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俺が描いた絵が62億円で落札された‥だと!?  作者: 角山亜衣
第2部 結城編③

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2-4.予期せぬ再会

 真鍋 凛(まなべ りん)……大学で出会った、天然ゆるふわ系の女子だ。


 感情をオモテに出すことが苦手なのか、いつもおっとりとした口調で場を和ませてくれていた。

 そんな彼女を心配してか、椿ちゃんはいつもそばにいた。


「久しぶりぃ~。三か月ぶりくらい? かなぁ?」


「ぁ……えっと…………」


 落ち着け。落ち着いて、深呼吸して、

 プ、プランだ。プランを、構築するんだ──


(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいっ! 絶対におかしい! この場所に、彼女がいるなんて、ありえない! 峰岸さんが得た情報ではパリに……芹沢さんが殺された時、彼女は荒木さんと一緒にパリにいた可能性が濃厚だったはずだ。その後の足取りが掴めていなかった彼女が、なぜ今、目の前にいる? 偶然? そんなわけない。120%ありえない! 尾行つけられていた? 監視されていた? 何のために? 俺を殺しにきた? なぜ? 金を奪いにいきたのか? だったらすぐには殺さずに……拉致られて拷問!? そうだ、荒木さんだ! 彼も近くにいるはずじゃ……)


「……昇くん? 廊下、寒いよぉ。中、入れてくれないかなぁ?」


(!)


 何秒経過していただろうか。頭の中の非常警報が鳴りやまない。


「ぁ……ごめん、突然だったから、その、ビックリしちゃって……」


(部屋に入れて二人きりになるのは怖い。とにかく池上さんと合流しよう。よし)


「あ、えっと……丁度、今から連れの部屋へ行こうと思ってたとこなんだ。紹介するから、一緒に……いいかな?」


「もちろんだよぉ。昇くんのお友達たちにも会いたいなって思っていたからぁ」


(”お友達たち”って言った。”たち”って。池上さんと峰岸さん、二人いるってこと、知ってるんだ。やっぱり監視されていたのか!?)


 盗られて困るような貴重品は、服の下のポシェットに入れてある。

 このまま部屋を出ても大丈夫だ。


(彼女を連れて、まずは池上さんと合流しよう。峰岸さんも一人にしておくのは危険だ。池上さんを連れてすぐに……)


 廊下の向こう、他の部屋のドア、出来る限りの感覚を研ぎ澄ませて警戒しつつ、隣の部屋へ向かう。


 隣の部屋まで、こんなに遠く感じたことはない。


 コンコン☆


『池上さん、俺、シローです』


 ガタガタッ コッコッコッ


 部屋の中からは、池上さんの返答は聞こえなかったが、ドアに近づく足音と気配を感じる。


 チラっと真鍋を見ると、表情を変えずに、薄っすらと笑みを浮かべている。

 整った顔立ちなので、本来ならときめく男子が多いであろう、この薄ら笑いが、今は心底不気味に思える。


 カチャ、キィー


 ゆっくりとドアが開く──




『シロくん、入って』

『!? あれ? 峰岸さん!? あれ? ここ……池上さんの部屋じゃ……』


(あーっと!? もしかして、”大人の時間♡”を満喫されていたとかーっ!?)

『ぁ、ご、ごめんなさいいっ! えと、ぉお邪魔……しちゃって、えと……』


『……ちょっと、変な勘違いしないでよね。そんなんじゃないから。さ、早く入っ…………て、そちらの女性は?』


『あ、えと、そのことで、お二人に相談しようと思って』


 ひとまず、池上さんの部屋に入る。


 すると、池上さんは、窓から外の様子を窺っていた。


 声を潜めて、峰岸さんに確認する。


『あの、何かあったんですか?』


『うん、実はね、スコゥガフォスの滝辺りから、怪しげな連中を何人か見かけていてね』

 そう言いながら、観光がてら撮りまくっていた写真画像を見せてくれた。


『ここ、それとー、こっち。こいつもただの観光客じゃなさそうね』


(めっちゃはしゃいで観光を満喫してると思いきや、怪しいヤツらに気取られないように演技しながら、逆に写真を撮っていた……ですと!?)


