15:本を作るスキルとか
本は買うだけじゃなくて作れるって話
――学校がお休みの日、ボクのゲームは朝食を食べてからはじまる。とは言ってもやることはセカンの訓練所で講習を受けたり、図書室で本を読んだり、セカンの街を探索をしたりするだけだけど……
「また本買いに行かなきゃ……」
そう気づいたのは白紙の残ってる本がなくなっていたからで、もちろん初期装備にあった緋の本はずいぶん前に埋まってるし、切り捨てれるメモはボクの中ではなくて。だからファスタウンに戻ったわけだけど……
《クエスト:製本の習得を発見されました。受注しますか?》
ファスタウンにある本屋さんで白紙の本をくださいと言った瞬間、このモニターがいつものように出てきて、それをよく見れば条件について書いてあって……
「おじさん、製本の習得ってなんですか?」
『あぁ、お前さんはページ写しも覚えていただろ? 次の段階に進んでもいいと思うんだわ』
本屋さんの店主が言うには、ボクが本をいっぱい持っていて、白紙の本が1冊も残ってなくて、それでいていくつかの必須スキルを覚えてるからこそ自分で好きな本を作ったらいいんじゃないかっていうことらしい。
『武器にもなる本も作れるし、防具になる本も作れたりするがどうする?』
「覚えてスキルが減るとかなさそうだし……じゃあやる」
そうやってボクはクエストを受注して、店主から手取り足取りで製本を教えてもらって……スキルに製本が増えたのはその日から2日後だった。
――時間は少し戻ってボクがクエストの【古書の解読】を受注していた時のこと。クエストを受けて、店主を見ればその老人はいつの間にか立ち上がっていて、その足はゆっくりとボクの方に進んでいて……
『お前さん、本に興味はあるか?』
「はい……ボクの武器? 装備かな、緋の本なんですけど……もう白紙が埋まりそうだったから……」
『なるほどな……ならこの本を読んでみろ。読めたら安くしてやろう』
そう言って差し出された本はとても分厚く、そして表紙には英語みたいな文字が書かれていて……
「おじさん、これって調薬の研究書?」
『あぁそうだ。だがそれだけではない……わかるか?』
「うん、と……あ、これって辞書みたいな感じにもなってるのか……効能、効果、組み合わせ……すごいなぁ……」
5人世界の時に調薬を教えてくれた人が見せてくれた本に少し似てて、でもあの時見た本よりも少し色あせていて……
『なら次はこれだ』
そう言って老人が古い本を出してきて、ボクがそれを読むを繰り返すこと5回くらい。気付けばボクの手元には老人がやると言って来た本が数冊、スキルもいくつか増えていて、クエストを理解した気がした。
「そっか、クエストってスキルが増えたりするんだ……あ、レベルもあがってる」
『今のお前さんならここまでだろうな……だが、またいつでも来い』
「本の白紙がなくなったら来るよ」
そういうやり取りをしたときはまたここでクエストを見つけることになるとはホントに思っていなかったんだけどなぁ……
ということで新しいスキル習得です。ついでに古書の解読時のやりとりもちらりと。
なお、5人世界は陽葵たちがプレイしているワールドよりも時間軸が前となっております。




