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第19話

リンの奪還

無事サマエル(魔王)を、使えさせることにしたヒデト。

ギルバートの部下であるビトレイが、

アサドリム大陸の大国ランドハート王国第二王女、

リン・ロワイアムを誘拐してしまい、ヒデトたちは捜索することを決意した。



ヒデトの索敵によると、当初予測したとおり、

リンはアイネの森の方へ向かっていると把握できた。

ただ、近くにいるはずのビトレイの位置は把握できなかった。

おそらく、ビトレイは優秀で自分は索敵隠蔽を持っているが、

リンにつけることを忘れてしまったのだろう。

三星ギルバートの部下ということで少しビトレイを過大評価していたようだ。


「よし、行くか!」


「うん!」

「はい!」

「はっ!」

「はっ!」


若い青年と美女二人、魔王一人と一匹、

ヒデトたち一行は、捜索を開始した。

といっても簡単である。

ワープと索敵モードがあれば、すぐに捕まるだろう。

索敵を見ると、リンたちを追っていたギルバート達も、

ギルバートの森を抜けてアイネの森に行く途中のようだ。

ん?、ギルバート、ギルバートの森…。

すこしなんかありそうだな。

まあ、いまはそんなことどうでもいいか…

先回りして挟み撃ちといこうか。

ヒデトはEXスキル「智慧」の無詠唱で空間魔法「ワープ」を発動する。

行先はもちろんアイネの森だ。



ワープでアイネの森に到着した一行は、アイネの森入り口から出てきて

アイネへと逃げようとするビトレイを目視した。

すぐさま止めに入る。



「ビトレイ、そこを動くな。

なんで、こうなってるかはわかってるよな。」


ヒデトが話す。


「や、やあ、ヒデト殿。

ど、どうしてこんなところまで?

というか、な、なぜここに来ているのです?

あなた方は魔王と対峙していたと思いましたが…。

ギルバート殿の姿は見えませんな。

あなた方もあのお方に任せてきた私と同じですかな…?

自分は見ての通り、魔王様と戦うのがやはり怖くて、

ここまで逃げてきたのですよ…、ははッ…。」


どうやら、

ヒデトたちがギルバート達と別れる前に

ビトレイはリンを誘拐したので、

ギルバート達がビトレイを追跡していることにはどうやら気づいていないらしい。


「へー、知らばっくれるのか、まあいいか。

その両手に重そうに抱えている袋の中身を返してもらおう。

ミク、アキ、リンを頼む。

シロは二人の支援、

サマエルは、ここ一帯に、

ビトレイが逃げれないような結界をとりあえず貼っといてくれ。

俺はこいつの相手をするよ。」



「了解!」

「わかりました!」

「御意」

「はっ」


「な、なぜそれを…、

そうですか…、

リンさんのことを知っておられたとは…。

王女を誘拐するには魔王が復活といういいタイミングで、

抜け目がないと思っていたのですが、

思いのほかあなた方は王女への警護の目もお持ちでしたか。


まあ、女二人と執事、それに犬っころごときでは私は倒せないと思いますよ。

私にもしなければならないことがあるのです。

申し訳ないですが、あなた方には負けてもらいます。

いや、死んでもらいましょう。」


「何を言ってるんだ?ビトレイ。

ギルバート達もリンがさらわれたことにはすぐに気づいていたぞ。

その様子を見たところだと、お前はリンに忠義も何もないようだね。

まあ、いいよ。

とりあえず、h袋の中のリンは開放してもらうよ。

それから、お前の処遇はどうするか決める。」


「ま、まさか~。フフフ、ハッハッハッハッハッハ…。

へえ、ヒデト殿は私を倒せると、そう思っておられるのですか?

あなたに最初にあった時は、助けていただきましたが、

あれぐらい誰であっても後ろからの不意打ちなど楽なものですよ?

一旅人のあなたが、かたや三星の部下の一人の近衛兵に勝てるとでも?

いいでしょう。

私がその力を見せてあげましょう。

まあ、そうですねオ石井ご飯を食べさせていただいたので、

私が圧倒的強さを見せて精神ごと落ちていただき、

シェフとして働いてもらいましょうか。」



「ひ、ヒデト殿!!

どうしてここに?

魔王討伐はどうなったのですか?」


と、ビトレイがやる前に横から誰かが口をはさんだ。

声が聞こえた方、ビトレイの後ろの方を向いてみると、

ギルバートやロイアル・ワイズ・カイルといった面々が来ていた。

無事退路を断って挟み撃ち成功だ。


「魔王の方は問題ないです。

今はそんなことよりも、こいつですよ。」


「こ、これは…、まさかビトレイ?」


ギルバートが驚き恐怖している。

先ほど、ビトレイが力を見せると言っていたのはハッタリではなかった。

ギルバートが口をはさんだ時、ビトレイに異変が生じていた

索敵モードの詳細には、悪魔化という状態異常が書かれており、

外見も魔人のように豹変してきていたのだった。

アドバイザーに、悪魔化について聞く。


「ご主人様!、周りの物だけでなく私も頼ってくださいね!

