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第14話

第二王女

二人を大切にしようと改めて思ったヒデト。

そう決意して、アイネへの帰路にたったのであった。


アイネに戻り、ギルドで魔石やアイテムを換金し、

ダンジョン制覇の報酬をもらう。

もう暗くなってきたので、「月見荘」へ帰ってきた。

夕飯を食べ、部屋でゆっくりし、そして

部屋のダブルベットで一緒に寝る三人。


ふとヒデトは目を覚ました。

月明かりが窓から入り、部屋が少しばかり明るく照らされている。

きれいな満月だ。

すっぽんぽんではあったが、満月をきれいに見るべく毛布から上半身を出す。

少し身動きがしにくかったので隣に目を向けると、

左右ではこれも裸であろうと思われる二人が、

毛布に、いやヒデトに抱き着いて寝ていた。


きれいな満月、俗にいうスーパームーンだろうか。

月明かりで月近くは見にくいが、星々も見える。


と、何かが月の前を通った。

巨大な黒いシルエット。

龍か何かだろうか…。

これからどんなことが起こるのだろうかと、内心楽しみにしながら、

また襲ってきた睡魔に身を任せて瞼を閉じるヒデトであった。



朝になった、三人とも身支度を済ませ、朝食をとる。

にこにこ顔のアキのお母さん、店主をよそにこれからの予定を話す。


「これからなんだが、この町でできるクエストを大方終らせた後、

アテネに頼まれた神獣テイムに行こうと考えてる。

二人とも、もうしばらくしたらこの町を離れることになるが、本当に大丈夫か?」


ヒデトがミクとアキに聞くと、


「大丈夫!どこへだってヒデトについてくよ!」

「もちろんです!私もどこへだって行きます!」


ミクとアキがこうヒデトへ返した。


「よし!そうと決まればアイネでできるクエストを片付けるぞ!」


「おー!!」

「はい!」


こうして、クエストをすることにした一行は、ギルドへ受理に来た。

先日のダンジョン制覇で無事Dランク昇格を果たした(本来Sランク行きである。)

ヒデトは、受理できるクエストが増えていた。

ミクの代わりに受付に入っているミールさんに、

D,E,Fランクの今できるクエストをすべて受理させてくれるようお願いをする。

ヒデトさんなら大丈夫でしょうと許可してくれた。


こうして、ヒデトはアイネの森そしてギルバートの森で、

薬草採取やモンスター討伐を行い始めたのであった。


今回受理したクエストには、

前回採取したファントムハーブそしてレッドハーブ以外の

ブルーハーブ、イエローハーブといった5種の薬草をアイネの森で採取すること、


ワイルドボアやマーリンカウ、そしてスモールベアの討伐を

ギルバートの森で行うことであった。



ヒデトが剣に該当する物を持つと危険ということで、

今回はヒデトは索敵だけに徹することにした。


「ワープ」でアイネの森に移動し、薬草採取を始める。

アイネの森での薬草採取は、索敵モードと「身体強化」ですぐに終わり、

「ワープ」でギルバートの森へ向かう。


ギルバートの森でのモンスター討伐を初めると、

索敵に反応した個所をヒデトが伝えて

その場所にいたワイルドボアー、マーリンカウを簡単に倒していくミクとアキ。。


「パーフェクトキューブ」を使っていないとはいえ、

二人はともに恐るべき強さを発揮している。

「ハーレムの加護」の効果もあるだろうが…、

三日前まではただの平民だったのに、今では天使か悪魔である。



こうして、お昼までにすべてのクエスト内容を終え、

アイネに帰ろうとストレージの整理をし終わった時、何かに索敵モードが反応した。。

地図を確認すると、

近くで青いアイコンと多数のオレンジのアイコンが戦っているのが確認される。

オレンジのアイコンって、確か…。

初めての色のアイコンで確認するヒデト。

アドバイザーに聞くと、


「オレンジのアイコンは、盗賊や山賊を表すアイコンでございます!

現状、青いアイコンで示された人々が盗賊に襲われている状態であると思われます…。

青いアイコンは、どうやら王族のようです。」


何だって!!

お、王族??


