85:墓地のクエスト
セブの墓地でクエストをする話
《クエスト:ソレの正体が発生しました》
――それがセブにある教会の横の墓地で発生したクエストの名前だった。
『……だれ』
「通りすがりのモノです?」
墓地のすぐそばにある小屋の戸をノックするとそこから顔を出したのは幼さが残る少年で、彼がこの小屋に1人で暮らしている例の墓守さんだった。
とりあえずボクはシスタービデンスから聞いたこととかを話して、彼にシスタービデンスが言っていた夜になると聞こえてくる泣き声について尋ねれば彼は……
『……それは事実だけど、僕は結局その正体を見つけることが出来なくて諦めたんだよね』
「墓地って入っても問題はないの?」
『え? まぁ、荒らさなければ別に……』
ボクは目の前の墓守についでだから聞いてみた。他の家族はどうしたのかと
『両親はもういない。兄は……街からは出てないと思うけどどこにいるのか……』
「もしかしてお金の関係で行ってみたいけど行けないとこだったりしない?」
『あくまで可能性としか……それで墓地に入って何をする気だ?』
ボクはとりあえず暗くなってから墓地の中をうろうろしてみようと思ってることを話した。そしたら墓守少年は無駄になりそうと思ってそうな目をしながら頷いていた。
『僕が何年も探して見つからないものを見つけられたらそれはそれであれだけど……じゃあお願いする』
「え、夜の鳴き声ってそんな何年もなんだ?」
『うん。少なくとも両親が亡くなる前くらいから』
ただ、家族で墓守の仕事を始めた頃にはまだその泣き声は聞こえなかったらしい。とりあえずわかったことだけメモして、ボクは暗くなるまで墓守少年から他愛のない話を聞いた。
「へぇ、シスタービデンスが好きだったのか」
『でも、相手はシスター見習いになってしまったなら……』
そんな甘酸っぱい話を聞いてるうちに外は暗くなっていて、どこからともなくすすり泣くような声が聞こえてきた。
「ホントに聞こえてきた」
『これが毎晩だからね……寝る分には邪魔にならないけど』
それでも墓守少年は少し完全に問題なしとするには少しずつ何かが積もってる気がしてるらしい
「とりあえず墓地見てみるよ」
『うん……』
よく考えたら明かりになるものをボクは持ってなかったけど、とりあえずはという感じでボクは何も持たないで墓地へと入っていく。ただ、そこには十字の石がたくさん並んでるだけで、そんなに身を隠す場所はなさそうというのがボクの印象だった。もちろんその間もすすり泣く声がどこからか聞こえてきてるわけだけど。
「……もしかしたら……」
耳を澄まして、音がしてる気がする方へと足を進めて、それを何度か繰り返してボクは見つけた。
「君が泣いていたんだね?」
身を屈め、何かから隠れるようにしながらも泣き続けている色の薄い小さな子供を……
なお、墓守少年の兄がいるのはお金が必要な例のとこです。
ついでに色が薄いって姿がぼんやりしてる感じをイメージしてもらえれば。




