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第4話

ギルドとお金

長期的な目標が決まり、ヒデトは索敵モードを駆使しながら「美しい草原」近くの小さな町へやってきた。

小さな町の名は「アイネ」。

幸い、道中索敵モードを使用したが地図にも赤い点は表示されなかった。

町の入り口の前に到着した今も、用心のために使用しているが索敵に敵影は引っかからない。

「んじゃ、さっそく女の子探すか!」

ヒデトは門を通過する。

その際、言うまでもなく門番に引き留められた。

「ちょっと待て!こんな田舎の町へ珍しい。お前この町の者ではないな?

この町へ入るには、身分証の提示と通行料3ガルがないと入ることができない決まりになっているんだ。身分証の提示と通行料をお願いするよ!」

鍛え上げられた体に大剣の鞘を後ろに携えた中年の男性の少し硬い声が響く。

「ガル…」

ヒデトは、聞いたことのない言葉だったため、万物検索で調べる。

すると…。


「説明いたします。

「ガル」とは、こちらの世界での統一の金銭の単位の一つです。1ガル≒1円といわれています。

これより上の単位に「ガレル」という単位があり、1ガレル=1000ガル≒1000円といわれています。

さらにこれより上の単位に「モルワル」という単位があり1モルワル=1000ガレル≒100万円といわれています。

これより上の単位は基本的に扱わないそうですが、貴族の契約においてはさらに上の単位が使われたりすることがあるそうです。

硬貨には1ガルの銅貨・10ガルの銀貨・100ガルの金貨・1モルワルの白金貨があり、紙幣には1ガレル札、5ガレル札、10ガレル札があります。

硬貨のうち白金貨だけがどの硬貨や紙幣より価値の高いものということです。」

アドバイザーがここぞとばかりに脳内でヒデトに説明する。


なるほど…。めんどくさい設定してるなぁ…。

「よーわ、1ガル≒1円、1ガレル=1000ガル≒1000円、1モルワル=1000ガレル=100万ガル≒100万円で白金貨以外はすべて硬貨はガル単位、紙幣はすべてガレル単位ってことだろ?」


ヒデトは脳内でアドバイザーに尋ねる。


「その通りでございますご主人様!賢くてなによりです!」

喜んだ口調の明るい、何とも明るいメイドさん的な声が聞こえた。


ということは、身分証と通行料3円程度払えってことか…。

もしかして、この世界での1ガルつまりは1円の価値って相当高いのかもしれないな…。

この町が貧乏すぎるという説もあるけど…。


「あいにく、身分証やお金は持っていないのだが、どうすればいいんだ?」

門番に尋ねる。


「見たところお前は、冒険者とか旅人だろうから、ギルドに行くしかねえな。ギルドに行くとギルド会員の証明書がもらえるから身分証代わりになるし、お金もギルドのクエスト報酬でもらえるからな。ギルドに行くだけなら、俺も同伴していくことができるが…。どうする?」

いうまでもない。


「お願いするよ」


ヒデトは門番に頼んだ。すると、門番が口を開いた。


「俺の名前は、アルビス。見てわかる通り、この町の門番兼護衛隊長をしてる。といっても、この町の護衛役は俺だけなんだがな(笑)」


「おれはヒデト、一応旅人かな!よろしくアルビス!」


こんな感じの会話をしながらアルビスについていくと、なにやら少し立派な建物の前にたどり着いた。立派といっても近くの古民家に比べたらであるが…。

中に入るよう案内される。

中に入ってみると意外ときれいであるし、案外広かった。

そのままアルビスについていくと、ポニーテールのかわいい女の子がカウンターで立っていた。


「おお、ミク。ちょうどよかった。今しがた身分証とお金を持ってない旅人さんを連れてきたからギルドの方で登録してほしいんだけど…。」


アルビスが気前の良い声でミクとよばれるポニーテールの子に語り掛ける。


「わかったけど…。今日は、しっかりやってるのねアルビス。」


「今日は、とはなんだよ。まるで俺がやってないかのように…。」


「はいはい、しっかりやっててよろしい。ところでそちらの方がアルビスの言ってた旅人さん?」


ミクと呼ばれていた高めポニーの女の子、20ぐらいだろうか。少し自分より年下だが子供というわけでもない女の子がヒデトに聞いてくる。

内心、すごくうれしいものである。


「え、ええ。そうです、お願いします。」


「わかった。じゃあ、さっそくだけどこれに手を当てて!うんしょっ」

ミクがカウンターの下から何やら地球儀ではないが透明の球体のようなものを取り出す。


「これ、なんです?」

ヒデトが尋ねると、


「これは、水晶よ。といってもただの水晶ではないわ。これはステータスや過去の犯罪歴などを示してくれるもので、その人の魔力を使って手を当てると自動的にギルド会員証明書が発布される仕組みよ。さあ、手を置いて。」