悪魔化について説明します!


悪魔化というのは、魔族によって人属が呪いを被った際につけられる状態異常です。

普通にしていれば発症することはありませんが、

力を入れると魔族のように強い魔力を行使できるようになります。

それに伴って、外見が変化するようです。


魔族化には二つのパターンがあり、

上位の魔族と下位の魔族どちらによって呪いがつけられたかによって分けられます。

上位につけられた場合、自我を保ちつつ魔族化できます。

一方下位の場合、自我を保てず暴走して魔族化します。

おそらく、今回の場合自我を保っているため、

ビトレイさんは上位の魔族に呪いを付けられた可能性が高いです。

上位の魔族が呪いを付けるときは、

その呪いの対象者をコマの一つとして使っていることが多いです。

ビトレイさんもその一人でしょう。


ですが、ヒデト様はその上位魔族にも勝ててしまう、

魔族の長である魔王の(おさ)、大魔王です。

このような雑魚に苦労することはありませんので、安心なさってください!

また、今回の呪いは掛けたものより実力が上の者ならば、

状態異常扱いであるので、回復魔法で解けます。

ですので、戦わずとも回復魔法で悪魔化を解いた方が楽かもしれません。

頑張ってください!ご主人様!大好きです!」



もう、だめだ、かわいい。

絶対実体化させるぞ。


ということで、

早速神話級回復魔法「リストアー」を使おうと思ったが、

たまには状態異常のみを治す魔法を使おうと思った。

ということで、ビトレイに上位魔法「リカバー」を使用する。


すると、ビトレイのステータスの詳細を確認すると、

悪魔化が取れて、外見も元に戻る。

そのまま、地面に倒れた。

どうやら相当MPを消費していたようである。

魔族のように人属は膨大ではないから当たり前といえば当たり前だ。

無事、ビトレイを無力化していると、

ミクとアキ、そしてリンを寝かせたまま背中に乗せているシロが戻ってきた。

あとで聞いたが、シロの背中は乗せたものが落ちないように、

うまく形作り、背中の上には振動一つ感じさせない安定性があるという。

これでリンは大丈夫だ。どうやら、寝てしまっているらしい。

睡眠薬でも飲まされたのだろう。

サマエルも結界を貼っててもらったが、どうやら意味がなかったみたいだ。


こうして、ビトレイを確保し、リンを無事発見できたヒデトたちはリンの別荘に戻った。

ついたころには、もう夜だ。

朝から魔王を討伐しに行ったというのに、なんだかんだで一日たっていたというのだから

早いものだと感じさせられる。ワープで移動したんだけどなぁ…。


「おかえりなさいませ、ヒデト殿。魔王改心お疲れさまでした。

リン様、そしてビトレイ殿のことはお聞きしております。

とりあえず、ビトレイ殿には、疑いの容疑もありますので、

地下の牢屋で過ごしてもらいましょう。

大丈夫です。一応、牢屋ですが、きちんとしたもてなしをいたします。

お二方とも疲れたでしょう。ゆっくりお休みになってください。」

黒執事のセバスチャンである。


「そうだな。すこしギルバートと魔王改心の話をして寝ることにするよ。」


「わかりました。

後程、お飲み物やお食事をお持ちいたします。

教えていただいた神話級のお料理、たくさんお持ちできそうです。

楽しみにしておいてください!」


こう、セバスチャンが言ったのには訳がある。

セバスチャンには、魔王改心のことを事前にスキル「思念・伝達」で伝えてある。

これもヒデトが想像により作った神話級生活魔法である。

また、セバスチャンにハンバーグやステーキといった

神話級の料理の作り方を教えたヒデトであったが、

他の神話級の料理の作り方を教えてほしいとのことで、

ユニークスキル『異世界の文明』で日本で出版されている料理の本を買い、

EXスキル「智慧」の編集で日本語をこの世界でもわかる語句に変更して

その本をセバスチャンに渡していたのだ。

この世界の人属というのは、覚えが早いので、

すぐさま300ページに及ぶ料理の本を隅から隅まで覚えたに違いない。

これでやっとおいしいご飯が食べられるというもんだ。

朝食は、家庭の味が楽しめる「月見荘」が一番だけどな。


「了解した!、楽しみにしてるよ!」


そう言って、ギルバートに話をしに行く。

これまでのことを大まかに打ち明けると、

なにやら感心した目でヒデトを見てきたギルバート。

どうやら、ヒデトのことを認めてくれたようだ。

今までとは明らかに態度が違い、ヒデト様~という感じになっている。

昼間気になっていたギルバートの森との関係性を聞いてみたが、

知らん、とのこと。

