61:食堂の話と白鳳との話
ある意味前話の続きと白鳳とチャットする話
――第5の街・ファイでボクは、気付けば2か所ある食堂のよくわからない諍いに巻き込まれるような形でこの街での活動が始まった。
南の食堂の人を助けて、西の食堂の人に話を聞きに行って……そこの店主さんは女性で。
「南の食堂の人はお姉さんが南の店主さんの奥さんが好きでこじれた的な事言ってたけど……?」
『あー、そこは大人の事情ってことでいいかい?』
「ボクには関係ないからどうでもいいけど、ケンカならちゃんと仲直りしないと後悔するんだからね? あ、お姉さんこのレシピ教えてください」
『パイ包みのレシピでいいのね? ついでによく出るレシピも教えてあげる』
そう言って西にあるお魚料理を出す食堂の店主のお姉さんは5つのレシピを教えてくれた。ついでに南のお肉料理の食堂の店主夫婦が小さい頃は幼馴染で仲が良かったことを教えてくれた。そしてある時期を境に関わることがなくなったことも……
「なるほど、お姉さんは寂しかったんだね」
『否定はしないわよ……ただ、私の旦那……ミナミのとこの奥さんの兄でね、それもあって余計に拗れてるのよね……』
「ん-……よくわかんないけど、やっぱり面倒な感じがあるよね、それって」
『ひとつだけ言わせてもらえば、私は別にお客さんを使って向こうに何かをけしかけるなんてことはしてないわ』
そんな会話の後だった。見覚えのあるクエスト表示が出てきたのは……とりあえずそのクエストを受けて、珍しくフレンドの3人のうちで唯一オンラインになっている白鳳にメッセージを送ったのは言うまでもなかった。
――それから、メッセージを白鳳に送った後からようやくファイの探検を始めたボクは南の方を埋めたところで白鳳からメッセージの返信がきて……セーフティゾーンにあるベンチに座って白鳳とチャットをした。
―――
白鳳:それで? 食堂のクエストってなんだ?
ヒカタ:うんとね、南と西の食堂の仲をなんとかしようってクエストの名前かな……とりあえず絶縁させるか、仲直りさせるかでクリアになるんだって。
白鳳:その言い方だとそれで終わりじゃないんだな?
ヒカタ:うん。他のプレイヤーにも影響が出るみたい
白鳳:うへぇ……やなクエストだな……
ヒカタ:ただ、場合によっては複数人に同じクエストが出る可能性もあるって
白鳳:クエストウィンドに書いてあるのか?
ヒカタ:うん。どうしたらいいと思う?
白鳳:まぁ、好きなようにしていいんじゃないか? どうせ俺がこうしろってアドバイスしても面倒ってやらなそうだし
ヒカタ:よくわかってるね、はーくん
白鳳:何年知人やってると思ってるんだ……とりあえずこっちの2人には情報共有させとくわ
ヒカタ:うん、お願い
―――
そんな感じでチャットも終わり、ボクはログアウトまでの時間、のんびりとファイを探検した。そして、お肉料理の食堂店主さんから教えてもらった地下採掘施設に入る為に冒険者紹介所で施設に入る為の申請を出して、訓練所にある図書室でレシピや本を読み漁ってその日のプレイは終わった。
――後日の話、兄ちゃんにファイでの話をしたらどうも食堂のクエストは兄ちゃんじゃない人が設定したものらしいと鍋を恋しがって帰ってきた兄ちゃんがそう話してくれた。
ちなみに本屋関連のクエストは景灯が設定していたりする。




