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5:初めてのワールド

プレイヤーが5人しかいない方は大抵5人世界とか世界と呼ばれ、それを超えた先がワールドと呼ばれてる感じです。


 ――最初のボスが倒された翌日、ボクは高校で隆和と【five to world】の話をしていた。


 「え、じゃあ陽葵も次のログインでワールドになるのか……なら合流するか?」

 「隆和の方がいいならいいけど。ボク隆和のキャラ知らないよ?」

 「まぁ、それは合流するときに」


 そう言葉を濁した隆和だったが、とりあえずプレイヤー名が“カズ”だということだけは聞けたからなんとかなるだろうと思い、その日はゲームの話は終わり、家に帰ってログインをすると目の前にはキャラメイクの時にいたナビゲーターが図書室みたいな空間に立っていた。



 『振り分けられたfiveworld内の初ボスの撃破を確認しました。それに伴い、ドロップアイテムの分配、貢献度による経験値の分配、fiveworld内での好感度効果による分配品の配布を行います……アイテムボックスへの配布を完了しました。追加でfiveworld内で得たアイテムを解析、上位アイテムを確認しました。ボーナスポイントを付与します』


 ナビゲーターがそういうと視界の端に小さなモニターが出てきて、あっという間にログが流れていった。……とりあえずあとで確認したほうがいいかな……そう考えてるうちにログの流れも止まり


 『それではworldへの転送を開始します。ログアウトや電源を切らないでください……――接続完了しました。それでは良い旅を』


 まるで、足元に穴が開いたような落下感というか浮遊感を感じるとまたさっきの小さなモニターのまたログが流れ……次の瞬間には目の前が真っ白になり、視界に広がったのは田舎の中では栄えている感じの街並みだった。


 「これがワールド……?」


 沢山のNPCとプレイヤーが行き交う路上、とりあえず道の真ん中に立ってるのも邪魔だろうからボクは近くにあるベンチに座った。

 隆和もといカズにログインしたら動くなって言われたからというのもあるけど、さっきのログとかも確認しないといけないからね。


 「あ、ワールドになったら強制フレンドは解除されるのか」


 フレンド一覧の項目は空っぽになっていて、メディアとセツリとデンの名前がうっすらとした色でフレンド申請可能と書かれたモニターのところに書かれていた。なお、アキラスタの名前がないのは多分交流がなかったからだと思う。


 「えっと、レベルは……」


 ゲーム開始時のレベルは当然1で、戦闘であれなんであれ、経験を経て経験値を上げ、レベルがあがっていくのが基本的なシステムで。確か昨日の時点でボクのレベルは17くらいだったと思うけど、今確認するとレベルは25となっていた。


 「あれ……? 8もあがってる……貢献度ってやつなのかな……」


 それからアイテムボックスを確認すれば、村で作った薬や料理に使いきれなかった素材、あとは見たことのない素材や武器防具が入っていてそれらはボクが装備できるのもあり、できないのもあり……どうしろと?


 そのうち、街の一角からざわめきが聞こえてきて、その方向を見れば1人の青年がこっちの方に歩いてきていて、その頭上にあるプレイヤー名にはカズという知ってる名前があったから……


 「カズ」

 「あー……先にフレンド登録送っていいか?」

 「うん」


 ぽーん、という軽い音で届いたメッセージはカズからで、本文は特になく、フレンド登録の文字だけが光っていた。だから登録をすればすぐにカズからはフレンドチャットが送られてきた


 ―――


 カズ:陽葵のプレイヤー名は想像してなかったわ……

 ヒカタ:濁点いらない

 カズ:だろうなぁ……とりあえずレベルが25でメイン錬金術師でサブがカジか……やっぱりネタジョブを選んだんだな

 ヒカタ:言葉遊びって言ってたからいろいろいいかなって。カズは……82? 強いね

 カズ:まぁ、一応進んでる方ではあるからなぁ……あとメインが剣士でサブが狂戦士(バーサーカー)

 ヒカタ:とりあえず前衛タイプっていうのはわかった。


 ―――


 そんな風にチャットでやり取りをしたあとは普通に話をして、とりあえずという感じでボクは最初の街であるこのファスタウンという場所を軽く案内してもらうことになったのだった。


 「ま、とは言っても俺が案内するのは必要最低限の施設だけどな」

 「それは別にいいよ。探検する楽しみがなくなるし」

 「だろうな。んじゃまずこの街の中央がセーフティゾーン、PVPとかできないし、ファスタウンでのログインは大抵ここだから。まぁ、ハウスっていう施設を持っていればそこでログインができるようになるけど。ついでにログアウトはどこでしてもいいけどセーフティゾーン以外だと制限がかかるから」

 「ほかの街まで行ってもここにログインされるの?」

 「いいや? ある意味セーフティゾーンがチェックポイントみたいな感じでログインしたときに選択肢が増えてく感じになる」

 「つまり、カズは進んでる場所からもログインできるけど、ボクはまだここしかチェックしてないからここでしかログインできないって感じか……うん、理解」


 それから、経験値稼ぎに必要な任務をもらえる施設【冒険者紹介所】やHPとかを回復することが出来る施設【お休み処】、よくある【神殿】とかを教えてもらった。


 「あとはそれぞれのショップに武器修理の鍛冶屋とかがあっちの方にあるけど……ヒカタの武器って本か……本って耐久値あるのか?」

 「耐久値? ……あ、ないけど白紙がなくなると新しいことを覚えれなくなるみたい」

 「じゃあ多分本用のショップもあるだろうな。ついでに軽く飯を食ってからファスタウンの周辺を回ってみるか?」

 「うん」


 とりあえず……敵うんぬんよりもカズがとても強かったことしかボクにはわからなかった。

 だけどボクは知らない、カズが他のプレイヤーから“狂犬”と呼ばれていたり、実は最前線で戦うプレイヤーだということも。そして、狂戦士(バーサーカー)というジョブがだいぶ狂っているジョブだということも……


陽葵にゲームを紹介した友人、隆和は割と攻略組でまぁまぁ有名な存在である。

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