった。


「だがまずは人を助ける……学校中が燃えてるんだ……」


彼は敵の脇をすり抜けてドアへ向かおうとした。


ハンターの反応は神速だった。


強烈な右の前蹴りが、ラミレンの顎を正確に捉えた。首が跳ね上がり、視界が暗転する。少年は吹き飛び、背中から机の上に落下して、自重で家具をへし折った。


「どこへも行かせん」


ハンターは氷のような声で宣告した。


「安心しろ、消防隊はもう来た。建物の中の人間は恐らく救出されただろう。ここに残っているのは、俺とお前だけだ」


彼はゆっくりとラミレンに近づき、とどめの一撃のために拳を振り上げた。


ラミレンは背中の激痛に耐え、コンマ一秒の差でそれを避けた。ハンターの拳が、残っていた机の破片を粉々に砕く。


「目的は何だ?!」這って逃げながらラミレンが叫んだ。「学校を占拠する意味は?! 何を探してこんなことをしたんだ!」


一瞬の隙を突き、彼はハンターのジャケットの襟を掴んで引き寄せ、渾身の頭突きを見舞った。


ドゴッ、と鈍い音がする。


ハンターがよろめく。ラミレンはすかさず左足で胸を蹴り、敵を壁際へ突き飛ばした。


ラミレンは右へ飛び退き、距離を取った。


「何のためにここにいるか、知りたいか?」


ハンターは頭を軽く振った。頭突きなど軽い不快感に過ぎないと言わんばかりに。


「お前のタリスマンだ、小僧」


彼は人間離れした速度で突進した。


手袋をはめた手が鋼鉄の罠のようにラミレンの喉に食い込み、彼を壁に押し付け、床から吊り上げた。


「お、俺の……タリスマン? な、何に使う気だ?」


ラミレンは足をバタつかせ、呻いた。両手で首を絞める指を引き剥がそうとするが、びくともしない。


「何に使うかなど、お前が知る必要はない。どうせすぐ死ぬんだ」


ハンターが指に力を込める。喉の骨が軋んだ。


「ク、ソ……こんなところで……死んでたまるか……」


酸素が尽きる。意識が黒い渦の中へ沈みかけていた。


(本当にこれで終わりなのか……)


消えゆく意識の中で、思考が走る。


そのとき、ブレスレットが死の危機に反応した。


ラミレンの両目が、鮮烈な青い光を放って燃え上がった。


「嫌だ! まだ死ねない!」


力の波動が血管を駆け巡る。ラミレンは獣のような唸り声を上げ、首に巻きついたハンターの手を引き剥がした。


湧き上がる力を感じ、すべてを一撃に込め、ハンターの顎を殴り抜いた。


凄まじい威力だった。リーダーの体は宙に浮き、数メートル先の廊下の奥へと弾き飛ばされた。


「力が……みなぎってくる……」


ラミレンは拳を握りしめ、体内で唸りを上げるエネルギーを感じていた。


ハンターは起き上がり、切れた唇から流れる血を拭った。


「俺はタリスマン・ハンターだ……。そのタリスマンは俺のものだ!」


彼はホルスターから異様な形状の武器――巨大なエネルギー・キャノンを抜き、引き金を引いた。


ラミレンは本能的に横へ飛んだ。


銃口が閃光を放ち、凝縮されたエネルギーの奔流が空間を貫いた。それはラミレンの背後の壁を直撃し、巨大な穴を穿ち、断面を溶かして煙を上げさせた。


(あれが当たってたら即死だった……)


思考を終える間もなかった。


ハンターはすでに間合いを詰めていた。その手には長い金属のスタッフが握られていた。


重い一撃が腹を薙ぎ払う。


ラミレンの体は宙を舞った。衝撃のあまり、彼は壁に開いた大穴から外へ弾き出された。落下する。


一瞬の躊躇もなく、ハンターも後を追って飛び降りた。


空中で、自由落下の最中に、殺し屋は巧みに身をひねり、ラミレンの腹部にもう一撃を加えた。


ラミレンは校庭の硬い土の上に背中から叩きつけられた。衝撃で肺が潰れそうになる。


ハンターは猫のように音もなく着地し、すぐに倒れた少年に襲いかかった。


「背中が……何度目だよ、クソ……」


ラミレンは焦点を合わせようとあがいた。


「あのイカレ野郎、四階から飛び降りて無傷かよ? 本当に人間か?」


立ち上がろうとしたが、ハンターのスタッフが顎を打ち抜いた。


地面に血が飛び散る。


ラミレンはよろめきながら右のパンチを繰り出したが、ハンターは左手一つでそれを止めた。


そこからは一方的な蹂躙だった。


腹への突き。肋骨への打撃。胸への強打。


ラミレンは崩れ落ちた。もう立つ力はなかった。


一撃ごとに骨が軋む音がする。自分の血で窒息しそうだ。視界は赤い霧に覆われていく。


だがその瞬間、絶望が純粋なエネルギーへと変換された。


ラミレンの両目が、かつてないほど激しく青く燃え上がった。


残った全精力を右手に集める。腕が光り、唸りを上げる。


ハンターがとどめの一撃を振りかぶった瞬間、ラミレンは右手を突き出した。


圧縮された青い運動エネルギーの塊が掌から放たれ、ハンターの腹部を直撃した。


肉が弾ける、湿った音がした。エネルギーの密度があまりに高く、ハンターの内臓は圧力に耐えきれずに破裂したのだ。


殺し屋は壊れた人形のように数メートル吹き飛び、土煙を上げて倒れ込み、動かなくなった。


ラミレンはどうにか体を起こし、ふらつきながら立ち上がった。


足を引きずり、倒れた敵に近づく。


「ハッ……血まみれじゃねえか……」


彼はハンターの虚ろな目を見下ろして言った。


「自分の血で溺れてる気分はどうだ? ああ? くたばりやがれ、クソ野郎」


激情が理性を飲み込んでいく。


ラミレンは足元に転がっていたハンターの金属棒を拾い上げた。


「俺を殺したかったんだろ!? なあ!? 殺したかったんだよな?!」


金属が顔面に振り下ろされる。


「くたばったのはテメェだ!」


彼は死体の顔を殴り続けた。この終わらない一日のすべての恐怖、すべての痛み、すべての絶望を吐き出すように。


一分後、荒い息をつきながら、彼はようやく自分が死体を殴り続けていることに気づいた。

あとがき


ご愛読ありがとうございました!

このシーンでのラミレンの感情をどう表現すべきか悩みましたが、最終的に「生き残るための必死な姿」を描くことに決めました。

彼もまた、多くの少年と同じように、ただ生きるために全力を尽くしたのだと思います。

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