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〈第13話〉どこにも行かないで……!(前)

 9月24日白崎高校────昼休み


 俺と白愛はいつものように、屋上まで上がり弁当を広げる。

 こうやって2人で昼食を食べるのも、俺の中で当たり前の光景になってきたかもしれない。

 最近は暑さも和らいできて、昼間はまだちょっと暑いが屋上で過ごすのも快適になって来た。


 「今日も卵焼き食べる?」

 俺は白愛が摘まみ易い様に弁当箱を寄せる。

 白愛は「いただくわ」と答え、俺の弁当から卵焼きを一切れ摘まむ。

 卵焼きを一口食べた白愛は、うんうんと頷き味を噛み締めている。


 「小太郎は何か摘まむ?」

 白愛が弁当を俺の方に寄せてきたので、「それじゃあ」と俺も白愛の弁当箱から卵焼きを一切れいただく。


 「あれ?今日の卵焼き甘いね」

 昨日は違うおかずを摘まませてもらったから、卵焼きが甘かったかはわからないが、今日の卵焼きの味付けは甘かった。


 「あら?そう?」

 俺にそう言われ、白愛も自分の弁当に入っている卵焼きを食べる。


 「本当ね。美沙、味付け変えたみたいね」

 「そうみたいだね。うん、美味しいよ」

 俺が美沙の卵焼きの味を褒めると、白愛が「う~ん」と難しい顔をして悩み始める。


 「どうしたの?」

 難しい顔をして悩み始めた白愛を見て、少々心配になりどうしたのか聞いてみる。


 「う~ん……。小太郎が作った方が美味しい」

 味を褒められるのは嬉しいのだが、美沙が作った卵焼きは美味しかった。


 「十分美味しいと思うけどなぁ……」

 若干の味の違いはあるとはいえ、何かの補正でも入っているのか白愛は俺の作った方が美味しいと言う。


 「そうだ。日曜日、時間とかどうしようか?」

 俺と白愛は昨日日曜日一緒に散策しようと約束をした。

 あと決まってないのは、時間と待ち合わせ場所をどこにするかくらいだ。


 「待ち合わせの場所は神社でいいかしら?時間は小太郎に任せるわ」

 確かにあの辺りを散策するなら待ち合わせは神社がちょうどいいかもしれない。

 

 「分かった。じゃあ、待ち合わせは神社で。あと時間どうしよっか……」

 俺は起きる時間が休みの日でも平日と同じ時間に起きるので、時間もできれば白愛に合わせた方が良さそうだが。


 「ん~、11時とかどうかな?あ、あとお昼ご飯どうする?」

 俺は早くもなく遅くもないと思う時間を白愛に言ってみる。


 「それでいいわ。お昼は茶蕎麦しましょ」

 何なら弁当でも作ろうかと思ったが、俺が郷土料理を食べてみたいと言っていたからか、白愛が昼は茶蕎麦を提案してくる。


 「分かった。それじゃ、日曜日11時に神社で待ち合わせで」

 時間と待ち合わせ場所が決まり、俺と白愛は残りの弁当を平らげ、残りの休み時間をのんびりと過ごした。


~>゜~~


 9月26日白天比女神社────母屋


 今日は待ちに待った小太郎とのお出かけの日だ。

 楽しみにし過ぎて前日の夜はなかなか寝付けなかった上、朝もいつもの休日より早く起きてしまった。

 まるで遠足を楽しみにしていた小学生の心境だ。

 壁にかけてある時計を見ると、まだ7時を回ったばかりだ。

 私は普段の着物に着替えてリビングに降りていく。

 せっかくの小太郎とのお出かけで、少しは洒落た服にしたいのだが、生憎私は洋服と言った類の服を持っていない。

 リビングに行くと、私より先に起きていた美沙が朝食の用意をしていた。


 「おはよう」

 私は台所に立つ美沙に挨拶をする。


 「おはよ~。って、え?え?何してるの白愛!」

 台所で料理をしていた美沙が、私の方へ駆け寄ってくる。

 