「助けに行こう!」


そうミクとアキに伝えようとしたときには、すでに二人は動いていた。

どうやら二人には肉眼で確認できた距離であったようだ。

アイコンの色を調べて出遅れたヒデトも「身体強化」を使って助けに向かう。


ヒデトがアイコン付近に到着すると、王宮の馬車だろうか。

それが舗装された道路で立ち往生している。


この道は確か…、王都と西端を結ぶウェストロード。

この世界「アナザー」において西端の部類の街であるアイネなどの町や村の近くを通り、

王都に向かって続いていく行路であるために

よく貴族や商人、そして旅人に使われている。


よく見てみると、甲冑を着た近衛兵だろうか、

それも相当位の高そうな甲冑を着た5人が、馬車を守るように周囲を固めていた。

対するは、盗賊40、いや50人近く。


護衛をしているが、正直これほど盗賊の人数が多いとは思わなかったのだろう。

劣勢に立たされていた。


と、ここで先に到着していたミクとアキが、

後ろから盗賊が油断しているところを拳でなぎ倒していく。

負けじと、ヒデトも参加し、すぐに盗賊を無力化することに成功した。


先ほどまで対峙していた盗賊がたった三人の青年・美女に、しかも拳でなぎ倒されるのを、

唖然として見ていた近衛兵たち。

盗賊が無力化されてしばらく間があき、

近衛兵の代表と思われるあたかも騎士、いや将軍のような強そうな風貌の男が

我に返り、ヒデトたちに話しかけてくる。


「貴様ら何者だ?何をしに来た!!」


太い男の声が響く。

どうやら「威圧」スキルを持っているらしい。

が、「威圧」スキルは、敵意を持ったものにしか効果のないスキル。

ヒデトたちには無効であった。


「お初にお目にかかります。

私はアイネの町に泊まらせていただいている旅人、ヒデトでございます。

こちら二人は、私の連れの者です。

先ほどは、途中参戦申し訳ございません。

貴公方が、多勢の盗賊に襲われていたところを目撃し、

助けようと思って参上した次第でございます。

先の「威圧」スキルの結果からもわかりましょう。」


丁寧にあいさつするヒデト


すると、この代表と思われる近衛兵と、

その配下の近衛兵が片膝を地面につけたかと思うと、

もう片方の膝も地面につけ、土下座をした。

土下座をした状態で代表の者が話す。


「今宵の無礼誠に申し訳ない。

我らを救っていただき感謝きまわりないにもかかわらず、

「威圧」スキルを飛ばしてしまうという無礼、

このとおり、この場では土下座をして詫びさせていただきたい。

あとで、この詫びはたくさんの報酬として払わさせてもらいたい。」


さすがに、この行動にはヒデトたちも動揺したが、

ヒデトが


「顔を上げてください。

大丈夫です!

それより、馬車の中の方の安否が心配なのではありませんか?」


と告げると、


「あ、ありがとうございます。」


といい、すぐに馬車へ駆け寄っていった。

馬車の扉が開き、何やら無事を確認できたことで喜んでいる近衛兵。

すると、馬車から誰かが降りてきた。


赤いロングの髪に、これまた頑丈そうな高価な甲冑で身を包み、

腰には切れ味のよさそうな護身用の剣を携えた、ミクやアキにも劣らない美女が、

馬車から出てきたのである。

すぐさま、興奮が高まるヒデト。


お姫様や~~~!!

ぜひともハーレムに!!


