23:時間ギリギリと進んだ街
森での収穫の続きと時間切れ間近な話
――セカンの森に採取の為にカズ達と入ってセカンの街に帰ろうとして進んで出た場所はどうみてもセカンの街ではなく……
「カズ、ここどこ?」
「あー……先の街に繋がる草原……かな」
カズはそう言って少し遠い目をしていて、唐ヶは何かモニターを操作しながら小さく何かを呟いていた。とりあえずわかるのはそもそもがこの状況になることが予想外なことだということくらいで……ボクは仕方がないので足元の草をむしっていた。
その流れでふと、時計を見ればその時間は……
「あ、カズ。ご飯の時間なんだけどどうしよ」
「あー……よし、唐ヶ。駆け抜けるぞ」
「せっかくだからって意味なのはわかってるけど……ヒカタを連れていける?」
「戦闘は省略する。ヒカタ、ということで速度薬はあるか?」
それから。カズは武器をアイテムボックスにしまってからボクを背負い、そのまま後払い確定の速度薬を飲んでひたすらダッシュをする準備をしていた。
「でも、街がどこにあるのかわかるの?」
「まぁ、だいたいで走ってればなんとかなる」
「カズはそういうけど、街がある程度近くなればこっちのマップに反応するから」
「……じゃあなんでセカンじゃない方に進んだときに教えてくれなかったんです?」
「……うん、それはごめん」
なんでも、街を発見するのは狩人特有のスキルらしく、はっきり言えばセカンの森は事実上街の敷地に含まれてはいるらしい。それで反応していたけど場所が特定できなかったという状態だったらしい。
まぁそれはそれとして、準備が出来たボクの視界には少し近い場所にあの青いマークが見えたけど……さすがに時間もないから今回も見逃すことは確定で、それから現実の時間もだいぶギリギリを示していて……ボクは少し怒られることを覚悟したのは言うまでもなかった。
――広い草原を駆け抜けるカズと唐ヶは息を切らしてる様子もなく、ついでに向かってくる敵がいても唐ヶが小さな弓みたいなので射貫いていてとてもすごかった。
「あ、マーカー出てきた。ここから北西方向」
「おう。……ヒカタ、バフ薬の効果あとどのくらいって出てる?」
「えーと、1分くらい?」
カズは小さくなら余裕だな、と呟くとさらに加速して、その横を唐ヶが離れない速度でついてきていて、レベルが高いというのはこういうことかもしれないと思いながらボクは結局効果時間の表示ウィンドを見ながら流れていく景色を見ていた。
そして、なんとかたどり着いた街は中央によくわからない銅像がある街で、ボク達はすぐにセーフティゾーンでチェックをして、ひとまずセカンに戻って解散をして、ボクはログアウトをした。
――セカンに戻るときに確認した街の名前、それは【シクル】第6の街と呼ばれる場所だった……――
ついでに、ログアウトして晩御飯を食べる為に部屋を出ればちょうどお母さんが呼びに来ていて……やっぱりちょっと怒られたのは多分些細なことなんだと思う。
ということで第6の街登場です。3の街を飛ばして6の街。ただし、ヒカタは知らない街という認識しかないのと晩御飯の時間に間に合わなくなるということに慌てていたのでホントに登録しかしてない状態である。
ついでに、セカンの森に入れるプレイヤーはほんの一握りです。