 「何?具合でも悪いの?」

 そう言って美沙が私の額に手を当ててくる。


 「熱なんかないわよ。それより朝ご飯」

 私は額に当てられている美沙の手を払い除け、テーブルの席に着く。

 美沙は正気に戻りフライパンで焼きものをしていたのを思い出し、急いでガスの火を止めに行く。


 「ちょっと、どうしたのよ。今日日曜日よ?お昼まで起きないと思って、あんたの朝ご飯の用意なんかまだしてないわよ……」

 焦げる寸前の目玉焼きを皿の上に載せ、台所から私の方を見て美沙がそう言う。


 「なら、待つわ」

 私はこのまま朝食が準備されるまで待つ事にした。


 「もう、時間があるときくらい何か手伝いなさいよ。佐々木君に嫌われても知らないわよ」

 美沙が小太郎の名前を出し、手伝うよう言ってくる。

 小太郎の名前を出されては動かざるを得ないと思い、私は席を立ち台所の美沙の近くに行く。


 「何をすればいい?」

 料理など生まれてこの方やったことがないので、美沙に指示をもらう。

 美沙は一瞬間を置き、何かを考えている。


 「そうねぇ……、やっぱり待っとく?」

 「……」

 おそらく色々と考えた挙句、私に料理をさせることが危ないと判断したのだろう。

 小太郎の名前まで出し、私を台所に立たせた美沙を私は一睨みして、意地でも料理してやろうと思った。

 

 「あぁ……、そうね。じゃ、じゃあパンをトースターにセットして焼いてもらえるかしら」

 「それは()()なの?」

 美沙は私の視線から逃げるように視線を泳がせ、料理とは思えないことを私に言ってくる。


 「あ、当たり前じゃない!トーストだってセットする時間を間違えれば丸焦げの炭になるのよ?立派な料理よ!」

 確かに言われてみれば炭になったトーストが食卓に並んでる風景は見たことがない。

 だが、納得がいかない。

 

 「……分かったわ」

 私の言葉を聞き美沙が安堵の表情を浮かべる。


 「そっちを美沙がやって。こっちを私がやるわ」

 そう言って私は美沙とガスコンロの間に立ち、フライパンを奪い取る。


 「ちょ、ちょっと!なんでそうなるのよ!」

 声を荒げて美沙が私の手からフライパンを奪い返す。


 「あなたが手伝えと言ったのよ?私がこっちをやるわ」

 私に言い返された美沙は「うっ」と言葉を詰まらせる。


 「分かったわよ、もう……。それじゃ任せるから、焦がさないでよ」

 美沙が諦めて私にフライパンを渡してくる。

 私は勝ち誇って嬉々として美沙からフライパンを受け取り、コンロの上に置く。


 「……それで、どうすればいいの?」

 「……本気で言ってる?」

 美沙が肩を落とし、呆れた感じで私に聞いてくる。


 「あんた……ねぇ。まぁいいけど、まずフライパンを熱して油をひいて」

 呆れながらも目玉焼きの焼き方を1から美沙が教えてくれる。

 私は美沙に言われた通りに、目玉焼きを作り始めた。

 

 「そろそろ卵を入れていいわよ」

 美沙の指示で、卵一つを手に取り、台所の角で卵を叩き割れ目を入れて、フライパンの上で殻を半分から割り入れる。

 フライパンに卵を入れた瞬間、ジュ~と卵の焼けるいい音が聞こえる。

 

 「白身がある程度固まったら火を弱火にして蓋をして蒸し焼きにして」

 美沙が用意してくれた水の入った計量カップを手に取り、フライパンに流し込み言われたように蓋を閉めて蒸し焼きにする。


 「黄身がお好みの硬さになったらお皿に移していいわよ。半熟がいいならそろそろね。私トースト焼いてるから、あとの盛り付けくらい自分でしなさい」

 そう言って美沙が私から離れ、トースターに食パンを入れタイマーをセットする。

 私はフライパンの蓋を開け、中の様子を確認する。

 蓋を開けると蒸発した湯気が立ち上がる。

 私はフライ返しを手に持ち、目玉焼きを掬い上げ美沙が事前に用意してくれていた皿に移す。

 あとは盛り付けをして完成だ。


 「あら、意外と綺麗に焼けたじゃない」

 私の様子を見に戻ってきた美沙が焼き上がりを褒めてくる。


 「ただ焼くだけでしょ?このくらいできるわよ」

 私はそう言って強がって見せたが、本当の所は初めて作った目玉焼きを褒められて嬉しかった。

 