言われた通りに、手を置いてみる。すると…。

ポワーン。すこしほんわかした音が鳴り、あたりが光りだす。その光がどんどん強くなる。


「これ大丈夫なのか?」

アルビスがミクに尋ねる。


「大丈夫じゃないわよ。今までこんなことなかったわ。やばいかも、あっ!!」


パリン。

水晶が木っ端みじんが粉々に割れあたり一面に水晶のかけら、いや砂状になって飛び散る。


「ま、まじか。」


これには、ミク、アルビス、そしてヒデトもが驚く。


「ごめん。ヒデトくん。水晶が壊れてたみたい。すぐに新しいやつを持ってくるから少し待っててね!」


ミクがカウンターの奥から新しい水晶を持ってきた。


「これは、新しいやつだから大丈夫と思うけど、アルビスにしてもらって確認してもらうわ。アルビスお願い!」


「あいよ。」

アルビスが手を当てると、水晶に光がともり、近くの印刷口から犯罪歴とステータスを示した紙が出てきた。その後身分証も出てきた。


「よし、大丈夫みたい!ヒデト君お願い!」


「わかりました。」


今度は割れないように願って

ヒデトがもう一度水晶に手を当てる。

しかし、パリン。

またしても水晶が壊れた。


「なんでなのよーもう。水晶が赤く光ることはあっても、壊れるなんて聞いたことがないわ。まさか、水晶が壊れるほどの魔力が流れたってこと?ヒデトくん。あなた魔力いくつ??」


ヒデトはここで理解した。

魔力というのは魔法を出すための力、すなわちMP(マジックポイント)と同義であることに。

ヒデトのMPは無限大であるためそりゃ水晶を壊すことにも納得できる。

ヒデトは、わからない状態を装い、


「え、えーと。人並みだと思いますけど…。」


次失敗すれば、本当に大ごとになると踏んだヒデトは、脳内でアドバイザーに相談する。


アドバイザーが出した答え、それは…


「ご主人様は水晶に触れることによって無意識に水晶が壊れるほどの魔力の放出をしているのが今の状況です。ですので、ご主人様が意識的に水晶が壊れないほどの魔力を放出すればいいのではないでしょうか。魔力の制御はイメージがかかわっていると考えられており、水晶が割れないようにとイメージしながら手を当てれば割れないと思われます。水晶が壊れた理由は、あとで二人に知ってもらいましょう。今は人目がありますし、宿にでも招き入れればいいと思います。」


