第16話
討伐前夜
この世界「アナザー」では、
神話級とされるものをまたしても生み出したヒデト。
ご飯であるステーキとハンバーグが神話級とはいざ知らず、その作り方を実演した。
そのおいしさにより、
執事のセバスチャン・エミッサリ―はもちろん、
ランドハート王国第二王女リン・ロワイアムことリンや三星のギルバート・オングストン、
その部下の
ロイアル・タフマン、ビトレイ・スケアード、ワイズ・スマート、カイル・トレーダー
という面々に早くも気に入られるヒデトであった。
だが、この時、このうちの一人が裏切者であったとは、、
本人以外はだれも思っていなかったのであった。
夕食を終え、リンたちとヒデトたちの話は例の話題へと移った。
例の話とは、食事をする前にヒデトが聞いた、
リンたちがそれを調査するためにここへ来たという、魔物の話である。
空を飛んでいることが目撃されたという話が王都まで伝わっているとの話だった。
リンが話す。
「で、さっき言ってた調査の魔物、モンスターなんだけど、
どうやらほんとに魔物…、いうなれば、魔族らしいのよ。
あ、魔族というのは、知っているとは思うけど、
魔物の中最強の部類に入る種族よ。
魔族は、周囲のモンスターを従えて意のままに操ることができるわ。
だから、私たち、まあギルバート達という王都でも指折りの存在が派遣されたの。
それで、今まで魔族を調査して分かったこととして、
やはりその魔族が何やら裏でいろいろ厄介なことをしていることがわかってきたわ。。
それが、ある伝承にかかわっていると私たちは考えているの。」
「ある伝承??」
ヒデトがリンに聞く。
「各々の属、つまり人属をはじめ亜人族・精霊属・巨人族・魔族という
すべての属に共通して伝えられている伝承。
その内容は、
『1000年に一度復活する魔王が、また復活する。』
というものよ。
それがちょうどこの時期だとされているの。
伝承は魔族にも伝承されているから、
魔族は魔王の復活を早くやり遂げたいのだろうね。
それを目的に裏でこそこそしているのだと思うわ。
それで、魔族に操られた、使役されたモンスターがいないかといった
動向に注目していたのだけれど…、
それらしい兆候は今のところないわ…。」
リンが、何やら聞き捨てならないことを口にする…。
「この時期に1000年に一度の魔王が復活する」、だと???
心当たりがあるヒデト。
なぜならヒデトのジョブは魔王ではないが、大魔王であるからである。
いや、あくまで伝承は魔王だ!大魔王ではない!!
ヒデトは、脳内で言い聞かせ、
自分ではない、全く知らない、
ということを貫き通すと決めた。
「そうなのか…。
ま、魔王の復活か…。
本当に厄介だ…。
もし、その魔王に人属を襲われたりしたら、
魔族と人属の戦いになるぞ。
他に伝承には何か書いてなかったのか?」
ヒデトがリンに尋ねる。
「他にはそうね…。
その後のことも少し書いてあったわね…。
復活した魔王は人属と争う。
魔王は大魔王に服従する
って書いてあったわ。
大魔王って言葉がここで初めて伝承で出てきてるのが気になるのよね…。
まあ、普通に考えると大魔王が魔王を自分の手ごまにするってことになりそうだけど…。
もし、そうなると
大魔王と魔王が手を組んで人属を滅ぼしに来るかもしれないわね…。
とりあえずそうなると厄介だから、伝承のようになるとしても、
人属への危害だけは減らさないといけないわ。
だから、私たちは魔王を討伐しようと思ってる。」
リンがヒデトが尋ねた理由に答えた。
それを聞いた途端、冷や汗が止まらないヒデト…。
な、なんですと…。
フラグ立ちまくりじゃないですかぁぁ!!!
おれ、大魔王ですよ??
リンが続ける。
「ただ、強さがわからなくて私たちもまだ探っている最中なの。
で、ここからが本題なんだけど、
ヒデトたちも、この魔王討伐手伝ってくれないかしら…。」
リンが上目遣いで聞いてくる。
こういうめんどくさいことを平気で言ってくるのが女ではあるが、
この美貌と上目遣いに弱いヒデトは、
「わかった。
俺たちも手伝うよ。
これからしばらくだが、一緒に魔王を倒そう!」
と、気づいたときには言ってしまっていた。
しまった。俺が大魔王だというのに…。
ミクやアキも、ヒデトがこう言うと踏んでいたのか
「やるよ~!!魔王討伐!」
「はい!!」
とミクとアキが口に出す。
やる気満々である。
これで、やめるとは言い出せなくなってしまった。
まあ、なるようになるだろう…。
ヒデトは覚悟を決めるのであった。
「ありがとう。
助けたくれたときもだけど、あなたたちの技量を貸してもらうことになって申し訳ないわ。
ただ、今回ギルバートとほかの四人だけでは少々物足りない気がして…。
これから改めてよろしく!