 「今朝はやけに賑やかだね」

 神主姿で朝の人仕事を終えた正臣が朝食を食べにリビングに入ってくる。


 「おや?白愛、今日は起きるのが早いんだね」

 台所に立つ私の姿を見つけた正臣が話しかけてくる。


 「そうなのよ。何故か今日に限って早起きして来て。()()あるのかしら」

 「……」

 何かを察しているような感じで美沙が私の方に視線を向ける。

 私は目玉焼きが綺麗に焼けたことで満足して、自分で作った目玉焼きを持ってテーブルの席に戻った。

 

 「お、綺麗に焼けてるね。白愛が焼いたのかい?」

 私の目玉焼きを見て、正臣が褒めてきた。

 私はふふんと自分でも薄いと思う胸を張り、「このくらい簡単よ」と威張って見せる。


 「焦げずに焼けたのは私の指導のおかげでしょうが。まったく……」

 私と正臣の会話に美沙が横やりを入れてきた。


 「はははっ!そうか、白愛も料理に興味を持ち始めたんだねぇ」

 正臣が笑いながら、私が女性らしい事に興味を持ち始めたことに、嬉しそうな表情を浮かべる。

 と言うより、色々と変わり始めている私を見て嬉しそうだった。


 「叔父さん、卵何個にします?」

 台所から顔を出し、美沙が正臣に卵の数を聞く。

 正臣は私の対面に座りながら「2個もらおうか」と美沙に返す。

 

 「それで、今日は何かあるのかい?」

 正臣が正面に居る私に質問してくる。


 「小太郎がまだこの辺りを知らないって言うから、一緒に散歩」

 私は正臣の質問に返答する。


 「それじゃお昼はどうするの?どこかお店で食べる?」

 美沙が焼きあがった正臣の目玉焼きとトーストを私と正臣の前に置き、昼食の事を聞いてくる。

 テーブルに調味料やジャムを並べ終え、美沙も自分の分の朝食を正臣の隣に並べ席に着く。


 「そうね、お昼は瓦蕎麦を食べに行くわ。だから後でお昼代頂戴」

 「しょうがないわねぇ。じゃあ出かけるときになったら声かけて」

 美沙がそう言って朝食を食べ始める。


 「どうせだったら誘ってうちで食べればいいのに」

 正臣が小太郎を昼食に誘ったらどうかと言ってくる。


 「小太郎が茶蕎麦とか食べたことがないって言ってたから」

 私がそう言うと、正臣が「なるほどね」と返してくる。


 「それにしても、こうやって朝食を3人で摂るのも久しぶりだねぇ」

 「そうですね。いつもは誰かさんの起きる時間が遅いから。それもこれも佐々木君の影響かしらねぇ」

 ちょっとした嫌味を含んだ事を言い、またしても小太郎の名前を出し美沙が私に視線を向けてきた。

 

