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俺にチートはないようです。  作者: 滝Daisuke
4/10

仲間

目が覚める、あたりを見渡す。

「あ!大丈夫ですか!?」

さっきの美少女だ、本当に可愛いな。

「すみません、傷は治せたんですけど、火傷は私の魔術ランクじゃまだ直せなくて。」

「いえ傷だけでも本当にありがたいです。本当に助けていただきありがとうございました」

「いえいえ、お礼なんて。助け合いですよ」

「いや、本当に助かりました」

照れてる、超可愛い。よしこれを機に仲良くなろう。

「名前を教えてもらってもいいですか?」

「レイア、薬草取って来たよ」

後ろから男の声が聞こえた

「ありがとう、ウス」

「いや、いきなり走り出すからびっくりしたよ、相変わらず優しいね、レイアは」

「私が褒められるの苦手なの知ってて言ってるでしょ!?やめてよね!」

そこで男がようやく俺に気づいたようで言った

「あ、こんにちは、僕ら二人で冒険者やってる、ウスと」

「レイアです」

「…ヒロキ、です」

彼氏持ちかよ…




「本当にありがとうございました。」

「そう何度も、大丈夫ですよ」

その後俺はレイアさんたちのおかげで無事にギルドに戻れた。ボスゴブリンを倒した事による追加報酬をもらった、金貨三枚。円に換算するとだいたい三万くらい。この世界に来て初めての大金だ。

「ところで、なんであんな囲まれてたんですか?」

「ボスゴブリンを倒したんですよ」

「一人でですか!?」

「まぁ、偶然みたいな感じですけどね。そのせいでボロボロになってただのゴブリンに追い詰められて。」

「いやいや、偶然も実力のうちだよ、ヒロキ」

畜生、ウスめっちゃいい人!あと距離を詰めるのが早い!だから彼女がいるのか…

「まぁ、そうですが、この先偶然にばかり頼る訳にもいかないですし。やっていけるか不安で」

「だったら!」

「?」

「パーティーを組んだら良いじゃないですか」

目から鱗が落ちるとはこのことだ、そうだ、人というのは一人じゃない、なにも一人で頑張らなくても良いじゃないか。

「そうだね、レイア。なんなら、僕らのパーティーに入ったら。どうだい?ヒロキ」

それは…ないだろ、後ろのレイアさんすっげぇ「しまった」って顔してるし。

「お気持ちは嬉しいですが、正直足手まといになると思うので、遠慮しておきます」

「そう…じゃあ、困ったことがあったらいつでも言えよ。あと、敬語じゃなくて良いよ。」

「…わかった、そっちもなんかあったら言ってくれ、ウス、レイア」




パーティー、仲間か、そうだよな。うんと楽になる、確か、クエスト依頼分の隣にあった気がする。

行ってみよう。




見た瞬間、「これはダメだ。」と思った。確かに数も多く、それぞれ種類があるがどれも共通して

「平均ステータスがC以上の人、魔法が3種類以上使える人」

だそうだ。

どいつもこいつも贅沢言いやがって。いや、俺のステータスが低すぎるだけか。俺の平均はDだ。

というより、この国でパーティーメンバーを募集してるって事は、この国を軸に活動してる訳か。だったら俺とは目的が違うな、俺はこの国に留まらずにあいつを追いかけたい。

だが、右も左も分からない異世界で一人で旅なんて無謀に程がある。できればこの世界の住人である程度戦える奴が良い。

そんなやつ、とっくに他のパーティーと組んでるか。

仲間は難しそうだ、とりあえず飯でも行くか。金ならある。俺はマーケットに向かった。




オークの腹焼き、ゴブリンの肝、マンドラゴラの塩かけ、異世界らしい俺からしたらゲテモノも売っていれば、別の転移者が持ち込んだのだろう、焼きそば、お好み焼き、かき氷、ベビーカステラなどなど、見慣れたものもある。

やきそばとたこ焼き[タコは得体の分からんモンスターだが]を買ってどこか落ち着いた場所で食おうとすると、足が止まった。

そういえば、お礼を言うべき人はもう一人いた。

「あーと」

「ん?あぁ君か、使ったかい?」

「はい、使わせてもらいました、ありがとうございます。おかげで命を救われました」

「…」

彼女が黙りこくる。まずいことを言っただろうか

「あの、あれがなかったら、モンスターに最後の一撃を打てなくて、それがなかったら逆にトドメを指されてたと言うか…」

「あ、いや、すまない。人に感謝なんて初めてされたよ。まぁそのなんだ、それなら。うん、よかった。」

白い布越しの顔が少しだけ赤くなったのを俺は見逃さなかった。可愛い、この世界の女の子みんな可愛いな

「あぁ、そうだ。報酬を渡すと言っていたね。少し待ってくれ」

「あ、いや大丈夫ですよ!俺がお礼をしたいくらいです」

「いや私は筋は通す、一度言ったことは変えないと決めている」

そう言いながら彼女は財布を出して探り、少しして動きを止めた。

そしてにこやかな笑みを浮かべながら銀貨を差し出した。

彼女の財布から堅い物が擦れる音はしない。

「ほら」

「いやいやいやいやいやいや。もらう訳にはいきませんって。どうみても最期の有り金じゃないですか。」

「遠慮するな、別に金なんぞなくても生きていける」

「無理でしょ、それにさっきも言いましたが、俺がお礼をしたいくら」

そこで大きな腹の虫が鳴いた、俺の腹と彼女の腹から

「とりあえず、飯食いません?おごりますから」

「…そうしようか、おごられはしないぞ」



マーケットを少し離れたところで小さな広場があった。

「ここで食べよう」

「はい」

結局彼女が根負けして、俺がおごった

「ところで」

「?」

「どれくらい伸びた」

「あー、10メートルくらいですね」

「本当か!」

「はい」

「やった」

彼女は小声で言った

「好きなんですか、魔道具作るの」

「…まぁね」

「どうやって作ってるんですか」

「秘密と言ってるだろう」

「じゃあ、報酬」

「は?」

「報酬使います、教えて下さい」

「君は、変なやつだな」

「初対面の人にの分か得体の分からない物を渡す人も大概ですよ」

「違いない。そうだな、分かった。私のスキルに関係してるんだ。スキル[マジックメイカー]」

彼女の手から淡い光を放つペン状のものが出てきた。

「例えば、そうだな」

その辺の石を取り、彼女はそれによく分からない模様を書いた。それを離すと、石が空中に浮きながら前進した

「こんな感じで、描いた模様に応じてその物体に能力を与える能力」

「すごいじゃないですか」

「いや、そうも行かない。この能力には言うなれば設計図がない。だから手探りで一つ一つ書いて、検証しなければならない。それに…」

「それに?」

「なんでもない」

「…そうですか」

「今日はありがとう、人と食事するのなんて久しぶりだった。よかったら、また話しに来てくれ」

「はい、俺も楽しかったです。また行きますね」

「敬語は使わなくて良いよ。あー名前、聞いてなかったね」

「あぁ、そういえば。ヒロキ、スズムラヒロキだ」

「ルナだ、よろしく、ヒロキ」

やきそばはすっかり伸びていた


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