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乙女の召喚に巻き込まれただけです!  作者: 浦 かすみ


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美の化身と息吹


剣豪ルルが静かに木刀を手に佇んでいる。それは得も言われぬ美しさだ。只々静かにそして内なる闘気は燃え上っているのだった…。


な~んてな感じかな?ルル君。さて、一方のカスミンは…


風に揺らぐプラチナブロンドが金糸のように彼女の周りを煌めいている様はまるで、一枚の絵画のようだった…。腰に手を置き、射るような目で眼前を睨む様まるで…


「私には幻のパリコレのランウェイが見えるわ!」


「先輩っそうですよね!私にもランウェイ見えますよ!ポージング完璧!」


未来と二人、鍛錬場に相対する美の化身同士の戦いに非常に興奮していた。いや、興奮していたのは私達だけではない。ものすごいギャラリーの数だ…。そうコスデスタ公国出身の元軍人。そう言う触れ込みだから熊さん(軍人)達の興奮度が半端ない。しかもスーパーモデル並みの美人とくれば尚のことだ。


「しかしカスミンどうしたんですかねぇ…すごい怖い顔でルル様睨んでいるけど、なんか喧嘩でもしたんですか?ルル様が人を怒らせるなんて想像つかないんですけど?」


未来の言う通りだ。本当にカスミンどうしたんだろう。ルル君に初めて会った時からものすごく睨んでいるし…通常の女性ならルル君にうっとりすることはあっても、睨むなんて珍しい…と言うか私は初めて見た。


「喧嘩なんてするタイミング無かったと思うけど…それにさ…未来、気が付いてる?カスミンの魔力、ルル君の周りに集まってない?」


私がそう言うと未来も美の化身同士の周りの魔力を診ている。


「ホントだ…カスミンの魔力がルル様の体にぶつかっている…なんかおかしくないですか、あれってまるで…。」


「ルル君の体に吸い込まれているみたい…でしょう?」


未来はびっくりしてこちらを見た。


「アオイ様お話中、失礼致します。ヒルデに何か異変でしょうか?」


背後からの声かけに私は後ろを見た。そこにはカスミンママン事、ミチランデがいる。カスミンパパのクリオも心配そうな表情で立っている。呼び捨ては気が引ける…と言ったんだけど、私共はアオイ妃の護衛で仕える身ですから…と言われてしまったのでそれでは…と呼び捨てにさせて頂いた。


正直ミチランデママとは6才違いで年も近いし気安くお話させてね…とお願いもしている。しかしカスミンの年齢の子供の親だなんて自分の実年齢と現実を知り驚愕している。


「ああ、異変と言うか…ヒルデの魔力がルル君に吸い取られているように診えるのよ?あ、そうだ、ガレッシュ様も気づいているんじゃない?」


少し離れた所に厳しい顔をして立っているガレッシュ様にそう声をかけると、ガレッシュ様はゆっくりとカウチに座っている私達の傍まで来た。


「どう、ガレッシュ様も診える?」


ガレッシュ様の後ろにリリアンジェ様のご主人、第二部隊所属の、アーダクトさんも居る。あ、確かアーダクトさんも診える目をお持ちよね?どうかな何か診えてる?


「ヒルデの魔力がルルに吸収されているね…」


「そのように診えますね…」


ガレッシュ様とアーダクトさんの言葉にやっぱり…という感想しか浮かばない。どう言うことだろう。


そしてとうとう打ち合いが始まるようだ。ルル君とカスミンは向き合った。


怖っ…!何がってこんな私でも分かるくらいにカスミンからオラオラ魔力…もとい喧嘩腰ともとれる魔圧が放たれている。カスミンはものすごい眼力でルル君を睨みつけている。


これほどまでにルル君を睨みつけている女子を見たことがあるだろうか?イヤ、無いね。ルル君も異性からこんなに睨まれるなんて人生初なんじゃない?


そんなピリピリした魔圧の中、急にカスミンが口を開いた。


「ルル=クラウティカ大尉…。お噂じゃ侍道まっしぐらの剣豪とお聞きしていたのに、がっかりです。」


シーン…と静まり返った鍛錬場内に見た目に反して可愛い声のカスミンボイスが響き渡る。


なんだって?前半部分はマルっと同意だけど、がっかり?何が?


カスミンは更にギリッとルル君を睨みつけた。


「正々堂々の真っ向勝負の前に魔力吸収で私を弱らせようなんて、姑息すぎます!最低です!」


ギャラリーがざわめいた。この中にも診える目をお持ちの魔術師団の方々もいる。


「本当だ…大尉の体に魔力が…」


「あれ、吸収魔法なの?」


とかアチコチで聞こえる。カスミンは指でビシッとルル君を指差した。


「今すぐその姑息な魔法を解術して下さい!勝負はそれからです!」


ルル君はカスミンに指差された後、少し眉根を寄せてからゆっくりと私を見た。何故私を見る?


