28:鍛冶の時間
クエストが出て鍛冶をする話
ついでにヒカタのステータスも。
《クエスト:相槌を発見しました。受注しますか?》
そのモニターが出てきた時、長男さんと話していたことはある程度作りたかったものを作れたから次に玉鋼でカズにあげるつもりの剣を作ろうということで、そこで確か長男さんはこう言っていた気がする……
『剣の方は少し初心者向けではないので……そうだ、私の手伝いをしてもらいましょうか』
その長男さんが言っていたお手伝いが多分クエストが出てくる条件なんだろうけど……
「あの、あいづちってなんですか?」
『おや、その名称は知っているのですね。相槌というのは熱したものを2人以上で交互に槌で打つことを言います。人の話を聞くときに頷いたりするでしょ? そのあいづちは元は鍛冶で使われた言葉なんですよ』
「あ、なるほど」
とりあえず完全に見学してできたものをあげるより手伝ってできたものをあげた方が多分達成感もあるだろうし、ある意味貴重な体験だろうからと、ボクはクエストを受注して、さっそく長男さんから説明を受けながら準備を行った。とは言っても槌を持って振るう練習だけど
「あ、結構重たい……」
『この槌を持つには力が最低でも20は欲しいですが……』
「力……ってステータスの攻のところ……?」
『はい、そうですよ』
長男さんにそう言われてボクは自分のステータスを確認してみた。今のボクのレベルは27で、5人世界が終わって、このワールドに入ってからのレベルからは2つあがってたらしい。
そしてステータスの方は
・HP:150/200
・MP:90/215
・攻:30
・防:34
・魔:40
・速:39
・運:58
という感じだった。よくよく確認をしてみるとステータスの割り振りは1回のレベルアップで5のステータスポイントというものが発生して、HPとMPは1つの割り振りで5上がり、他のステータスは1つの割り振りで2あがるみたいで……
「最低限は大丈夫そうです」
『そうですか。では、さっそく始めましょうか』
「はい、よろしくお願いします」
耐火のグローブをしっかりと嵌めなおして、少し長い槌の棒を握りしめすぎないように握り、火を熾している長男さんの方に視線を向けた時、カジにもあるスキル【鍛錬】が勝手に発動していて、カズの言っていたスキルが自動発動するという意味がようやくわかった気がした。
――それから、鍛冶場には熱された石を叩く音が響き、長男さんの手でそれは形が変わり……刃の部分が出来ればあとはそれを持つ為の柄を取り付け、それを収める為の鞘を拵えて……
「できた」
『鍛錬時に各属性の石を混ぜると出来上がったものには属性が宿ります』
「なるほど……そのうち試してみます」
『そうそう、ファスタウンにある工房でも鍛冶が出来るので利用してみるのもいいですよ』
「あ、あの工房って鍛冶場もあったのかぁ……」
長男さんが言うには、ファスタウンにある工房は鍛冶などの生産系ジョブのうち、料理とか以外の武防具系を作るための場所らしい。ただし本は作業場だけど。
『工房の鍛冶場にはここで修行をしていた人がいますから』
「わかりました。あ、採掘の依頼って定期的にしにきてもいいですか?」
『もちろん。いつでもどうぞ。あぁ、もし1人で武防具を鍛冶で作成したら是非見せに来てください』
「はい」
相槌というクエストも無事にクリアして、ボクの手元には鍛冶に使わなかった石と作った調理道具やカズにあげるつもりの剣が残り、その剣には……――
それからボクはサーディのセーフティゾーンでいつものようにログアウトをして、明日の為にすぐ寝ようと準備をして……そういえば、勝手にカズにあげるつもりで剣を作ったけど……いつあげよう?
キャラメイク以来のステータスを書いてみたけど、ちゃんとどう割り振られてるか考えていなかったために計算しなおす羽目になったのは自業自得である。
なお、HPとMPが減ってるのはたまにしか回復してないからと鍛冶場の熱気で体力が減ってたり、スキルを使用してるから減ってたりしてるだけである。




