プロローグ:ゲームを始める前段階
VRなネトゲの話が書きたくなったので!
「ふぁいぶとぅわーるど?」
――【five to world】それは、高校の休み時間、唯一の友達である隆和から誘われたオンラインゲームのタイトルだった。
「そ。陽葵って割と作業ゲー好きだろ? まぁ、作業ゲーに出来るのは第一関門突破してからだけど」
隆和曰く、その【five to world】というゲームはキャラクターを作ってログインすると最初は完全ランダムで組まされた5人のプレイヤーしかいない世界からスタートをするらしい。
そして、その5人だけで最初のボスを倒さなければ他のプレイヤーのいるワールドに接続が出来ないらしい。
「ま、ボスの倒し方はホントに自由だけどな」
1人でボスを倒したワールドもあったり、5人が協力して倒したワールドがあったりとホントに決まった倒し方はないらしい。
「隆和は?」
「俺のとこは協力してだなぁ……ま、陽葵は陽葵で好きなジョブになって好きにプレイしたらいいと思うよ」
それから隆和は休み時間が終わっても、放課後になっても、家に帰りつくまでずっと【five to world】の話をしていて……ボクは
「婆ちゃんただいまー」
「おかえりなさい、ひなちゃん。あら、楽しそうだけどなにかあったのかしら?」
「隆和にね、ゲームやらないかっておすすめされたの」
ボクの家にはいつも婆ちゃんがいて、夜になればお仕事に行っている両親が帰ってきて、たまに、一人暮らしをしている兄ちゃんが帰ってきたりするそんな家でボクは生まれ育っていた。
「じゃああの埃をかぶってるゲーム機を使うのね?」
「まだ動くかな……」
婆ちゃんが言っているのは、ボクが高校に入学した頃に兄ちゃんから貰ったVR用のゴーグルのことで、はっきり言えば初期設定だけをしたきりでそれ以降はまったく触れていなかったから婆ちゃんの言う通りにそれは完全に埃をかぶってる状態にあった。
「そうそうひなちゃん、今日、かげちゃんも帰ってくるみたいだからお鍋よ」
「あれ、兄ちゃん帰ってくるんだ。最近修羅場だって言ってたのに……落ち着いたのかな」
「かげちゃんからのメールには野菜求むって書いてあったわ」
ボクの兄ちゃん、景灯はどうもお仕事の関係で食生活が安定していないらしく、帰ってくるときは大抵効率よくお野菜の摂取ができるお鍋率が高くなる。そして大抵ご飯を食べながら泣く……けど、ボクにとってはいい兄ちゃんなので目元によくある隈が心配ではあった。
まぁ、兄ちゃんがどんな仕事をしてるのかボクは知らないけど。
「とりあえずダウンロードだけしてくる」
「そうね。ご飯できたら呼ぶわね」
ボクは婆ちゃんにありがとと返してから荷物を持って自分の部屋へ行けば、そこにはゲームをするのに必要な機材が全部そろっている。……全部、兄ちゃんがくれたものだけど
「えっと、ログインのパスワード……」
いつも使うパソコンを起動して、その間に荷物を片付けて、着替えて、それからゴーグルを接続してるうちに思った通りにパソコンの立ち上がりが完了した。
「隆和はタイトルを入れたら一番上に出てくるって言ってたけど……あ、これかな?」
青空を想わせる青と白の背景に浮かぶ【five to world】の文字、そこをクリックすれば背景の色は夕方のような赤とオレンジが混ざったものになり、一瞬の暗転、次に映ったのはゲームの世界観の話だった。
「世界が分裂、これが隆和の言ってた最初のプレイヤーが5人しかいないワールドってことかな?」
とりあえずと読み進めてわかったことは、最終的には世界が繋がった先にすごい敵がいるということで、そこまでは好きなように攻略していけばいいということだった。
「うん、ちょっと楽しみ」
ダウンロードもインストールも世界観の話やシステムのところを読んでるうちに終わり、ご飯まではまだ時間もあるからボクはさっそく次の段階へ進むことにした。
――ボクはまだ知らない。これから始まる、新しい世界で起こることがどれだけのものかを……――
5話ごとに掲示板回が入る以外は基本的に主人公視点のつもりです。
そしてのんびり更新予定です。
というか、これはMMOネタと言ってもいいのかいまいちわかってないし、終着地点もまだ決まってないですが見切り発車もいいよね!