94:雑談という名目の情報交換
2人でお話する話。
――第8の街を開放した翌日、学校でボクはいつも通り隆和とゲームの話で盛り上がっていた。
「……は? 第8の街開放しただと……?」
「うん。船釣りしようと思ってたのに船出るよって言われたから乗ったら行けた」
「あー……条件開放かぁ……」
もっとも、第8の街についての話はそれで終わったけど……次の話題になるのはやっぱりダンジョンのことで。
「で、どうしてそうなった?」
「ほら、ケモノ倒すので呼んだのあったでしょ? 倒し終わった後にクエスト進めて脱出できたと思ったらサーディの山の中ってマップに表記されてて……」
それから落ちてダンジョンのセーフティゾーンみたいなとこに出たということを言うと隆和は軽く頭を抱えていた。
――時間は変わって昼休み、ボクは世界とワールドの対比の話を隆和にしていた。ようはセブが大きい街だということだけど
「それでサーディにダンジョンか……」
「そうそう。とは言っても世界でもボクはダンジョンに行ってないからよく知らないけど」
「あー……村だけだったんだったか」
「うん」
隆和は世界ではダンジョンに行ったことがあるらしく、その時はいけない場所があったり、拾えない宝箱があったりしたらしい。そして入り口が少しだけ道から外れた場所にその時はあったと隆和は答えていた。
「あのサーディの山もよくわかんないよね。中に採掘するとこがあって、川も流れてるし」
「攻略組とかでもあの出来てた通り道以外を調べようとするとほぼ確率で自分より強いケモノが出てきて手に負えないんだと」
「でも絶対山に登る方法とかありそう」
そんな感じに話をして、放課後も情報交換の意味合いも含めた話をしながら帰路につき、ゲームにログインをして……行くのはもちろん第8の街じゃなくてサーディだけど。
「道から少し離れたとこってカズは言ってたよな……」
山の麓には大きな入口があり、そこが鍛冶場の次男さんがよく行くところなのはそこを出入りしている人達の恰好でよくわかる。だからこそダンジョンの入口は違うとこなんだろうとは思うけど……少しの範囲がどのくらいかがわからなかったからこそ、ボクは手あたり次第山肌を触りながら辺りを見回したりしていた。
……ただ、ある個所を触るとそれまで聞こえていたはずの声が聞こえなくなるところがあることに気付いた。
「……この辺かな……」
トン、と指先が触れた個所から山肌が割れ、割れた奥からは明らかに奥に繋がる穴が現れ……
「あ、ホントにあった」
その入り口があるのは麓の川の方、確かに気づかれずらいその場所にそれはあった。
報告会をして、ダンジョンの入口を見つける話になった。なお、ヒカタ1人でダンジョン攻略はだいぶ厳しかったりする。




