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第24話

裏切りとランドハート王国

ミク・アキとシロ、リンとヤスイエの二組に分かれて、戦闘訓練を開始した。

そのように戦力の少ない中、ヒデトとサマエルはランドハート王国の聖騎士3000、

そして三星と対峙する。



ミクたち、そしてリンたちの二組のペアと別れてすぐ、

索敵モードでそのランドハート王国の騎士団の存在を確認したヒデト。

その騎士団の聖騎士3000のうち、2300が橙色(オレンジ)のマーカーをしていた。

オレンジを示すのは、山賊あるいは盗賊、もしくは反乱軍を示す。

即ち、この2300はランドハート王国の国王、

リンの父親であるロワイアム公に謀反を起こす者たちということだ。

しかも少し事態は悪く、マーカーが最も濃い人物が指揮官であるが、

青いアイコンではなく、オレンジ色のアイコンが濃いのである。

その詳細に三星、アルフレッド・ハイバーンの名が表示される。

まだ、3000の軍として働いているため、しばらくして反乱軍は行動を開始すると見ていいだろう。

その前に、少数部隊のリンの護衛、

即ち三星ギルバート・オングストンを倒しに来たとみて間違いない。


「サマエル!」


「はっ、ヒデト様お呼びでしょうか。」


「察しているな?」


「もちろんでございます。現在、私が作動させている結界魔法に引っかかった機影を確認しました。おそらく、ランドハート王国の聖騎士の一軍であると思われます。

その数約3000。

そのうちの一人は、三星ギルバートに並ぶステータスの持ち主と推定されます。」


「さすがだサマエル。だが、一つ足りなかったな。

三星に並ぶではなく、三星の一人が来られたようだ。」


「さ、三星本人が!?」


「そうだ。ギルバートもそこそこ強いが、あいつは少々体調が悪かったらしい…。

まあ、自称だが…。

今回の三星はフルパワーの状態だと覚悟した方がいいな…。

ステータスも完璧に高い状態と来ている。

サマエルには、しっかりと、リンの別荘への案内並びに訓練のことを悟らせないように配慮しながらおもてなししてほしい…。」


「おもてなし…、ですか?」


「そうだ。

アイコンに黄色が混じっている。3000のうち、2300がそれだ。

三星のやつも黄色になっているから注意しろよ…。」


「はっ。了解いたしました。」


素早くサマエルが立ち去る。


もてなしとは、もちろん2300の聖騎士の掃討作戦の総称である。

念のために思念・映像伝達モードで別荘にいるものすべてに事の詳細を伝えると、

ギルバート並びにセバスチャンが反応した。



「なに!!、アルフレッドが謀反だと!!!!

許さん。だが、今の手数ではさすがに儂一人では止めきれん。

万が一、アルファードが前線に出てきた場合は、なおさら分が悪い。

どうするべきか…。」


「そうですね。どうしましょうか。」


「何か案のある者はいるか?」


悪魔化して牢屋に投獄されているビトレイ・スケアードを除き、

ロイアル・タフマン、ワイズ・スマート、カイル・トレーダーといったギルバートの部下の面々が思考を重ねる。

ここで、少しこの三人のことについて記す。

ロイアル・タフマンとは、その名の通り、ロイアルでタフ、即ち

忠実でタフな男であり、体格は少し太い。ギルバートに仕える者の中で最も忠実と言われており、また、泥仕合に強く、ただただタフな男である。

よく軍隊を率いる際には、最もきつい死地の長として、敵を叩き潰す男である。

ワイズ・スマートは、これもワイズで、スマートな男、即ち

賢くそして賢い男だ(笑)。標準的な体系であるが、策略に富み、この男はギルバートが軍隊を率いる際は軍師的地位に就く。

カイル・トレーダーは、トレーダーつまりもとは商人の出だが、ギルバートにその際を見抜かれて聖騎士となった成り上がりである。

主に、前線ではなく、後方からの支援物資などを含めた面をサポートしている。

そういった面々であるが、自分たちの150倍ほどの戦力3000人を相手にするなど今までに経験したことはない。

どうするか迷っていたが、ここでヒデトが口をはさむ。


「その件は、こちらの方で対処するよ。

ギルバートのおっさんたちだけじゃ正直あまりあてにはならないし、大規模魔法使うときは何かとめんどくさいから…。」


「かたじけない。

魔王をも自分の手ごまに加えてしまうほどの力を持つ貴殿なら安心して任せることができる。

とてもではないが、今の我々の戦力では多統治できなかったのだ…。

お願いしたい…。」


「了解だ。

それを引き受けるにあたり、少々質問があるんだが、

騎士団3000人のうち、2300人が反乱軍なわけだけど、この人たちどうすればいい?