まあ、二人とも酒で酔っていたし、あまりきちんとは話せなかった。

関係性については何かあるのかもしれないと思いながらも、

夜も遅くなってきたため自分の部屋、三人の部屋へと戻る。


部屋に戻ると、誰も帰っていなかった。

ミクとアキは隣のリンの部屋でリンのお見舞いらしい。

なんかよくわからないが、いろいろあり、三人は仲良くなっていたそうだ。

久しぶりに一人になったヒデト。


「ふー。」


思わずため息が漏れる。

異世界に来てからというもの、怒涛にイレギュラーの連続で体が疲れているのだろう。

まあ、体はこの世界で作られたものらしいが…。

精神的に疲れている、といった方が正解かもしれない。

と、トントンと扉をたたく音がした、


「どうぞ」


とヒデトは口にする。



「失礼いたします。

ヒデト様、お疲れのご様子ですが、

何かさせていただくことはできないでしょうか。」


訪ねてきたのはサマエルであった。

あ、そういえば側用人として仕えてもらってたんだった。

帰ってきてセバスチャンに預けたはいいものの、きちんと見てやれていなかったな。


「ありがとサマエル。

じゃあ、マッサージを頼むよ。

肩と背中が痛い。」


ヒデトはそう言うと、ベッドに寝て、サマエルにマッサージをしてもらう。


「あ~~~~~、極楽。

サマエル、どうだ?こっちの生活は…。

セバスチャンは良くしてくれてるか?」


「もちろんでございます。

ヨルツブレムとは比べることもできないおいしさの料理、

きれいな服、そしてかわいらしい女方がいらっしゃいます。

それに、セバスチャンさんが私にすべてを教えてくださっており、

大変勉強になっております。

早く、一人でヒデト様にお仕えできるよう頑張らなければ!」


「そうか、ありがとな!

って、サマエル、女方って言うようになったもんじゃないか。

なんだ?

サマエルも意中の子ができたのか?

まだ来てすぐというのに…。」


「いや、どの子がというわけではありません。

ただ、魔族の女の子と比べて可愛いということでして…。」


「そうなのか??

そうか…、少し残念だ。」


そんな話をして一時間後サマエルに帰ってもらった。

もう時刻は23;30。

何かが、違う。

何を忘れてるんだ?

ご飯食って、マッサージしてもらって、歯磨きして、イチャイチャして、寝る…。


あ、お風呂。


この世界で一度もお風呂というものに入ったことがない。


最近生活魔法の「クリア」がよすぎて、風呂に入っていなかったが、

風呂に入りたい。

あったかいやつにつかりたい、

そんな気分になった。

サマエルには帰ってもらったので別の使用人に別荘に風呂があるのかを聞く。


すると、当たり前のようにあるとのことで、風呂に連れてきてもらった。

男と女は時間制で決まっているとのこと。

「ヒデト殿は、客人でもありますし、

ここの風呂は客人用で女性ではミク様やアキ様しか使われないので、

時間帯は関係ないでしょう」とのことで入れてもらった。

脱衣所につながる扉を開けるとあら…、

これはこれは日本の温泉じゃないか?

見たところ、完璧にそうである。

アメニティーも豊富、唯一ドライヤーとトイレがないが、

それ以外には完ぺきだ。魔法で明かりも灯っている。

着替え置きと思われる籠には、ブラが3つ。そのうち2つは知っている。

ヒデトが選んだミクとアキのだ。どうやら入っているらしい。

あと一つがわからん。

サイズ的にも二人と変わらない大きめである。

まあ、大丈夫かな…と思って脱衣所と風呂場の戸を開けると、

ミク、アキ、リンがいた。


リンがいた。


「きぃゃあ~~~~~~~~!!!!!!」


大声が風呂場にこだました。


「ちょ、ちょ、なんで入ってきてるわけ?」


リンがヒデトに尋ねる。

慌てて前を隠しているのが面白い。

タオルを持っていなかったのが運の尽きだな。

完璧にその体を堪能させてもらった。


体を洗いに行くヒデト。


「あ、ヒデト!

お風呂来たんだ!

私たち生まれてはじめてお風呂入ったんだ!

リンがすっきりしようってことで誘ってくれて!」


なるほど、そういう経緯か。


「ごめんな、リン。

この風呂は客人だから使ってもミクとアキしか入ってないということで

入ってしまったんだ。申し訳ない。」


「も、もう、い、いいわよ。別に。」


顔を洗っているので目は開けられないが、

片言で言っているのですごく動揺しているのがひしひしと伝わってくる。




さて、これからどうなるのか…。






続きはR-18版で

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