第7話
回復魔法と許し
ハーレムを作ることにしたヒデトは、モンスターとの対決の後処理を行っていた。
というのも、ヒデトが自分でした方が早いからである。
ただ、他のアイネの人々にはあんまり見られたくないため、
アイネの人々にもう危険が去ったことを告げ、内部へ移動してもらった。
その後、
ミクそしてアキには、
これから暮らしていくうえで自分のことを知ってほしいということで、
アルビスには、
仲のいい友人ということで残ってもらった。
こうして、無事チートで暴れられる環境が整ったため、
ヒデトは、
「さて、今から見ることは他言無用で頼む。」
と言うと、
EXスキル「智慧」の並列演算・解体そして「吸収」を行い、
120ほどの数のモンスターを跡形もなく焼失させた(実際には吸収しています。)。
「え、今どうなったの?」
ミクが気になったのかヒデトに聞いてくる。
「俺が持ってるチートな能力で吸収したのさ。
実は一度このことはミクやアルビスには昨日言ったんだぞ。
でも、二人ともキャパが低かったからかきちんと理解できてなかったんだよ。
まーだから、チートっていうことにしておいてくれ。」
「キャパ?まあ、よくわからないけど、ちーと、か。
ちーとっていうスキルなんだね!
多分、ヒデトにはわかっても、うちらには理解できない内容だと思うから、
聞かないことにしとく!」
ミクがちーとをスキルだと思っていることが少々おかしくて心の中では笑ってしまったが、
内心安心したヒデトは、
ストレージに保存していた魔石120+13個、レッドハーブ12本をミクに渡す。
「今回のクエストと、このスタンピードで出た魔石だ。確認してくれ!」
「わ、わかったわ。っていまどっから出したの?」
「これもチートの能力だ。ストレージっていう。アイテムボックスの上位互換だ。」
「ちーとって何でもできるのね!すごいわ!」
ね、アキ!!
「うん、ヒデトさん何でもできて素敵です!!」
「お前がいると、俺の存在意義がなくなるな…。でも、お前がいてくれて正直助かったよ。あのままだったらじり貧だしな。」
アルビスがお礼を告げる。
「あ、そういえばお前らけがの手当てまだだろ…。」
ヒデトがアルビスに聞く。
「そ、そうだな。少し腕をやったから痛いとこだ。」
「俺が何とかしてみるよ…。その前に、一度ギルドへ帰ろう。
ここでまた何かあったら危険だし、ギルドへ帰ってからの方が手当てしやすいと思うから。
この魔石もそこで改めて渡すよ。」
「じゃあ、私は先に帰ってお食事の準備などをしてますね。
ヒデトさんが帰ってきてご飯を食べ終わった後、ヒデト様の部屋に行ってもいいですか?」
アキがこう口にする。
「わかった!
食事よろしくな!」
そういうと、アキとヒデトたちは門を通過したところで別れた。
さて、ギルドへ帰ることになったヒデトたちであったが、
道中ヒデトは、溜まっていたSPを使ってユニークスキル「自然回復」を
最大のLV5に引き上げた。
溜まっていた103758SPはこれで278SPまで減ったが、まあいいとしよう。
ヒデトが「自然回復」を最大に上げたのには理由がある。
月見荘で過ごした昨日の夜、万物検索でスキルについて調べていると、
スキルLVによって効果が大きくなったり、対象が加わったりするという情報を得たのである。
この「自然回復」の場合、最大LV5にすると、
自身は常時・他人にも時間的制限があるが自然回復を行えるのであった。
つまり、ヒデトはこれでアルビスらの怪我を直していこうと考えたのである。
ギルドに到着してミクに魔石などを渡し、アルビスの手当てを開始する。
「よし、アルビス。そのままじっとしててくれよ。」
「お、おお。」
ヒデトがアルビスに向かって自然回復を放つ。
すると、時間の経過に伴い少しずつ怪我が治っていく。
「ま、まじか。怪我がだんだん治っていってる。」
「えー!!、すごすぎるわ。これもちーと、のおかげ??」
アルビスとアキが口々にそろえてほめまくってくる。
ミクには鑑定を頼んだのだが、これは結構珍しいことらしい。
目を光らせて興味津々である。
5分もしないうちに、解析鑑定で調べるとアルビスの傷が治っていることが確認できた。
「ありがとう!ヒデト!今回は本当に助かった。
できれば、他の負傷者も直してくれるとありがたい!
