日常
調子に乗っておごってみたりしたが、昨日だけで三千円使ってしまった。
お金の使い方は気をつけなければ。
一つ前進したことを気づいた。死体に耐性がついた。昨日死に直面しすぎたせいだろうか、それとも俺のスキルは精神的な事も影響してくるのか?
まぁとにかく前進だ、でも命を軽く見るようなことはしたくない。そこは気をつけなければ
それと、だいたいこの国で生活が安定してきた。
朝は早めに起きて筋トレ、そこからクエスト、夕方頃にルナのところに行って話す。
毎日美少女に会えるなんて贅沢な話だ。
ところで彼女の店は売り上げがほとんどない。それでいいのかと聞いてみると
「別にいいんだ、趣味でやっているからね。」
「本気で売ってみようとは思わないのか?」
「そうしても多分売れないだろうから」
「なんで、やってみなきゃ分からないだろ」
「んー、スワロス=ミロクラーって知っているかい?」
「あーと」
スワロス、スワロスどっかで見たことがあるような
「魔法のイメージ法ってあるだろう、あれを見つけた人だよ」
「そう、それだ」
「スワロス=ミロクラーは顔が広くていろいろなところに口が聞く代わりに、ひどくひねくれた男なんだ。転移者の存在を頑なに認めなかったり、魔法を変に神聖な物として扱っている。そしてその発言の一つに`作られた魔道具など贋作に過ぎない`って」
「はた迷惑な話だな…」
「だろう?どれだけ偉大な魔術師だろうと、私は嫌いだ。そのせいで世間の認識が自作の魔道具が大抵不調を起こすというレッテルが貼られた」
「でも不調を起こすってのはあるんじゃないか。あの棒は爆発するかもって」
「店頭にそんな物を置くわけないだろう。君に渡したのは試作品だ」
「そりゃそうか。よし、だったら俺が買おうかな」
「本当か!何にする。色々あるぞ」
「そうだな、戦闘に使える物はないか」
「ふむ、だったら。これとかどうだろう。昨日作ったばかりでな。君は二刀使いだろう?この剣は刀身が自由自在に伸び縮みする。思いつきで作った物だが、結構トリッキーな戦術ができるぞ」
彼女は目を爛々をさせながら。他の魔道具の解説も始める。捜し物が見つかる棒とか、自重が軽くなる服、火の出る壺、あきらかに必要なさそうな物まで。本当に魔道具が好きなのだろう。
しかし多すぎて悩む。
「ルナ、最初の伸び縮みする双剣をくれ」
値段もそこまで張らず、使い勝手が良さそうだ。
「分かった、まいどあり。そうだ、名前をつけてくれよ。まだ無銘なんだ、その剣。」
「名前、名前か…」
ダサい名前は嫌だな。制作者の名前を一文字取って、後は俺のセンスで。
「ルーティア、うん双剣ルーティアにするよ」
「いい名前だな」
ルーティアは想像以上に使えた、念じれば伸びるというのは相手に間合いを掴ませない。今まで苦戦したモンスターも楽に倒せるようになった。
実力的にはもう旅に出ても問題ないはずだ。だが、仲間の見当がまだつかない。
「ところで、君は何故この街に滞在しているんだ?君がきてから六週間は経っただろう」
「…勇者ムライっているだろ、魔王討伐を掲げている」
「あぁ、最近になって魔王軍をものすごい速度で倒している」
「あいつも転移者なんだが、元の世界で俺の親友なんだ」
「へぇ…」
「信じるか?」
「いや?今私に嘘をつく理由の見当がつかないからな」
「まぁ、それで。会いたいんだ。それもただ会うだけじゃない、対等な、同じくらいの強さになって。そのための準備をしている」
「準備ねぇ、だったらもういいんじゃないか。君のステータスは筋力もスピードもCはある。それに、私の剣もあるしな」
彼女は笑いながら言った。
「いや、同行人、仲間がいる。俺はこの世界の土地勘がない、貯金ならしてるがどこかでスリにでも遭って野垂れ死ぬんじゃないかと不安でならない」
「なるほど、じゃあその仲間ができるまではこうして話をできる訳か」
「…なんだよ、寂しいのか?」
おちょくるつもりでいった。
「そうだな、寂しいさ」
「…」
「自分から言っておいて何照れているんだ。君のことはわりと好きなんだぞ、もちろん恋愛対象って程ではないが」
「そうか、まぁこの街を出るときは挨拶しに行くよ」
「なるべく早くしてくれよ?お互い、明日には死んでいるかもしれないんだ。それで?そうやって探してるんだ?見当はついているのかい?」
「いや、まだだ。どう探すかも見当をつけれていない。というか、怖いこと言うなよ。お前はずっとここにいるじゃないか。死ぬかもしれないなんて」
「あれ、言ってなかったか。私、脱走奴隷だぞ。家族に売られて、その辺の金持ちに買われて、逃げ出してきた。私を買った男はクワロフという性根の悪いやつだったから、見つかったらまぁ、殺されるだろうな」
「…早く言っとけよ」
「いや、もう言った物だと。それとも、君も私を奴隷だからと軽蔑するかい?」
「するわけないだろ、お前はお前だよ」
「…あぁ」