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47:服を作ったり、いつもの本屋だったり

服を作って本屋に行ってレシピをあげる話


 ――村でのクエストを終えて、手紙を届けて、革屋でフレイムボアの皮を防具にしたらどうかという提案を受けたボクは、さっそく作業場に来て、コートを作る用意を始めた。


 「えっと、プレゼントの場合は、相手のデータを出して……」


 カジのスキル……正確に言えば家事手伝いや裁縫師のジョブにあるスキルで裁縫というスキルと採寸というスキルがある。もちろん裁縫師の方はそれ以外の裁縫関係のスキルもあるらしいけど。とにかくそのスキルを使えばフレンド相手ならプレイヤー情報から採寸をしてくれるみたいでそれを試そうとしてるところなわけで。


 「……ホントに出来た」


 採寸のスキルをカズのデータに使って1秒2秒後にボクの目の前に広がったのはいい感じに切られたフレイムボアの皮だったもので、それは多分どれもカズに合わせたらピッタリサイズなのだろう。とりあえず採寸と裁断も終わったということで……


 「えっと、前と後ろ、袖を繋げればいいのかな……」


 そういえば服の作り方に関してはよくわかってなかったけど、やっぱりゲーム特有の微妙に手抜きなあれでとにかくMP消費で使えるミシンを使えば縫い合わせるのも簡単に出来るし。1人きりの作業場の小部屋内でボクはふんふん鼻歌を歌いながらミシンをカタカタと動かしていた。


 「よし、出来た……かな」


 時間にして言えば多分1時間ちょっと。ボクが広げるには大きいそのコートはほつれもなく、初めて作ったにしては多分上出来な方なんだと思う。


 【フレイムコート:防+5、耐火炎/加工は2度まで可能】


 フレイムコートという名前になったのは間違いなくフレイムボアの皮を使ったからだと説明には書かれていて、ほかの素材ならちゃんとその使われた素材の名前が入るようだった。ただし防具系だけ。もちろん名称自体は変えようと思えば変えることは出来るらしいけど。


 「あ、そういえばコレクションボックスのレシピのこと忘れてた」


 せっかくレシピの読み方教えてもらったのに、ついでに他のレシピもメモしてきたのに……もっとも、どう考えても持ってる素材ではなかったけどねぇ……


 「とりあえず本屋さんに行こうかな」


 やっぱり本屋の店主さんならなんとかしてくれそうな気もするし。そうと決まればボクは広げていた素材とかをアイテムボックスに片付けて、作業場を出て、いつもの歩き慣れた本屋さんまでの道を通り抜ける。



 『……は? コレクションボックスのレシピだと……?』

 「うん。あ、これ書き写したレシピだから店主さんにあげるね」

 『ホントにコレクションボックスのレシピだな……』


 それからボクは店主さんに村で他のレシピも貰ったこと、そっちは翻訳してないことを伝えて、そのレシピも見せれば彼は眉間にしわを寄せた。


 『これを解読しろってのか……』

 「一応コレクションボックスのレシピの解読前のもメモしてあるからしてじゃなくてしようの方だけど」


 ということで解読は一気にやるのは無理があるから日数をかけてちょこちょことレシピを解読しようとなったのはボクの事情だった。だって、釣りもしたいし、探検もしたいし。


 『まぁ、こっちの方でも少しずつ解読を進めてくからコピーを貰っていいか』

 「うん、それはもちろん」


 もともと、店主さんにレシピのコピーをあげるつもりだったし。だからちょっとだけ多めに書き写したからね。解読もとい今の文字に直し済みのコレクションボックスと解読前のコレクションボックスのレシピ、あとはなんのレシピかわからない解読前のレシピが全部で20枚……よく考えたら多いな


 「まぁ、これでも全部じゃないけどね」

 『そうだろうな……』

 「じゃあボクそろそろ行かなきゃいけないからまたくるね」

 『その間に少しは解読の方は進めておこう』

 

 店主さんはボクが渡したレシピの紙束を抱えて手を振っていたけどその目はちょっとだけわくわくしてることにさすがのボクだって気付いた。ま、ボクは行くってログアウトのことなんだけど。


 「そういえば兄ちゃんはレシピのことどのくらい知ってるのかな」


 まぁ、気にはなったけど聞く気はない。そもそもボクが知ってる以上にあるって言われたらその時点で楽しみがなくなる感じもあるからね

 それにしても今日もいろいろと物を作ったりできてよかった。……採掘の依頼しておけばよかったとは思ったけど……


ゲームってわりと作業が手抜きな部分もあったりするよね的な話でもある。

なお、解読は本気出さないといけない

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