ヒデト!ミク!アキ!」
リンがそう告げてくるので、こちらも返した。
「よろしく!!リン!」
「リン!よろしく!」
「リンさん!、よろしくです!」
ヒデト、ミク、アキがそれぞれこう答える。
こうして、とりあえずのこれからの予定が決まった面々は、
討伐をするにももう夜ということで、
ヒデトたち三人は、リンの別荘で泊まることになった。
寝る前に、これから三人がどうして行くかどう振る舞っていくかを話し合う。
隣の部屋がリンの部屋ということで防音整備などが少し心配だが、
「カモフラージュ」でどうとでもなるから大丈夫だろう…。
一応ヒデトが「カモフラージュ」を使用する。
「これからとりあえず、リンたちの魔王討伐に手を貸すことになるが、
極力俺たちの強さは見せない方がいいと思う。
おそらくだが、今の状態のミクやアキ達でもギルバートに勝つことができるからだ…。」
「う、うそ!?!??!
私たちって、ヒデトのおかげでそんなに強くなってるの?」
ミクが口にする
「そうだ、ギルバートより王国の軍隊の頂点の三人の一角より二人の方が確実に強い。
だから、くれぐれも本気を出さないようにな。
もし出してしまったら、そくその才能が買われて軍隊行きになってしまう。
こないだ盗賊から助けたときは、拳だけでかつ不意打ちだったということで
なんとか能力を隠すことができたが、
今回の討伐では、ギルバート達も一緒に戦うんだ…。
ばれるリスクはそれ相応にあると思った方がいい。
だから、本気を出しそうになったら必ず俺が助けに行く。
分かったね?」
保護者のような口調だが、本当のことを口にしたヒデト。
王国の将軍よりこんなにかわいく非力そうな外見をしている美女二人それぞれが
強いというのだから、
ほんとにチートというものは怖いものである。
「わかったわヒデト!
くれぐれも注意するね!」
「了解ですヒデトさん!」
そんなこんなで二人にこれからの振る舞い方を教えると、
なぜか体がほてってきた。
ハンバーグなどと一緒に食べたワインのせいだろうか…。
完全に火照る前に
無詠唱で「クリア」を発動する。
すると、少々汚れ的になっていた三人の戦闘服がきれいになり、
服内の汗も汗気になっていたが、きれいになったようだ。
髪の毛や顔もきれいになった。
EXスキル「智慧」の創造により作り出された、ヒデトオリジナルの魔法「クリア」。
生活魔法に属し、これも神話級魔法であった。
効果は、選択した範囲のものをきれいにするというものである。
さあ、身も心もきれいになった感じがして、なおさら興奮しているヒデト。
そして夜・カモフラージュ・美女二人・清潔というシチュエーション。
その状態にもう我慢できない。
こうして、
夜・カモフラージュ・美女・清潔というシチュエーションがそろったことで、
あんなことやこんなことを開始した三人。
しかし、それを見ている者がいるとは、この時のヒデトは気づいていなかったのであった。
・・・
あまりの気持ちよさに、ミクとアキが失神したようなので、
ヒデトが、後片付けを「クリア」によって行う。
イチャイチャしたことによって、汚くなっていた部屋がきれいになった。
と、ここでヒデトがで部屋の出入り口の戸が開いていることに気づく。
すぐさまアドバイザーに確認を取るヒデト。
すると、アドバイザーが口にしたことは衝撃的な内容だった。
「ご主人様たちが気持ちよくなられている際、リン様がこの部屋を訪れました。
ご主人様が「カモフラージュ」を使っておられたので、
中には誰もいないように思われたかもしれませんが、
なぜか、入り口でこの部屋の様子をヒデト様の行為が終わるまで見ておられました。
もしかすると、リン様にはこの部屋の本当の様子がわかられていたのかもしれません…。
「まじか。
王女にしていることを目撃されるなんて…。
これは、すぐに聞き出さなくては…」
こうして、正装に着替えて隣のリンの部屋へヒデトは向かうのであった。
少しそういった描写ができず、
物足りない回となってしまいました。
いよいよ、次の回ではリンとヒデトの関係が大きく変わるかも…。
そして、いよいよ魔王討伐が始まります。
ぜひ、楽しみにしていてください!
R-18の方も応援よろしくお願いします。