殺していいのか?それとも消滅させる?」


「ぶ、物騒なことをおっしゃるのだな、貴殿は…。

ま、まあアルフレッド以外の2999人は殺してくれて構わん。

ただ、その人数の死骸が出ると何かと問題が生じかねんから、消滅してもらいたい…。

残りの700は無力化してほしいのだがお願いしてくれるか?」


「了解!まあ、2300人も消滅させてもリバイブすれば再生できるから、何とかなるしまあ、こっちで何とかするから。安心してくれ。今こっちの様子を見せている通り、

おれがどんな状況にいるかの映像をそっちに見とくといいよ。」


「感謝いたす。では拝見させていただくよ。」


「おう!」


ということで、モニター越しで見られながらの戦闘だが、

今までどおり対処しようと思ったヒデトであった。



ヒデトがギルバート達と話している間に、サマエルは反乱軍のもとにたどり着いていた。


「何者だ?貴様。」


「私は、サマエル。お前たちを止めに来たものである。

ロワイアム公への謀反の罪は重い。今ならまだ見逃そう。

だが、ここから先へ来た場合は貴様らの命はすぐに消えてしまうものだと思え。」


「何を言っている。貴様なんぞにこの3000の兵は倒すことはできんわ。」


「全軍突撃!!」


「おおおおおおお!!!」


「っち、馬鹿が…。」


サマエルが、結界魔法を自身につける。

すると、サマエルに対して攻撃してきた

聖騎士たちの魔法や剣技はサマエルに通用しない。

結界魔法はそれほど強力な魔法である。


「えーい!!何をやっている。お前ら。

魔法なんぞ、キャンセラーを持ってきて排除すればいいだろうが。

さっさとやっつけてしまえ。こいつはどうせ時間稼ぎだ!!

早くしないとこいつの親玉がやってくるぞ。」


アルフレッドと思われる反乱軍の長が何やら言葉を発している。


「もう遅いかもしれませんよ…。」


小さな声でボソッとつぶやくサマエル。


「なんだこいつ。なんか言ったぞ!!!」


周囲の聖騎士が何やら警戒をした。


と、


「よいしょっと、ついたかな?お、サマエル、これどんな状況?」


空間系魔法「ワープ」でサマエルのもとへとたどり着いたヒデトが姿を現す。


「現在、結界魔法を使ってひでとさまのおっしゃるように足止めをしている状況でございます。」


「よくやった!

さーてと、じゃあ、とりあえず反乱軍のアルフレッド以外を消滅させるね。」


「はっ…。」


少し冷や汗をかいているサマエル。

魔物が元来感じるとされる、危険察知能が働いて、ぞっとしたのだろう。

それほどにサマエルは、これからヒデトが起こすものは危険極まりないものであると、そう予測した。

そうとはしらず、いつものように、EXスキル『智慧』の解体を使用するヒデト。

選択したアルフレッド以外のオレンジマーカーに照準を合わせて、解体を行使した。


「うわあああ、俺の腕が、足が…、無くなって!!うわああああ!!!」


あちらこちらで悲鳴が上がり始める。

しかし、その作用は恐ろしいことに痛みを伴わない。

気づいたときには要素へと分解されているのである。


こうして、水蒸気そしてほかの構成元素になった2999人の反乱軍の聖騎士。

これには、正規軍の700、そしてアルフレッド・ハイバーンも血相を変えた。

おびえて、体が動かない。足がすくむ。

先ほどまで一緒に戦っていた仲間が無残にまるで消滅させられる、そんな現象を生で体験し、これまでに感じたことのないそんな恐怖感を体験していた。

ヒデトはなぜ解体を使用したのか。それは、楽だからである。

攻撃魔法をうつことはヒデトは容易にできるが、解体をした方が消滅させるという点で後後を考えると効率が良いと判断した結果であったが、まさかここまでの恐怖感を敵にそして味方に与えることになるとは想像していなかった。


リンの別荘内では、ヒデトの『思念・映像伝達モード』により、ヒデトが戦う映像が送られていたが、ギルバートをはじめ、他のものものは、みな瞬間、息が止まったという。


「な、なんなんだ今の魔法…、いや、スキルか…。

ヒデト殿の言葉は軽い冗談だと思っていた儂がおろかであった。まさか本当にあの人数を一瞬にして消滅させるとは…。ヒデト殿を敵に回さなくて正解であった。あのお方は間違えなく、規格外の御方。いざとなれば世界を滅ぼすことも容易だろう…。」


「そうですな。ギルバート将軍…。私も、あの御仁は神話級の食べ物を教えて下さったたいそうお人柄のよろしい素晴らしい旅人であると考えておりましたが、あの魔王を手ごまにするほどの実力を秘めた御方であることを忘れておりました。改めて、ヒデト様のお力を感じさせられましたな…。」


「そうだな…。いやはや儂らの寿命が縮んだわい。ハハハっ…。」


「は、は、は…。」


冷や汗から出る笑いである。



そんなことが起きているとは、感づいていないヒデト。さらに、正規軍700人の武器・防具などを解体する。


「な、なんだこれ!!!俺の剣が…


「わ、我の槍が…。」


「俺の弓そして矢まで無くなってる…。一体どうなってるんだ…。」


700の聖騎士から様々な声が聞こえてくる。

ここで、ヒデトが威圧を伴いながら話す。


「ここにいるものよ。

今の力を目にしてなお、反乱を起こそうとするか。

ランドハート王国三星アルフレッド・ハイバーンは、ランドハート王国国王ロワイアム公に反旗を翻そうとこの度ギルバート騎士団を討伐するためはるばるこのギルバートの森の近郊のリン王女の別荘まで、足を運んできたのだ。

お前たちがなぜ消滅していないのか、それは、先に死んだ2999の兵は、アルフレッドの私兵、いうなれば直接反乱軍として活動する者どもであったからである。

そこにいるアルフレッドの身柄を確保すれば貴様らの命は保障しよう。

さあ、アルフレッドを確保し、降伏するがいい。」


「な、何を言っている貴様!!