 「余計なことは言わなくてもいいでしょ」

 そう言って私は少し拗ねて見せた。

 私と美沙のやり取りを正臣は微笑みながら見ている。


 「叔父さん、聞いてくださいよ。この前の文化祭の出し物を決めるHRで白愛の案が選ばれたんですよ」

 美沙が先週の木曜のHRの事を正臣に話す。

 それを聞いた正臣は、「ほぅ」と言って私を見てくる。


 「わざわざそんな事言わなくてもいいでしょ」

 私はあの日の事を思い出し、恥ずかしさを誤魔化すため、イチゴジャムを塗ったトーストに噛り付く。


 「なんでよ?私あの時嬉しかったわよ。きっかけは何でも、あんたが授業に参加してくれる姿を見れて……」

 美沙のその言葉からは冷やかしでも冗談でもない、本当に嬉しかったといった感情が伝わって来た。

 美沙の嬉しさは伝わってきた私は「そう」と素っ気なく返したが、口元は微笑んでいた気がした。

 私達は最近の学校の事や色々な事を話しながら朝食を食べ進めた。


~>゜~~~


 9月26日白天比女神社────境内


 俺はちょっと早めに家を出て、神社に10:30頃に到着する。

 早めに神社に来たのには理由がある。

 人を待つのはいいが待たせるのが嫌な事ともう一つ、以前神社に埋葬した子猫の墓に手を合わせるためだ。

 俺は猫を埋葬した神社の脇に足を向ける。

 その神社の一角だけ草が取り除かれ、野花が一束ずつ供えられていた。

 

 (花がもうお供えしてある。白愛がやってくれたのかな……)

 俺は簡易的に作られた墓の前にしゃがみ、手を合わせた。

 

 「……」

 しばらく目を瞑って手を合わせていると、背後で玉砂利が擦れる音が聞こえ背後に誰かが立っている気配がした。

 俺はなんとなくその気配が誰なのか分かった。

 

 「殊勝ね。ちゃんと手を合わせて……」

 俺の背後から誰かが声をかけてくる。


 「早いね……」

 俺は立ち上がりながら背後へ振り向く。

 俺の思った通りそこには白愛が立っていた。


 「小太郎こそ早く来すぎじゃない?」

 そう言いながら白愛が俺に近寄ってくる。


 「うん。ちょっとこいつの事が気になってね……」

 俺は子猫の墓に目配せして白愛の問いに答える。

 

 「こいつ、天国に行けたかな……」

 「行けたわよ。他でもないあなたが葬ったのだから……」

 天を仰いでそう言う俺に、白愛が共感してくれる。


 「……そっか」

 俺は白愛のその言葉を聞き安堵した。


 「それより、予定より大分早いけどどうする?」

 白愛の言う通り30分程度早く白愛と鉢合わせてしまったため、どうしようかと俺は考える。


 「ん~そうだなぁ……。ちょっと行ってみたいところがあるんだけどいいかな?」

 俺は以前からこの辺りを散策するなら行ってみたいという所が一か所あった。

 それは転校初日の時事務室の職員から聞いた”岩国シロヘビの館”だ。

 何度か行こうと思ったのだが、中々機会に恵まれず結局行かないままになっていた。

 俺は最初の行き先を岩国シロヘビの館と白愛に告げると、ちょっとだけ浮かない顔をした。

 俺達は神社から歩いて岩国シロヘビの館に向かう。

 

 最初の目的地に着いた俺達は入場料を払いチケットを持って入場口へ。

 

 「あら?白愛様お久しぶりね」

 入場口で白愛が係員に話しかけられる。


 「こんにちは。皆元気にしてるかしら?」

 白愛は係員に挨拶をする。


 「最近は病気になる子もいませんし、元気にしてますよ」

 白愛の質問に係員がそう答えると、白愛は「そう、良かったわ」と返答する。


 「それでは、チケットをこちらでスキャンして入場してください」

 そう言って係員が入場の案内をしてくる。

 入場してまず目に入って来たのが壁面のモニターだ。

 ここのモニターには『岩国白蛇物語』と言う映像で紹介している様だ。

 俺と白愛は椅子に座り、『岩国白蛇物語』を視聴する。

 数分間の映像を視聴した後、周りにある資料やパネル、原寸大の模型に目を向ける。

 

 白蛇が初めて歴史上に登場したのは、江戸時代中期、元文3年(1738)の『岩邑年代記』らしいが、結局のところ白蛇がいつ誕生したのかはわかっていないらしい。

 だが、その神秘的な白い蛇は『幸運を呼ぶ守り神』『神様の使い』として人々に大事に保護され、個体数が増したそうだ。


 俺達は歩を進め中へ中へと入って行く。

 次に目に入ったのは『シロヘビ百科』と言うコーナーだ。

 ここは白蛇の骨格と内臓の模型、パネルと映像の実物資料が展示してある。

 その先は『シロヘビの不思議』と言うコーナーがあり、白蛇の動きや、食事の仕方、鱗の役割、白蛇の遺伝子がどうやって継承されていくかなどがゲーム感覚で楽しめるコーナーになっている。

