46:手紙を届けて革屋に行く話。
サブタイ通りに、訓練所の錬金術師に手紙を渡して、革屋で皮の話をする話!
――いろいろあって村に遭遇して、クエストをクリアして、村から出たところで火属性のケモノと遭遇して、戦った後、ボクは村の錬金術師から預かっていた手紙をセカンにある訓練所の錬金術師の先生に渡すためにのんびりとお散歩がてらセカン向かっていた。
「素材いっぱい……あとで革屋さんにも行こうかな」
前にここを歩いた時はカズもいたから素材はカズが回収してたし、もともとそんなに戦ったりしないから久しぶりに素材が増えていろいろと売ったりできるものもあるかもしれないし、お店で見てもらおうと思ったのはある意味今のボクには正しいことなのかもしれない。
そうこうしてるうちに見慣れたセカンも見えてきて、最初の目的である訓練所に向かうために少しだけ歩みを早めてみた。……別に後ろから誰かついてきてる気がしてるからじゃない。うん、別に。
――無事にセカンに着き、すぐ訓練所に行けば錬金術師の講義はやっぱりスカスカで……というか1人もいない状態で、先生はボクに気付くと嬉しそうな顔をしていた。
『お、講義受けに来てくれたのか?』
「違うけど……何を教えてくれますか」
それから1時間くらい講義を受けて、ようやく本来の目的だった村の錬金術師からの返事の手紙を渡すことが出来たのだった。
『あの人からの返事だって!?』
「うん。もともとはこっちが目的だったんだけどねぇ……あ、講義は面白かったからまたそのうち受けるね」
『そうしてくれると助かる……』
こうして無事に手紙を渡すこともできたということで、ボクはまたファスタウンに戻り、革屋に道中に得た皮を持っていくと……
『あら、また来てくれたのね』
「うん、売れそうなのあるかなって思って」
『それじゃあ見せてもらうわね』
革屋のお姉さんは嬉々として、ボクが広げた皮をチェックして……
『これはフレイムボアね……とても綺麗に倒したのね』
お姉さんが言うにはフレイムボアの皮はどうせなら防具を作ってみたらどうかということだった。
『火炎耐性が付くし、【裁縫】のスキルがあればコートとか衣類系の防具なら作れるし』
「裁縫……もあるけど、難しくないですか?」
『最初は難しいかもしれないけど慣れれば簡単よ』
そう言われたら少し挑戦してみたくなるというもので……さすがに皮を使えるようにするのはお姉さんにやってもらうけど。さりげなくその作業もやらないかと誘われかけたけどボクは断固として拒否をしたということだけは言っておく。
『これでどんな防具を作るつもり?』
「ん-……友達にこう……裾が長いコートを……」
もちろんあげる相手はカズだけど。お姉さんに友達がちょっと身長がある男性だと言えば……
『じゃあこのくらい、私が貰ってもいいかしら? こんなに綺麗な状態のフレイムボアの皮って久しぶりだから……』
「それは別に。あ、火炎耐性の皮があるなら水系に耐性のある皮もあるんですか?」
『もちろんあるわ。フォスト近くにある海に出るケモノのアクアホースの皮なら毒や水攻撃を反射させることができるわ』
「アクアホース……」
つまりはそのアクアホースとかいうケモノは毒の状態異常も受けないらしく、なかなかに倒しずらいケモノらしい。なお、雄の方が攻撃的だというのは革屋のお姉さん談だった。
それから、お姉さんが皮をなめしているところを見学させてもらい、フレイムボアの皮も貰い。さっそくコートを作るために作業場に向かうけど……特に何も起きなかったのはいいことなのかもしれない。
裁縫もまたカジにあるスキルである。
そしてまずカズにあげること前提なのは単純に自分用を作るよりは楽しそうだからと感想をもらえるからという理由だけである!




