第九話 保健室で……
クラスメイトに失神させられたのち、僕は白い天井が見える部屋で目を覚ました。
「ここは……?」
もしかして天国? それなら僕はクラスメイトを殺人犯にしてしまったのか……
ってそんなことはなくて、ここは保健室だろう。
「あのー」
カーテンによってベット周りしか見えないため、僕は先生がいると思い声を出した。
「司っ!」
勢いよくカーテンが開き、僕は窓の外の光が眩しくて目を瞑る。その瞬間、何か柔らかく温かいものが僕を包み込んだ。
驚いて目を見開くと僕に抱きついているのはハルだった。目を真っ赤にさせて力強く僕を絞めている。
このままだともう一度オチかねない。
「また死ぬ」
そう言うとすぐさまハルは僕から離れた。涙目になるほど僕を心配してくれたみたいだ。
「とりあえずありがとう?」
「バカやろう…… 私がどれだけ心配したと思ってんの……」
やれやれと言わんばかりの顔で養護の先生が隣のベットのカーテンを開ける。中にはーー
「は、ハルさん……?」
隣のベットには僕を絞めオトしたクラスメイトたちが白目を剥きながら寝ていた。正しくは僕同様にオトされていた。
おそらく春が一人でやったんだろう。今更ながら怖い幼馴染だな……
「とりあえず今何時?」
「昼の一時だよー」
と養護の先生が教えてくれた。
「じゃあまさかハルは朝からずっと!?」
「ンな訳あるか」
ですよね。流石に新学期とはいえ新しいクラスだしホームルームをサボるわけにはいかないよな。
ただ、僕をボコしたクラスメイトも全員ここにいるってことはホームルームには何人出席したんだろう…… 少なくとも男子の三分の一はここで寝てるぞ……
「とりあえず、仇討ちありがと」
「ン」
ハルはそっけなく返事をして顔を逸らしたが、気のせいか少しばかり頬が赤くなっているように見える。
さて、僕も起きたんだし教室に戻らなくちゃな。
「あ、司クーン。一応保護者の方呼んだから来るまで待ってねー」
ベットから降りて保健室を出ようとする僕を養護の先生が止めた。
「保護者……?」
僕の両親は今いないわけだし、保護者と言える人はいないんじゃ、
その時、手をかけようとしていた保健室の扉が勢いよく開いた。
「あっ」
視界の端からピンク色のオーラが見えたため、僕はすぐにしゃがみ込んだ。そして僕の頭を掠めるように二本の腕が通り過ぎる。
見なくてもわかる。大家さんだ。
「先生、この人は保護者じゃないです」
「いやぁねぇ、せっかく毎晩お世話してあげてるのにぃ」
この発言によって保健室内は固まった。正しくは大家さんとその言動に慣れている僕以外だが。
室内は数秒固まったのち、とてつもない殺気で埋めてくされた。もちろん殺気を発しているのはハルである。下手なことを言えばまたオトされかねない。
一体どうしたものか……
ここまで読んでくださりありがとうございます!
こんなクラスメイトは嫌だ(実際楽しそう)
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それでは次回また会いましょう!