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71:いつもの本屋で少しのお話と

本屋で情報収集をしてみようとする話


 ――第6の街、シクルで探検をして、次の街の情報を得たボクは……特に何もすることなくいつも通りの流れでゲームをプレイしていた。まぁ、サーディの鍛冶場の次男さんに採掘依頼をしたり、ファイの地下施設で石を拾ったり、ファスタウンの作業場や工房で作業したり、本屋さんでレシピの解読の進み具合を聞いたりシクルの探検をしたりだけど。


 「店主さん、レシピ潤ってきたね」

 『まぁそうだな。だがなかなか作成が進んでないようだ……』

 「素材が難しいのかなぁ……」


 そんな感じの話をして、それからボクはシクルで聞いた話のことを思い出し、本屋さんの店主さんなら国のこととか知らないかと聞いてみると……


 『国のことか? この国が国と呼ばれなくなったのは確か……あぁ、あった。この本によれば200年前のことみたいだな』

 「セブが国の中心だったって聞いたけど……どうして初代国王はそこを中心にしたんだろ……」

 『そこまではわからないが、国が国としてあって王は3代で終わったな』


 今この世界は国ではないけど国としての名残として街が残っているんだとか。そもそも国になる前から各街はそのままその場所にあったらしいけど。


 「店主さんその本読んでみたい」

 『汚さないならここで読んでいってもいいが?』

 「じゃあそうする」


 とは言っても今日はそんなに時間も残ってないから目次ページがあれば章分けされてるかわかると思って開いてみた……ら、章分けも節分けもされてたからなんとかなりそうと思ったのに……


 「わぁ……言い回しが難しい……」


 そう、本文の言い回しがとても難しい本だった。歴史書と言えば歴史書なんだけど……だからボクは店主さんから新しい白紙の本をまた買ってそれに自分なり解釈で書き写しては店主さんに確認してもらうという作業を繰り返した結果、ログアウト時間まで粘って序章の半分までしか読めなかったのだった。


 「先が長いなぁ……」

 『これの筆者は昔からこういう書き方しかできなくて出す本出す本あまりにも売れなかったのはある種で有名な話だからな』


 店主さんが言うにはこの本がその筆者さんの第2作目ということになるらしいけど、原本はこれだけ、あとは書き写しがそれぞれの街に1冊づつあるらしい。ついでに処女作は物語らしいけどいわゆる大人向けらしいからボクは読むことを諦めたのは仕方のないことだと思う。


 「ちなみに店主さんはその処女作読んだの?」

 『若い頃にな』


 それにしてもちょっとだけこの本を書いた筆者さんが気になったけど……この筆者さんが書いた本は全部で5冊、その内訳が処女作の大人向け物語、2作目の歴史書もどき、3作目がホラー物、4作目が大人向けの絵本で最後の5冊目が血みどろぶしゃーな感じの物語と聞いてこの2作目を読むことだけでさらに諦めたのも多分仕方がないことだった。


 「その人、性癖歪んでない?」

 『歪んでたんだろうな』


 そんな会話でその日はゲームからログアウトをしたけど……兄ちゃんに電話で関係してようとしてまいと関係なしに文句を言ったボクは悪くない。


 『あー……あの歴史書の作家設定な……さすがに俺じゃないからな!?』

 「大丈夫、兄ちゃんもそういうの得意じゃないこと知ってるし。でも文句は言う」

 『一応違う作家で陽葵でも読めそうな本もあるんだけどな?』

 「それは明日以降に本屋さんに聞くからいい。あ、でも兄ちゃん。なんで年齢制限のあるアイテムがあるの?」

 『あぁ、それは単純に基本が一定年齢以上向けだからっていうのもあるけど酒とか出したいじゃん』


 ここでわかったことだったけど、あの年齢制限のあるお薬を設定させたのは兄ちゃんだったらしい。なお、ボクの兄ちゃんは何故かお酒が大好きだったりもする。家族では2番目くらいに強い……らしい?


 「あ、そういえば兄ちゃんついでに婆ちゃんが今度飲み比べしましょうだって」

 『わかった! ……婆ちゃんにいつ頃やるか決まったら連絡くれって伝えといて』

 「わかったー」


 そんな感じで電話も終わり、ボクは兄ちゃんに文句言えたことに満足をしつつ、頼まれた伝言を伝えに婆ちゃんのとこに向かうのだった。


なお、陽葵宅で一番の酒豪は祖母である。

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