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72:ヒントの見つけ方

次に進むために本を読む話。


 ――ゲームで歴史書みたいな本をファスタウンの本屋さんで見させてもらう様になって数日が経ち、その間、例の本をどのくらい読み進めれたかと言えば……


 「ん-……まだ2章……」


 この本は国が出来てから国と呼ばれなくなるまでが書かれていて、序章と終章を除いて5章あり、今ボクが読んでる部分を含んで読み終えた部分は序章と1と2章で……とにかくこの本は読みにくかった。


 「でも行こうとしたら行けるのか……セブに」


 わりと早い段階でその時の王都とも言える第7の街のセブへの行き方がいくつか書かれてていて、ここの店主さんに聞いたものも載ってたけど、それでも店主さんに教えてもらったのとは違う方法がボクにはなんとか使えそうに思えたけど……ただ、そのために必要なのは“合言葉”とお金で合言葉は今読んでる時点では本にその記載がなく、現時点で不明。ファイの向こうの川を超えるには崖を上り下りして泳いで渡るか、船を使うか、としか書いてないし、川上から歩いてくるという方法は戦力的に厳しいし……


 「よし、頑張って合言葉探す」


 多分ボクにはそれが一番簡単な方法だから。だからこそボクは他の作業もそこそこにこの歴史書みたいな本をせっせと読み進めているのだった。


 『……なんだったらもう少し楽に本を読む方法を教えてやろうか?』

 「楽に本を読むってどういう?」

 『速読、っていう言葉くらいは知ってるだろ』

 「えーっと、はやく読むってことだっけ……」


 癖の強い歴史書もどきを唸りながら読んでるボクに店主さんが教えてくれたのは、方法と言いながらスキルで、その名前は【速読】。文字通り本とかの書物を早く読むことが出来るスキルであり、ただ早く読むだけじゃなくて理解をすることもできるスキルということで覚えるには本を何冊か読み切ることという必須条件があるもので、ボクはいつの間にかその条件もクリアしていたからこそあっさりとそのスキルを習得することもできた。


 「村で、読んでたのもカウントされてるのかぁ……」


 なお、ボクが自分で書いてたメモも書物に含まれるということで普通にカウントされていた。だけどレシピは書物に含まれそうなのにカウントはされてないからそこは謎だった。


 「わー読み……やすくはないけどなんとか理解できる……」

 『文章の癖はどうしようもないからな……』


 それでも、本を読み切るのにさらに2日ほどかかったからやっぱり読みにくい本だったのは違いないのかもしれない。ただ、速読のスキルのおかげか、合言葉自体はやっぱり書かれてなかったけど、合言葉が刻まれてる場所はわかった。


 「初代国王の像の根元にある取り外せるブロックの裏面ねぇ……わかるか!」

 『セブに行けたら感想でも聞かせてもらおうか』

 「まぁ、行けたらね」


 さすがに本を読み切った日は合言葉を探しに行く気力が残っていなかったからその日は普段ログアウトしてる時間よりだいぶ早かったけどログアウトをして、婆ちゃんの手伝いをして気分転換をしたのは言うまでもなかった。



 「あらまぁ、読むだけで疲れちゃう本なんて大変ねぇ」

 「もし隆和が読まなきゃいけないってなったら多分はーくんに任せそう」

 「あらあら。さて、ひなちゃん完成したからおやつにしましょうか」

 「うん」


 その日はお休みだったからお昼の後のおやつには婆ちゃんと作ったドーナツを食べて十分にゲームから離れ、翌日、ボクはゲームでセブに向かうためのやらなきゃいけないことを進めるのだった。


陽葵自身は興味がある範囲の本ならよく読む子である。

なお、速読スキルは使うとちょっと疲れる。

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