8:規則正しくあそぶ子
ログアウトしたり、ログインしたりな話!
――セカンの街について、ボクが最初にしたことはと言えば……時間的な問題でログアウトだった。
「あら、じゃあ全然戦っていないの?」
「ちょっとだけ。でも楽しいよ婆ちゃん」
「よかったわねぇ」
ゲームからログアウトをして、台所を覗けば婆ちゃんが晩御飯の用意をしてるところだったからお手伝いをしながらゲームの話をすれば、婆ちゃんはニコニコと話を聞きながらもその手は調理を進めていて、やっぱりさすがだなと思いつつ……
「婆ちゃん、味見て」
「うん、いい味付けね。じゃあそっちはもう盛り付けて運んでちょうだい」
「うん」
時計を見ればそろそろお父さん達も帰ってくる時間で、出来たものを並べてるうちにお母さんが帰ってきて、それからお父さんも帰ってきた。家族が揃えばボクの家は晩御飯の時間で、食べながら話すことはその日あった出来事とか、いろいろ。
「そういえば陽葵、今プレイしているゲームの方は課金とかないのか?」
「課金アイテムっていうのはあるらしいけどボクにはあんまり関係ないかなって」
「あら、珍しいわね。購入系のゲームでもないのでしょ? それでゲーム運営やっていけるのかな……」
「隆和が言うには他にもゲームを出してるとこみたいだし、急にゲームが終了になってもそういうものかなって思ってる」
そもそも、ボクがプレイしてるゲームである【five to world】ってベータ版も含めたらオープンして3年くらいなるらしいし、今のところは終わる気配はなさそうとは隆和談だけど。
ご飯を食べ終わって、寝る準備も終わったボクはまた少しだけゲームにログインをしてとりあえずのセーフティゾーンから街の入口である正門までの大通りに並ぶ建物のうち、大きめの建物の確認だけをしてその日のプレイは終了した。
ただ、その中にあった冒険者紹介所でこの街にある訓練所が魔法系の訓練所であり、錬金術師に対する講習を行ってるということを教えてもらえたから次のログインでそこに行くことが決定したのは言うまでもなく、ついでに森に関するいくつかのことも教えてもらえたのだからセカンの街1日目で考えればまぁまぁの収穫だったと思う。
「そういえば、隆和って強いのはわかってるけど結局どこの街まで行ってるのか聞けなかったなぁ……ベータの頃からプレイしてるとは言ってたけど」
そもそも、どうして隆和はボクにこのゲームを勧めたのかもわかってなく、まぁ悪くはないとは思ってるけど今になってその理由が気になってきたのは多分、街でのカズに対する他のプレイヤーの態度のせいだと思う……
「ま、あいつのゲームのプレイスタイルって確か攻撃が最大の防御タイプだったはずだし。そのせいだろうな」
そう、ボクにとって隆和と同じゲームをするのは別にこれが初めてというわけではない。ただ、紹介されてもボクの方がすぐに飽きてプレイしなくなってただけなんだけど。そういう意味では今のゲームはボクにとってはプレイ歴更新中と言っても過言ではないのかもしれない。
「あ、そういえばサブのジョブってどうやったら使えるんだろ」
5人世界の時はいつの間にか使ってた感じもあったからいまいち覚えてなかったボクはとにかく翌日の学校で隆和にそのことを聞くことを適当な紙にメモをして、それからすぐにおやすみ3秒を行うのだった。
隆和はベータ勢。ただしその頃はちょっとだけプレイスタイルが違ってたりするけどあまり話には関係しない話。