表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が描いた絵が62億円で落札された‥だと!?  作者: 角山亜衣
第2部 結城編④

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/36

2-10.静寂の丘に響く銃声

「イケガミー、もっと嬉しそうに!……ほら、こっち見て? 撮るわよー♡」


 峰岸さんの陽気な声が、ベラト旧市街の石畳に響く。


 池上さんは、真鍋に腕をホールドされて引きつった笑みを浮かべている。


 背後には、斜面に折り重なるように並ぶ白壁の家々、『千の窓』と呼ばれる風景が広がっている。


「はい、今度はシロくんとあたしね♡ 凛ちゃん撮ってー♪」


「(あの、峰岸さん、俺ら、浮いてないっすか?)」


「このぐらいのテンションが普通よぉー。見て、この絶景! アガるわよねぇ!?」


『昇くーん、撮るわよー、はぁい♡…………次! 次はあたしと!』


「諦めろ、シロー。アイツらぁ、俺にも止められねぇ」


「ほら、昇くん、ハート作って、ハート♡」


 池上さんはサングラスを指で持ち上げ、遠くの坂道をチラっと一瞥した。


 浮かれた観光客を装っている峰岸さんも、きっと全て計算された行動なのだろう。


「今夜は、この辺りで宿を探しましょうか。夜景もすっごく綺麗なのよ?」

「賛成ですぅ~♡」


「え、凛ちゃん?……荒木さんとこ、戻らなくて平気なの?」


「いいの! だって、蒼司くんって観光には興味ないって言うし、昇くんたちと一緒の方がぁ、冒険旅行って感じで、すっごく楽しいんだもん♡」


 真鍋の行動は、つくづく理解に苦しむ。


「……この際、ハッキリ聞くけど……俺たちのこと”監視”してるよね?」


「でも、”信じて”くれるでしょ? あたしのこと」


 でた。

 何人もの男子たちを虜にしてきた(かもしれない)必殺の”上目遣い”──。


「ま、いんじゃねぇのか? どうせ見張られてるんなら、どこに居ようと構やしねぇよ。もし害になるようなら、ヤルまでだ」


「もう~イケちゃん、コワいよぉ~。あたしは、みぃ~んなで楽しくしてたいだけなんだってばぁ~」


(今回も、このパターンか。でも、アイスランドでは結果的に助けられたみたいだし……う~ん……いいのかなぁ……)


「あ! この宿、おススメな感じよ? 連絡してみるわね~」


(……峰岸さんはマイペースだなぁ~)


 ・

 ・

 ・


 でも、ベラトの夜景は、聞いていた以上に最高だった。

 俺たちは、普通の観光客として、飲んで食べ歩いて、ベラトの夜を満喫した。




◇ ◇ ◇




 翌日──


「高橋くんから連絡があったわ。残念ながら、今回も行き違いね……。寺島くん、三日前の便で、この国を出ていたみたい」


「ああー……まぁ、想定はしてましたからね。仕方ありません。次の行先までは?」


「日本に帰ったみたいよ。空港の映像もあるので確定情報ね。どうする? あたしたちもすぐ帰国する?」


 寺島さんの『Diffusix 5』を狙う輩がいる以上、一日でも早く寺島さんに接触したいところではある。


 あるのだが──


 目をうるうるさせながら、俺の顔を覗き込む小悪魔たち。


(真鍋はともかく、峰岸さんまで……完全に感化されちゃってるだろ)


「えーっと、寺島さんが滞在していた場所の目星はついているので、そこ行ってみてから帰りましょう。何か残していってるかもしれないし、何もないかもしれないけど……彼がどんな景色を見ながら『Diffusix 5』と向き合っていたのか、感じ取っておきたいかなって思っ…………な、なんすかっ!?」


 峰岸さんが顔を近づけてくる──ち、近いっすよ!


「シロくん、”言うこと”が寺島くんっぽくなってきてなぁい? 狂気の動画にアテられて感化されちゃっのかなぁ?」


(………………)


「寺島くんのことなら大丈夫よ。高橋くんに探してもらってるし、いざとなったら警護も頼んであるから心配しないで」


「え? タッカーさんて、”そっち”もイケる人なんですか?」


「ううん? 餅は餅屋。荒事は専門業者に、よ。さ、それじゃ、さっそく出かけましょう♪ ベラト観光~♡」


「わぁ~い♪ 行きましょう~♡」


 やれやれ──


「凛ちゃん、荒木さんに連絡は?」


 言ってて妙な感覚。

 俺たちを武力行使で捕縛することも出来る連中に、こちらの動向を連絡する?

 真鍋の雰囲気に飲まれて、完全に危機感を無くしている。


(気を引き締めてかなきゃ……)


「蒼司くんたち、先に日本に帰るって。蒼司くんの仲間にも、”何でも”わかっちゃう人がいるんだよぉ」


「え……」


(そうだった。奴らの目的は、俺じゃなくて寺島さん。『Diffusix 5』だ。イミルナータの男も、寺島さんの足取りが掴めずに俺をマークしていたはず。俺が動いたことで、寺島さんへの足掛かりになって……もしかしたら、イミルナータも日本へ……)


「シロくん、大丈夫よ。タッカーを、信じて」


「……はい。信じないわけじゃないけど、明日には日本へ帰りますよ。まずは、寺島さんが滞在してたと思しき、丘の上の古い寺院へ向かいましょう!」




◇ ◇ ◇




 観光エリアからは外れて、舗装も不完全な坂道を登っていく。


 道の両脇には風にそよぐオリーブの木々。

 その間を縫うように、俺たちは丘の上の寺院を目指す。


「ふふん♡ 街の中と違って、これはこれで……あれぇ? 木の陰に人がいるよぉ~?」


「(ああ、ちと分が悪いかもしんねぇなぁ)」


 池上さんが呟く。


 目的の寺院が見えてきた。


 すると、寺院の入口から、黒いジャケットの男が現れた。

 ティラナの街で俺たちを尾行つけてきた男だ。


『Bolje ti je da pođeš s nama, bez otpora.』


 何語かはわからないけど、穏やかじゃないことだけはわかる。

 手には銃を持っているのだから──


「(チッ)E kupton shqipen? Nuk do të bëj rezistencë. Të lutem, ul armën.」


 舌打ちして、何語かを喋りながら前に出る池上さん。


 黒いジャケットの男が頷いて、ピュイ♪ と口笛を鳴らす。

 

 すると、周辺の木の陰から黒い布を纏った男たちがぞろぞろと──全部で四人。

 全員マシンガンぽいのを持っている!


 これはマズい状況だよな!? マジで!

 平和ボケ、緊張感の欠如、思考が追いつかない。


 プランだ。プランを────いや、無理だよっ!


「(昇くん……)」


 真鍋が腕にしがみついてくる。震えているのは真鍋? それとも俺?


 このまま拉致られて、拷問された挙句に殺されてしまうのだろうか──


 思考が停止しかけた時、


 1発の銃声が響き渡った。


【タァ──ンッ】

読んで頂き、ありがとうございます!

「★★★★★」「ブックマーク」「いいね」頂けると嬉しいです!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