67:転職アイテムのことと採掘所だったりいつもの
転職アイテムの確認と地下採掘施設で石を拾ったり、サーディで相槌したりする話
――ゲームにログインをしたら転職システムが実装されたっていうお知らせが転職アイテムについてのメールと一緒に表示された。
「転職アイテム……ってやっぱりカズと話してたはさみと手袋のことだよね……」
ログインをしてからすぐ、ファイのセーフティゾーンである炭酸水が湧いてる泉の縁に座ってメールを開けばそこには転職アイテムの使い方や、扱い方について書いてあった。なお、差出人は運営だったけどその後ろにはKと書いてあったが……十中八九兄ちゃんだと思ったのは勘である。
「とりあえず使わなくてもいいのかぁ」
メールにはボクが得たアイテムは使用期限もないし、他に得る方法はあるから使う気なかったら気にしないでもいいよ的なことが書かれていた。なお、売ることは不可能らしい。
「えっと、転職アイテムを得る方法は……クエストクリアか、紹介所での該当任務クリアか、その職業に弟子入りをすることで得られるかぁ……ま、関係ないな」
そもそも転職する気は今のところないし、アイテムボックスに余裕もまだあるし、捨てるのは勿体ないからやっぱりアイテムボックスの片隅に置いておくことにして……とりあえずまた地下採掘施設に行ったりすることにした。
『おや、また来たんですね』
「普通じゃない方の石拾ったらまた見せてって言われたので」
『なるほど、ではまた木札の方をこちらに』
あとは前と同じ流れで、1のエレベーターで降りて、借りた備品を装備して、また前と同じくらいの時間石拾いをした。
「意外と楽しいなこれ」
奥の方も気になるけど、採掘スキルはないし、ヘルメットについてる明かりじゃ正直頼りないから仕方がないと言えば仕方のないことだし、そのうち便利なスキルが出てくるかもしれないし。そう思いながら拾った石の鑑定を眺めていると受付のお兄さんがちょっとだけ表情を変えた
『ずいぶんと珍しいものを拾ってきましたね……』
「珍しいの?」
『はい。ヒヒイロカネ、といいます。』
「ひひいろかね……? 何に使えるんですか」
『そうですね……剣や飾り、釜などでしょうか』
「よくわかんないけどわかった」
とりあえずよさそうなものっていうことだけはわかったからちゃんとアイテムボックスにしまい、今回も使えそうなものだけ貰い、そのまま施設を出ようとしたら……暗視のスキルが出てきた。
「お兄さん、暗視スキルってここで使えるものです?」
『使えますね。それに暗視スキルがあるのなら2のエレベーターも使えますし』
「エレベーターの数字が多くなるとちょっとだけいいものが取れやすいんですっけ」
『だいたいあってると言った感じですね』
少しだけ採掘施設の受付のお兄さんと話をして、次からもうちょっとだけ深い方にいけることを確認してからまたサーディの顔なじみの次男さんにヒヒイロカネを見せて、使い方を改めて聞いてたら鍛冶場の長男さんが嬉々と鍛冶場から顔を覗かせていて……その後はある意味お察しの相槌タイムだった。
「熱い……」
『大丈夫か? ほら、水飲みな?』
「ありがと次男さん……」
長男さんは何故かとても元気いっぱいで、前は1回だけの相槌だったのに今回は3本の剣を打った……なお、そのうち1つの素材がついさっき手に入れたヒヒイロカネだったけど……
『それにしても兄貴があんなに楽しそうに相槌をお客人に頼むのも珍しいからな……』
「え、そうなんだ……」
それにしてもゲームなのに汗出てる感覚があるのもなんか変な感じだとは思うけど……シンプルに暑いし、熱いし、疲れてて今のボクは一歩も動きたくない感じが確かにあった。
『お客人、体力が回復するまでここで休んでいくといい』
「そうさせてもらいます……」
それから、ボクが動けるようになったのは数十分後だったわけで、その時に回復のお薬を飲めばいいと気付いたのは多分遅いくらいだったのかもしれない。
相槌3回は3本剣を相槌で打ったよ! って意味である。多分普通なら厳しいんじゃないのかなと思ってるけどその辺はよく知らぬのです。