『外の連中、引いたみたいだな。警戒はするが、今夜はもう大丈夫だろう』


 池上さんは窓を離れてベッドに腰かけて、ペットボトルの水を飲みほした。


「んで──、そっちのカワイ子ちゃんは……誰子ちゃん?」


 ・

 ・

 ・


 池上さんは”我関われかんせず”だったと思うが、峰岸さんは既に”真鍋”という女性について、ある程度の調べはつけていたはずだ。


 だけど、俺たちが”真鍋と荒木さんの動向を探っていたこと”を悟られないように、極力、余計なことを言わないように、真鍋を二人に紹介した。


「なるほどねぇー。でも、この場に現れたってことはー、まさか”偶然”とか”運命のなんちゃら~”なんて、言う気じゃないわよね?」


 峰岸さんは確信を突く質問を投げつけた。

 真鍋は顔色一つかえず、喋り出した。


「この国には、蒼司くんたちと一緒に来たんですよぉ。蒼司くんの仲間たちって、なんかすっごくて、何でもわかっちゃうんです。昇くんがぁ、陸くんを探しにぃ、ここへ来てること、とかぁ」


「蒼司ってのは、荒木さんのことです。陸ってのは寺島さん」


「そうそう。でねぇ? あたしは、みんなで仲良く遊びたいって思ってたんだけどぉ、蒼司くんは違うみたいで……それでね、あたし、コワくなっちゃって、どうしよぉーって思ってたいたら、あのお店で昇くんを見つけちゃったのでした♡ これは運命ってやつよね?」


「……何言ってんだよ。俺たちのことを尾行つけてたんだろ?」


「う~ん。この国に入ったってことは知ってたんだけどぉ、どこに居るかまでは、わかんなかったんだよ? だから、蒼司くんたちは北回りで、あたしは南回りで、ボリボリ? なんとかってとこに向かってたんだよぉ」


(目的地まで知られていたのか……)


 池上さんは、合点がいったように頷いた。

「なるほどな。外にいた連中は、あんたのお仲間ってわけか」


「蒼司くんの、ね。あの人たちもコワいから、一緒に居たくないの……。ね、お願い! あたしも一緒に居させて欲しいの。ダメ、かなぁ?」


 何人もの男子たちを虜にしてきた(かもしれない)必殺の”上目遣い”の破壊力といったら──

 こんな状況でなければ、一発で撃沈してますよ。


 池上さんと峰岸さんに視線を送り判断を仰ぐが──


(二人とも、なんだか面白がってない!? わ、わかってる……よね? 敵かもしれないってことは!)


『早く返事してやれよ』と言わんばかりに、顎を突き出す池上さん。

『どうなっても知らないわよ~♡』って感じに斜め上に視線を逸らして恥ずかしそうに微笑む峰岸さん。


 プ、プランだ──


(このまま追い返した場合、完全に敵対したとして、即座に強硬手段に出られる可能性が高いんじゃないだろうか。そもそも何で狙われているのかは……46億円……かな。奴らに捕まったら、脅されて、金盗られて、そのあとは……。相手の戦力も定かではない。危険過ぎる。ってことは、黙って受け入れるって選択肢しか無いってことなのか? 池上さんも峰岸さんも、選択の余地がないのがわかってるから……。よし)


「わかった。一緒に、寺島さんを見つけ出して、”仲良く”、一緒に日本へ帰ろう」


「やったぁ~! さすが昇くん、好きよ♡」


(こ、こいつはぁー……)


「でも、ひとつ聞かせてくれないかな。随分前から連絡が取れなくなっていたけど、その間、どこにいたのか」


「うん? この国に来る前はねぇ、パリに居たんだよぉ~。直人くんに呼ばれてね、蒼司くんと二人で行ったの」


「そ、そうだったんだ。パリかー。で、芹沢さんとは、会えたのか?」


「ううん。待ち合わせてた日に、直人くん、殺されちゃったんだよ? ビックリだよね。日本でもニュースやってたかな? 後頭部をね、パシュって撃たれて、死んじゃったんだって。海外ってコワいよねぇ」


「あ、ああ、ニュース見たよ。”背後から撃たれた”って……」


(パリでは、そこまで詳しく報道されていたのか?)


 峰岸さんの顔色を伺うと、気取られないように首を振ったのがわかった。


 やっぱり、芹沢さんを殺したのは、荒木さんと真鍋だ!


「さってっと、そんじゃ、ちょーっと早いけど、出発するぞ。シロー」


「え……ええー!? 今から?」


「そうね、荒木くんのチームが北回りで現地に向かったとなると、既に到着しているかもしれないし。急いだほうが良さそうね」


 観光ムードは、こうして幕を閉じたのでした。


 この先、明らかに怪しい”敵側の女”、真鍋を連れた旅が始まる。


 時計は深夜0時を回ろうとしていた──。

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