先ほど2999の私の私兵が消滅しただと?

そんなことあるはずが無かろう。そんなバカげたことなどただのトリックにすぎん。

このような奴の戯言に耳を貸すのではない。

さあ、こいつを倒してしまえ。いけー!全軍突撃だ!!」


双方の意見を聞いた700の正規軍、結局どちらにも就くことができずに立ち止まっていた。


「仕方ないな。ならば、あいつらを呼んでやろう…。

ミク・アキ・リン、神獣たちを借りるぞ。」


思念・映像伝達モードでミク・アキ・リンたちに連絡するヒデト。


「え、どうしたの??なんかあったの?」


「まあ、ちょっとな。一応こちらの居場所を送るから、あとで来てくれ。

神獣たちを召喚させてもらうよ。」


「え、ちょっとヒデト!!私空の上なんだけど…。」


リンである。ヤスイエの背中に乗って飛ぶ訓練をしていたのだろう…。


(そうか、そのことは見落としていたな…。)


「じゃあ、ヤスイエ!すぐにこっちへ来てくれ!

シロは召喚させてもらってもいいか?」


「うん、いいよ!」


「いつでもヒデト様がいいときに召喚してください。


ミクとシロが応答した。


「こちらヤスイエ、あと数秒後にそちらへ着きまする。」


「了解したヤスイエ。よろしく頼む。リン!ヤスイエから落とされるなよ!!」


「わ、わかったから~~!!」


それから、ヒデトが離れた場所にシロを召喚すると同時に、

その場所にヤスイエも到着した。リンも何とか意識は保てていた。


リンがヤスイエから降り、リンだけがヒデトの近くに行く。


その際、


「えっ!」


と第一声を上げた。


「アルフレッド!!どうしてここに。

あなた、王宮の警護はどうしたの?」


「おお、リン王女久しく。

実はわたくし、あなたのランドハート王国を裏切ろうと思いまして…。」


どうやらヒデトが召喚したシロやリンの乗ってきたヤスイエのことには気づいていない様子だ。


「え…。」


驚いた表情を見せるリン。

まだ受け入れていない様子である。


「な、何を冗談なこと言っているの?

魔王のことなら私たちが倒したから早く王宮の警護に戻りなさい。」


「冗談??

陛下。そんなことはありません。

私はあなたの父、ロワイアム公を殺したいと考えているのですよ。

そのために、三星の一角は毒を盛り込んで殺したのですよ。ははははっ。

しかし、一つ邪魔なものがおりましてね。

それがあなたを警護する一団、もう一人の三星、ギルバートが率いるギルバート騎兵団というわけです。

どうです?私たちがここに来た意味が分かりましたか?」


「な、んで…。なんでよ、なんであなたが裏切りなんてことを。」


「ランドハート王国の未来に悪いものしかないからです。

あなたの父、ロワイアム公は傍若無人。

貴族のことしか考えていない、平民のことは一切省みない御方。

そんな国がこれからもきちっと成り立つとお思いです?」


「そ、それは…。」


「ほら、それは殿下も承知の事実のはず。

貴族が何もしないというこの風習を打破するために、今回の魔王討伐も殿下が率先して行われたのではありませんか。私が裏切った意味、あなたには理解していただけると思ったのですが…、どうでしょう…。」


「それとこれとは全く違うわ、あなたしていいこととしてはいけないことというのがお分かり?」


「残念です。リン王女殿下。あなたと私は意気投合すると思っていたのですが、

ここであなたも殺しておこうと思いますよ。

そこの700の聖騎士ども。俺につかないのなら、さっさとリン王女殿下のもとへ向かうがいい。

私が、おぬしらをたたききってやるがな。」


「に、逃げろ!!!


一目散にヒデトやリンたちの後ろに来る聖騎士たち。


「ここらで出番かな。さあ、シロ、ヤスイエ、出番だよ。」


「はっ」


「御意」


万が一の時を考えて、ヒデトは自身の近くにいたサマエルとリンにパーフェクトキューブを付け、シロとヤスイエにそれぞれパーフェクトキューブを付けた。

そしてヒデトたちとは離れたところからアルフレッドのもとへと向かわせるヒデト。


と、突如アルフレッドが剣を抜いた。

それも2本である。


「アルフレッドは二刀流の剣士としてランドハート王国中にその名をとどろかせた英雄です。

気を付けて!、シロ、ヤスイエ!」


リンが叫ぶ。


「大丈夫だよリン。俺がいるから(笑)」


「ヒデト…。」


抱き着いてくるリン。



これからヒデトたちを襲ってきそうなアルフレッド、果たしてこれからどうなるか…。


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