「了解!さすがだアドバイザー!」

どうするかが決まったヒデトは、


「もう一度お願いします。割れた理由は後程きちんと説明しますので…。」

と、ミクに語る。


「理由ですか…。気になりますね…。」

探偵ごっこが好きな性分なんだろうか。ミクは探偵の言動をする。


「ほら、ヒデトが待ってるぞ。代えの水晶もってこい!ヒデト、後で俺にも聞かせろよな。」

アルビスはミクに催促したが、アルビスもまたヒデトの謎に迫りたいらしい。


「もちろんそのつもりだよ。」

伝えることを決めていたヒデトは、割り切った返事をした。


ほどなくして、ミクが帰ってきた。

すぐさま、割れないイメージを脳内に浮かべながら手を水晶に当てる。

一回目や二回目の時とは違い、きれいな、しかしアルビスがしたときよりも周囲が明るくなった。

水晶が割れないかと心配したが、よかった。水晶は割れなかった。


「よかった。割れなかったね!はい、ヒデト君のギルド会員証よ!確認してみて!」

身分証の表には、ステータス画面が載っており、しかしそのステータスは「偽装」の効果でヒデト本来のステータスではない偽ステータスが書かれてある。

裏は、ギルド会員として守らなければならないことなどが記入してあった。

表の左下が空いているのだが、ここにランクが書かれるのだろう。

ランクが上がるごとに更新されるのか…。

そう思っていると、ミクが口を開いた。

「おめでと!これであなたもギルドの一員よ。最初だからあなたはFランクね!会員証貸してみて!」

言われた通り、会員証をミクに渡す。

先ほど印刷するのとは別の機械に会員証を通した結果、先ほどの左下にFの文字が書かれた。


「さあ、できたわよ。はい、これから頑張ってね!水晶の件だけど夜にあなたの宿に行くっていうのはどう?知られたらいけない秘密みたいだし…。」


「ありがとう!ただ、俺はお金を持ってないんだけど…。」

ヒデトが返事をした。


「大丈夫!そこはアルビスが出してくれるわよ。ね、アルビス?」

ミクが巧妙にアルビスに仕掛ける。


「な!ま、まあ仕方がないな。ヒデトへの貸しへしとこう。そのかわりきちんと秘密を押してもらうからな!」

アルビスは、ミクには頭が上がらないようだ。何かあったのだろうか…。


ヒデトは返事をする。

「りょーかいだ。じゃあ、さっそく宿やこの町を一通り押してもらえないか?」


「わかった。ただ、門番の代わりの人に頼んでくるから少し待っててくれ。」

アルビスが、それを言って、走っていった。


「ミクとアルビスってどんな関係なんだ?」

ヒデトが率直にミクに疑問をぶつける。


「まあ、前に一人の私を育ててくれてたから親代わりみたいなものなんだけど、あの人モンスター討伐することはできるのに、全く自分のことできないのよ。

私が成長して、逆に料理や洗濯とか家事するようになったから、今じゃ頭の上がらない人って感じだと思うわ。私はもう今は大人だし一人暮らしでこうやって生計たてて暮らしてる。ただ、今でもアルビスの家の家事は私がやるわね。家政婦さんって感じかな。」


へー。実にできた娘である。

ぜひともハーレムに加わってほしいが、今はまだあったばかりなのでとりあえず勧誘は保留にしておこう。


こんな感じの話をしていると、アルビスが帰ってきたので、その後アルビスに町を一通り教えてもらいながら巡り、巡った中から目に留まった宿を選んで泊まることにした。

宿の名前は「月見荘」。理由は簡単、看板娘が年ごろのこれまたかわいいショートの女の子だったからだ。

なんでこうもかわいい子に恵まれているのだろうか。幸せだ。あー幸せである。

最初、巡っている途中に月見荘に来たとき、看板娘の子はあまりヒデトに興味を示さなかったが、今はこのように、ヒデトのことを気になっている様子である。


「ヒデト君!これからよろしくね!ここの料理はこの町で一番おいしいって評判なんだよ!私も腕ふるっちゃうから!明日の朝楽しみにしてて!」


何があったのかつくづく聞きたいところであろうが、それはまた別の機会に。


月見荘に入り、宿代を払って、部屋でゆっくりしていると、昼間話した通り、ミクとアルビスがやってきた。

今までの事の成り行きを簡単に説明する。

すると、二人には想像できない話だったのか、二人とも失神した。

二人の目が覚めたのは夜の3時過ぎ。21時ごろにここにきたので、6時間ほど失神していたことになる。

この異世界「アナザー」の民には相当堪える内容だったらしい。

目を覚ますと、記憶がおぼつかないのかなぜここにいるのかわからないまま、帰ってしまった。

アドバイザーが説明する。

「ご主人様の内容を話されるのはいいですが、この異世界の民には堪えた内容だったようです。ですので、記憶を司る脳の海馬の部分に精神系魔法「記憶改変」を実施しました。これにより、ヒデト様のステータスに関する記憶はすべて抹消されております。今日の出来事自体は覚えていらっしゃるので安心してくださいご主人様!」

なにやら、チート過ぎる内容がメイド姿のイメージからほとばしっていることは置いておこう。

ピコン。

『精神系魔法「記憶改変」を獲得しました』

最初の魔法がこれとはもはやチートの何でもないだろう。


だが、これから先、本当のチートというものを彼らは経験するのである。








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