お願いできるか?」
「もちろんだ。連れてきてくれると助かる!」
「おーよ。」
アルビスはうれしさのあまり元気いっぱいかけていくのであった。
すると、ピコン。
「『救い主』の称号を獲得しました」
とステータス画面に出てきた。
異世界に入った時は、「異世界からの来訪者」だったな。
この称号っていったい何なんだろうか…。
ミクが魔石を調べている間に、アドバイザーに脳内で聞いてみる、
「アドバイザー称号って何なんだ??」
すると、アドバイザーが答えた。
「称号の詳細を説明いたしますと、以下の通りとなります。
称号によってそれぞれ効果は異なっていますが、主にその称号に関するジョブ強化や魔法などを取得できるようになります。
例えば、現在ご主人様が所持しておられる「異世界からの来訪者」と「救い主」ですが、
それぞれ、ジョブ来訪者の強化、全回復魔法の取得、という効果があります。」
相変わらず、かわいいメイドを彷彿させる声である。
なるほど…。
って、
「え、俺今すべての回復魔法使えるようになったのか??」
「はい」
アドバイザーが応じる。
マジか…。チート過ぎやしないか…。ってことは、全部直す魔法とかも使えるってことだよな…。
「万物検索、回復魔法一覧!」
ヒデトがEXスキル「智慧」の万物検索を使用すると、
魔法のランク順に回復魔法が一覧として表示された。
ギルド登録の際、ミクに魔法のことについて大まかに教わったのだが、
魔法のランクには、下級・中級・上級・超級魔法と段階が存在し、その上に伝説として語られる神話級魔法というものが存在するらしい。
さて、回復魔法にはどのようなものがあるかを調べると、以下の種類があった。
どうやら、ミクの話に間違いはないようだ。
初級魔法
「プチヒール」…軽度の傷を治す
「プチキュア」…軽度の病気を治す
「プチリカバー」…軽度の状態異常を治す
中級魔法
「ヒール」…中度の傷を治す
「キュア」…中度の病気を治す
「リカバー」…中度の状態異常を治す
上級魔法
「ハイヒール」…重度の傷を治す
「ハイキュア」…重度の病気を治す
「ハイリカバー」…重度の状態異常を治す
超級魔法
「エリアヒール」…ハイヒールの効果を、術者が周囲50m内の選択したものに与える
「エリアキュア」…ハイキュアの効果を、術者が周囲50m内の選択したものに与える
「エリアリカバー」…ハイリカバ―の効果を、術者が周囲50m内の選択したものに与える
神話級魔法
「リバイブ」…蘇生する
「リストア―」…任意の範囲の物体をあるべき形へと完全回復する。
なるほど…。
回復魔法の神話級って、蘇生できるし、壊れた家も直すことができたりもするのか…。
ミクやアキの言葉を借りるなら、「ちーと」だな。
試しに、アルビスがお仲間を連れて来た時に「リストア―」を使ってみよう。
と、思っているとアルビスがけが人のお仲間を連れて帰ってきた。
「少し多いが、よろしく頼む。その「ちーと」というやつで…。」
「おう、任せとけ!」
そう言うと、ヒデトがEXスキル「智慧」の効果、無詠唱でリストア―を発動する。
ついでだから、町全体を範囲に入れた。
突如、ギルドの内装外装がきれいになってゆく。それだけではない。
アイネの町全体の街並みがきれいになっていった。
ヒデトの無限大の魔力によって壊された二個の水晶も、街に無残に置かれていた壊れた馬車も、何もかもが治っていった。
物だけではなく人においてもそうであった。
病院で寝たきりだった老人も走れるようになるまで症状が回復していく。
もちろん、ヒデトの近くにいたアルビスたちのお仲間も、
折れた左腕や失った部位が瞬く間に回復する。
発動して数秒だろうか、アイネの街のあちこちで歓声がどっと聞こえた。
「ヒデトほんとにありがとう!
おかげでみんなの体が治った。
お前は神様かなんかなんだろう。
もう、その「ちーと」に感謝しかないなぁ!!
本当にありがとう。
月見荘の宿代だが、そんなのもういらねえや。
ほんとに感謝し…。」
アルビスが話してるときにもかかわらず鑑定中だったミクが駆けてきて、口をはさむ。。
「ねね!水晶二個とも治ったよ!!!
もしかしてこれもヒデトがしてくれたの?」
「ああ、たぶんそうだ。」
ヒデトが照れながら答える。
「ありがとう!!!