 ゲームチャレンジすると『認定カード』が発行される様だ。

 その奥には常設展のようなものがあり、岩国市の観光地などが紹介されていた。

 『シロヘビの不思議』の対面には白蛇の生態展示がしてあった。

 俺が周りのコーナーの見物をしている間、白愛は生態展示のガラスケースの前で蛇達をずっと見ている。


 「……」

 一通り見終わった俺は、黙ったままガラスケース内の蛇を見つめる白愛の隣に立つ。

 

 「……白って言うよりクリーム色なんだね」

 俺は横に居る白愛に話しかける。


 「そうね……」

 視線はそのままガラスケースの蛇に向けたまま俺に答えてくる。


 「可哀そう……とか思ってる?」

 俺の質問に白愛は意外にも首を横に振り俺の言葉を否定する。


 「だってこの子達はここでしか暮らしていけないから。ここ以外の世界を知らないから」

 否定した後白愛が俺の質問にそう答える。

 確かに白愛の言う通りかもしれない。

 ここに居る蛇達は生まれてからずっとここで、係員から定期的に餌をもらい生きている。

 そんな蛇達を今更野生に放つと野生の本能があるかもしれないが、生きてはいけないかもしれない。

 しばらく2人で蛇達を眺めていると、一匹大きな個体が俺達の方に近寄ってくる。

 

 「……」

 隣の白愛が無言で笑顔を浮かべ、その個体に手を小さく振ると、鎌首を持ち上げまるで挨拶をしている様に頭を縦に振る。

 そして、ガラスケースに白愛がそっと触れると顔を近づけてくる。

 

 「この子、白愛の事分かってるのかな?」

 俺が白愛に話しかけると、白愛は「さぁ……」と笑顔のまま答える。


 「この子達って名前とかあるのかな」

 俺がそう言うと、白愛が入り口の壁辺りを指さす。


 「あそこに名前の一覧があるわ」

 白愛に言われて俺はその一覧を見に入り口の壁に近寄る。

 その一覧表には個体の見分け方と、名前が付けられていた。

 ちょうど近くで水を飲んでいる個体が居たので、一覧表を見て何という名前の蛇か見比べてみるが、中々に見分け方が難しく名前が分からなかった。

 

 「……」

 俺は個体の見分け方を諦め、白愛の隣に戻る。

 

 「どうだった?」

 白愛が戻ってきた俺に声をかけてくる。


 「う~ん……。頭の模様?で見分けるみたいだったけどよくわからなかったよ」

 それを聞いた白愛は「ふふふ、そう」と笑った。

 

 「ちょっと中庭に入ってみない?」

 「えぇ、いいわよ」

 2人で中庭に出ると、敷石で白蛇がモチーフになった中庭になっていた。

 白愛を認識している仕草を見せる個体が、俺達を追って中庭方面に移動してくる。

 

 「……やっぱりこの子白愛の事が分かってるんだね」

 「そうかもね」

 白愛は俺のその言葉を聞いて笑顔を浮かべる。


 「そろそろ出ようか」

 何だかんだ30分近く滞在して色々と見物していた俺達は、昼時も近くなってきたことからシロヘビの館を出ることにした。

 出て行く際に係員から「白愛様、また来てくださいね」と声を掛けられ、白愛も「えぇ、また来るわ」と答えた。

 シロヘビの館を出て、とりあえず昼食を摂るために俺達は茶蕎麦の食べれるお店へと足を向ける。

いつも稚拙な文章にブックマーク、いいね!ありがとうございます。

更新頻度が遅いですが執筆の励みになっております。

今回も文書量が多くなりそうだったので、(前)(後)で分けようと思います。

いつも応援してくれている方達に幸福が訪れますように。

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