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17:作業場のこと

作業場で作業をする前の話


 ――ファスタウンで住人からの好感度が一定に達したとかなんとかで作業場が開放されたボクは、マップに記されている作業場に向かっていた。その作業場は、セーフティゾーンである噴水からすぐの西側にある大きな建物で、マップを埋めた時には確か作業場という表示じゃなくて【現在は侵入不可】という表示だったはずだ。


 「そう考えたらそんな表示の建物ってまだあった気がする……」


 そうボクはひとり呟いてみたけど実際、入れない建物にはさほど興味もないし、入れないならそれでいいと思ってたからそこまで気にしていなかったけど……もしかして、現在はっていう表示の建物はクエスト次第では入れる可能性があるってことなのかな……


 「まぁ、いいか……」


 結局、マップは埋まっているし、今やりたい目的ごとがあるし。気にしても仕方ないという現状があるからこそボクは現在は侵入不可という建物のことを改めて気にしないことにするのだった。



 さて、今ボクは作業場の中にいて、ここに入るときに少しだけ周りがうるさかったけどそれは置いておいても問題はないくらいにボクは今目の前に広がっている景色に目を奪われていた。

 作業場だというのだから部屋がいっぱいあるだけかと思ったけど入口すぐにはガラス細工でできた剣を抱く5人世界の時に見たのと同じ姿をした“精霊様”の像があり、その横には受付のようなカウンターがあって、そこにはどこかで見たことのあるような姿をした青年がいた。


 『作業場へようこそ、ここは、軽作業をする方に場を提供しています。利用する場合はこちらで登録の方お願いします』

 「あ、はい」


 作業場の受付にいる青年に促されて利用するための登録を目の前に現れたモニターに表示される項目をひとつずつ埋めていく。その項目の中には作業場で使うスキルについてや、自分のレベル、ジョブなんかを入力する欄があり、ボクはそこで製本と調薬、料理を入れていった。レベルはいつの間にか28になっていたのは多分講習を受けたりしたからかもしれない。


 「じゃあこんな感じで」

 『はい。登録完了しました。では、今から利用しますか?』

 「お願いします」

 『では星階の3番部屋を使用してください』


 そう星のモチーフが付いた鍵を渡され、ボクはそもそも星階がどこかわからずに受付の青年を見ればすぐに教えてくれた。ガラス細工の精霊様の像の奥に扉がいくつかあり、それぞれに星階、太陽階、月階、水階、風階というのがわかるくらいに扉の上にそれぞれの形を模したモチーフが掘られていて、それぞれに対応した鍵を刺して回せば自分だけに割り当てられた部屋へ扉が開くらしい。

 そしてまた、同じ扉を開けても刺した鍵によって開かれる部屋は変わるから絶対に作業中の部屋に突撃、なんてことにはならないみたいで……どういう仕組みなのかは気にしない方がいいかもしれない。


 「ありがとうございます」


 ボクは受付の青年に一礼をして、星のモチーフが掘られた扉に渡された鍵を刺し、回せばそこは紹介所のように壁に必要な道具がかかっている小さくも使い勝手のよさそうな部屋だった。


作業場の受付はナビゲーターにそっくりです。(ただしナビゲーターではない)

精霊様の像は見る人によって変わります。

そしてあくまで軽作業用の作業場である!

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