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58:第5の街に進む話

第5の街に行く話


 ――精霊石の粉を使った薬を作った次の日、ボクは予定通りカズと第5の街、ファイに向かうためにサーディで待ち合わせをしていた。


 「ヒカタ、待たせたか」

 「待ってはないよ。次男さんに採掘の依頼してたし」

 「ならいいか。じゃあ行くか」

 「うん」


 そう言ってカズを先頭にサーディの街を出て、向かう方向は川沿いに南下する形で進んでいき、時々川から飛び出てくる魚やケモノを倒したり、素材を刈ったりしていた。


 「あ、ヒカタ。そこにいるのがマンドレイクだ」

 「この葉っぱ? 抜いたら悲鳴あげるんだっけ」

 「このゲームだと実はあげるのとあげないのがいるな。慣れれば葉で見分けられるらしいけど俺には無理だから毎回悲鳴あげられるけどな」


 そこはまぁ、カズらしいというかという感じだけど。試しに抜いてみたら悲鳴をあげ……なかったから多分セーフ。


 「そういえばこのマンドレイクの悲鳴を聞いたらどうなるの?」

 「ん-? 高確率で状態異常がかかるな。混乱、麻痺、睡眠あたりが」

 「1人のときだったらやばそうだねぇ……」


 それから、カズがドラクレイクを教えてくれて、倒すところを見せてくれたけど……確かにボクじゃ1人で倒すことはまだ出来なさそうだったことだけは追記しておく。

 ちなみにドラクレイクは身体が鱗に覆われていて、歯がとげとげな魚ぽいカエルだった。


 「ドラクレイクって硬いの?柔らかいの?」

 「皮膚までが硬くて肉は柔らかい感じだな。まぁ、肉は食えないけど」

 「食べれないのか……」


 カエルだからワンチャンいけるかと思ったのに、そんなやりとりをしながら歩みを進めれば川の中に見えてくるのが第5の街だった。


 「ホントに川の間にあるんだね」

 「まぁな。あとファイはレベル制限があるけど……まぁ、大丈夫だろ」


 カズが言うにはファイのレベル制限は少なくとも30を超えてることが前提になってるらしい。そう言われて自分のレベルを確認すれば、ぎりぎりというかいつの間にかというかとりあえずはその最低限らしいラインを超えていて、今は32になっていた。


 「いつあがったんだろ……」

 「あー、わりとよくあるからなぁそれ。ヒカタの場合はよくものつくりもしてたからそれであがったんだろ」

 「そういえばそっか。でも、レベルアップのアナウンスなんとちょっと不便だね」

 「手動で振り分けてたらちゃんとアナウンス出てるらしいけどな?」

 「なるほど。それだったら今のままでいいかな」


 正直、自動振り分けの方が楽だし。そんなことを考えてふと、第6の街に行った時のことを思い出し、そのことをカズに聞けば……


 「そこはよくわかんないけどな。元々、βのときからファイはレベル制限があったから俺からすればそういうものていう認識なんだよな」

 「あれ、β版の時に実装されてたのってファイまでなんだっけ?」

 「おう。さて、そろそろ街に入るぞ」

 「あ、そういえばこれ、白鳳と唐ヶにあげて」


 第5の街、ファイに着く前に。ボクがカズに渡したのはもちろん昨日作った精霊石の粉を使ったバフ薬で。どのみちボクもカズも使えないから白鳳と唐ヶにって渡したんだけど……カズは不思議そうな顔をして薬瓶を見ていた。


 「なんだこれ?」

 「精霊バフ薬シリーズ。でも、飲むのに年齢制限があるからボク達使えないやつ」

 「うへぇ、年齢制限ある薬もあるのか……まぁ、渡しとくわ」

 「うん、頼んだよ」


 そんなやりとりをしてるうちにファイの前に到着して、審査という名のレベル確認を通過して、踏み入れたファイの街は……目線の先に食堂がある街だった。


 「とりあえずヒカタは登録しとけ」

 「そうする」


 ファイのセーフティゾーンはカズが言ってた通りにシュワシュワした水が湧いていた。


第5の街、ファイに行って、薬を渡す話でした。

ドラクレイクはカエル(非食用)

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