これで、これからギルドへの登録ができるようになるわ!」
ミクがお礼を告げる。
「ごめん、営業妨害してたんだよな。悪かった。
今度その埋め合わせはきちっとさせてもらうよ。
それで、ミク、お前これからどうする?」
「これからって?」
ミクがヒデトに復唱する。
「え、いやその、俺のハーレムの第一婦夫人になるんだろ?
実は俺冒険者だから、この町に長く居ようとは思ってなかったんだ…。
だからいまのところ、ここのクエストを一通り終わるまでは
アイネにいようと思ってる。
ただ、終わってからは違う場所に行こうと思うんだ。
ミクやアキが無理なら、これからはここで暮らそうと思ってる。
そこで、どうするかってことなんだけど…。」
「大丈夫!私ヒデトの行くところだったらどこへでも行くわ。
ここの仕事にも飽きてたところだし、ヒデトがいてくれたら
一人の時はお金とかで苦労してたけど、生活にも困らないだろうし。
私は大丈夫よ!」
これまた満面のかわいらしい笑みを浮かべたミクがそこにいた。
「ありがとう、無理強いしてるようでごめん、これからは俺が責任を持ってミクを守るよ。」
ヒデトが、童貞らしからぬ見栄を張った発言をする
「ありがとう、期待しとくね!じゃあ、またあとで行くから。
疲れてるだろうし、鑑定した後の報酬は宿に持っていくわ!」
童貞とは知らないのだろう。
すこし期待してそうなミクが少々かわいそうである(笑)
そんなこんなで、アルビスへの月見荘の宿代が回収され、
クエスト報酬並びに魔石を売ったことで、
ヒデトのとりあえずの資金源の調達が約束されたのであった。
月見荘へ着くと、店主さんが食堂でアキとヒデトの帰りを待っていた。
「今日はありがとうね!
あなたがいなかったらアイネの町はモンスターによって廃町化していたよ。
ほんとに感謝しかないよ。
で、それとこれとは違う話だけど、
できればそんなあんたにこれをもらってくれないかと思ってね。
これって、あーこの娘、アキのことよ。
夕方にあんな熱々な情熱的なものを見せられたら
それは親としてはもらってほしくなるもんだ。
もう年ごろなのに一切そんな話をしてこないと思ったら、
あんなのを見せられたからねぇ。
もうお願いするしかないでしょ?
私は私の代だけでこの宿を営む予定だったんだけど、
その子が私がこの宿を継ぐって聞かなくてね…。
だから、この際旅人のあんたになおさら
この子をもらって連れて行ってもらってほしいってわけだ…。」
店主がヒデトに思いもよらないことを告げてくる。
「え、ちょっとお母さん。何言ってるの?
ちょっと来て。」
店主を奥の厨房に連れて行ったアキはなにやら店主に話を付けているらしい。
しばらく待っていると、二人が戻ってきた。
心配そうに見つめてくるアキをよそに、ヒデトは
「大丈夫。少しびっくりしただけだよ。」
とアキに言うと、
「私としても、お見受けさせていただけると嬉しいです。
娘さんを大切にさせていただきます。
お見受けさせていただけますでしょうか?」
と、礼儀正しく店主の許しを得ようとする。
結果は…、
「よく言った!あんた強さだけじゃなくて根性もあるのね!気に入ったわ!
アキをこれからよろしくね!さっき聞いたけどミクさんとのハーレムも全然大丈夫よ!
アキにあんなことやこんなことをしても咎めないから、思う存分やっちゃいなさい!
アキ、これからヒデトさんと仲良くしなさいよ!」
「はい!」
「ありがとうございます!」
アキとヒデトがそろって返事をする。
そしてヒデトを見てこちらも先ほどのミクに負けないような満面の笑みである。
もう薄暗くなってきているにもかかわらず、あたりが光り輝いてるかのようだ。
黒髪ショートで、すこしあどけなさが残っているが、
身体は胸のふくらみも十分で出来上がっているかわいい女の子、
そんなアキをもらうことができて、幸せいっぱいのヒデトであった。
おいしい夕食を食べて、部屋に戻ってしばらくしていると、
ヒデトの部屋のドアをたたく音がした。
ドアを開けてみると、ミクとアキだった。
念のために、EXスキル「智慧」の創造・編集で
シングルベッドを最高級のダブルベッドにしたことは黙っておこう。