と、そう思っていると、姫様がこっちへ向かってきた。


な、なんだろう…。


内心少し緊張するヒデト。


「ありがとうございました」

気持ちのこもったありがとうを言うと、

少し両手で甲冑を持ち上げる姫様。

貴族の挨拶である。


「あなた様方のおかげで私の命は助かりました。

申し遅れましたが、私は、この国「ランドハート」の第二王女、

リン・ロワイアムでございます。

これからはリンで構いませんし、口調も普通どおりで構いません。

以後お見知りおきください。

ところで、あなた様方のお名前を拝見させていただいてもよろしいでしょうか。」


「わた、俺の名前はヒデト、ヒデト・ヨコヤマ、ヨコヤマヒデトかな。

この二人は、俺の連れで、ミク・ヨコヤマ、アキ・ヨコヤマだ。

それぞれ、ヒデト、ミク、アキ、と呼んでくれ。

俺たちにも普通通りに話してくれてかまわない。」


ヒデトがそう口にする。


「わかりました。では、そうさせていただきます。」


まじめにリンが返事をしたかと思うと、かわいい笑顔を見せてきた。


「今回は、ほんとにありがと。

ヒデトたちがいてくれなかったら、私ほんとに命狙われていたと思うわ。

一応私の護衛は、

王都の将軍の中でも選ばれた真の強者しかなることのできない三星の一人の

三星ギルバート・オングストン、

他にも強い猛者たちなのだけれどさすがに50人もの人数ともなると変わってくるわ。

それなのに、立った三人で倒してしまうなんて。本当にびっくりしたわ。

あなたたちほんとに旅人?ていうか、人属なの?」


リンは、こちらを少し疑っていているようだ。

疑いを少し和らげるべくヒデトが声をかける。


「リン、疑ってもらうのは仕方がないけど、俺たちは紛れもなく人属だよ。

ただ、いろいろと訳があって少しばかり強くなってるって感じかな…。

この理由は、あまり人には言えないことで、

本当に信用できる人にしか教えないようにしてるんだ。

まあ、教えたとしてもきちんと理解できるかわからない代物らしいけど…。」


ヒデトがそう口にすると、


「わかった!

いつか信用に足ると思われて話してもらえるように頑張るわ!

それはそうと、これから私の別荘に来ない?

今回のお礼もしたいし、もっとヒデトたちについて知りたいの。

ダメかな…?」


美女の上目遣いには弱いヒデト。

すぐさま、


オケーイ!


と返事をする。

後ろで目を光らせている者共がいるがそんなことは気にしない。


ということで、一行は馬車に連れられ、

第二王女リン・ロワイアムの別荘へと招かれるのであった。


馬車の中は意外と広いもので、ヒデトたち三人も乗せてもらえた。



道なりにしばらく進み、あたりの景色が変わってくると、

馬を担当している従者がそろそろつくと知らせてきた。


馬車から身を乗り出してみてみると、そこには、城があった。

シロではない。

城があった。


城である。


固まるヒデトたち。


「さあ、ついたわよ!入って入って!」


馬車が止まると同時に、城門が開き、たくさんの従者に出迎えられる。

総勢何人だろうか。

このすべての人がリンのために仕えているのだと考えると、

やはり王族であると感じさせられる。


城内にはリンの邸宅とすぐにわかる、

白と赤のコントラストのきれいなお屋敷があった。


リンに連れられて、玄関から入ると、

従者の中でもトップではないかと思われる、

眼鏡をした執事がリンやヒデトたちの前に現れた。


「お帰りなさいませ、リン様。

して、今回は少しばかり到着が遅れなさいましたが、後ろの方々と何か関係が?」


「ただいま、セバスチャン。

そうなの…。実は、ギルバートの森近辺で50人ほどの盗賊に襲われて、

そこをヒデト様、ミク様、アキ様に助太刀していただきました!」


「な、なんと。

こちらの情報がどこから…。

それは大変でしたな。リン様。」


そういうとセパスチャンといわれる眼鏡の執事がこちらにやってきた。


「ヒデト様、ミク様、アキ様。

リン様をお助けいただき誠にありがとうございます。」


深くお辞儀をして続ける。


「突然でしたので、あまり来客用の準備はできておりませんが、

くつろいでいってくださいませ。」


「あ、ありがとございます。」

生執事を見てかちんこちんのヒデト。

ミクやアキも少し初対面で緊張している様子であった。


「そんなに緊張しなくていいわ。

いつも通りでいいって!」


リンがヒデトたちをフォローしてくれる。


「わかってるけど、なんか緊張しちゃうんだよな…。

分かった。できる限りニュートラルでいくよ。」


ヒデトがそう言うと、

リンが、そうそう!頑張れ!っと応援してくれた。


これが、ヒデトとランドハート王国第二王女リン・ロワイアムとの馴れ初めであった。




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