「アオイ様…彼女なんで怒っているんですか?」


ズコーッとこけそうになった。いや、ルル君は多分自覚していないのだろう。これはもしかして…の疑惑の段階だけど…。


「未来…あの二人の魔力相性はどう思う?私はかなり相性良い同士と思うんだけど?」


未来は再び美の化身達を診て…そして驚愕の表情のまま私を見た。


「いいです、めちゃめちゃ相性いいです。これって…あの相性が良いから吸収しちゃう、アレですか?」


「アレだと思う。いつもと逆パターンで男女反対だけど…」


私は未来と共にカスミンとルル君の傍に近づいた。ナッシュ様もガレッシュ様達もついて来てくれる。


「あの~いいかしら?」


カスミンは魔圧を放ったまま私達の方をグルンと見下した。正に上から目線!(身体的に)


「ま、まずはね?カスミンの誤解を解いておきたいと思います。ルル君は吸収魔法などの姑息な手段は使っていません。」


「…で、でも?!」


「ヒルデ、お話を聞きなさい」


ミチランデママンがそう窘めると、カスミンは押し黙った。


今度は後ろに控えていたガレッシュ様がルル君に声をかけた。


「ルルはどう?魔力を吸い込んでいる感覚はある?」


ルル君は首を捻った後、手をグーパーしている。


「昨日から…おかしいかも、魔力が多い?」


フムフム…。ちょっと説明したいけど鍛錬場の真ん中じゃ落ち着かないね。すると、未来がギャラリーの方に向かって大きく手を振ると叫んだ。


「今日の打ち合い勝負は延期でーす!お引き取り下さーい!」


未来の声に鍛錬場に詰めかけていた人々はゾロゾロと帰って行った。未来は振り向くと


「一旦戻りましょうよ~詳しい話は詰所でね」


と、皆に微笑んだ。流石出来る女、片倉未来。


私達は第三部隊の詰所に戻ると、応接室でカスミンとルル君に説明した。


「じゃあ…クラウティカ大尉は無意識下で魔力吸収を行っているのですか…しかも私限定で?」


カスミンの顔色は真っ青だ…。ルル君は若干眉間に皺を寄せているがいつもどおりの無表情である…。


「カスミン…私やナッシュ様、それと未来とガレッシュ様を診てみて?どう…特に未来がガレッシュ様の()()()()()()()()()()のが診えない?」


私がカスミンにそう聞くと、カスミンはウロウロとナッシュ様とガレッシュ様に視線を向けている。


「この…ガレッシュ殿下から魔力が流れて未来さんに向かっているのが…相性の良いということなんですか?」


あれ?カスミン知らなかったの?


するとカスミンパパ、クリオさんが、しまった…と小さい声で呟いていた。


「うっかりしておりました。ヒルデには諜報活動で必要になる魔法ばかり教えて…こういう魔力の識別は一切教えておりませんでした…」


なるほど、確かに諜報活動にはあの人とあの人付き合ってるんだぜ!とか、彼と相性がいいみたい!とか恋愛系の魔力判定は関係ないっちゃ関係ないよね。これはカスミンがルル君から魔法攻撃を受けている!と勘違いしても仕方ないね。


「と…言う訳で、ヒルデ…ルルの名誉の為にも言っておくがルルはそんな姑息な手を使う男じゃないよ。そこは分かって欲しい」


ナッシュ様にそう言われてカスミンは視線を彷徨わせてから、ルル君を見詰めるとすぐに立ち上がり、ジャパニーズお辞儀をした。


「先程は大尉を悪しざまに罵ってしまい、申し訳ありませんでした。どんな処罰も受ける覚悟でございます」


カスミンのお辞儀をジッと見詰めていたルル君は一つ息を吐くとボソッと呟いた。


「別にいい…こっちこそ魔力吸収…すまん。体に障りは無いか?」


きゃー!ルル君はやっぱり優しいな…ピクリとも表情は動かないけど、心根は本当に優しい子だ。


カスミンは泣きそうな顔をしてからまたお辞儀をしている。


「はいっはいっ大丈夫です。体はすこぶる丈夫で、魔力量も底なしなのですっ。本当に申し訳ありませんでした」


「そっか…」


ルル君は柔らかく…微笑んだ。ギャッ!破壊力満点ですよ…うっかり微笑爆弾の射程距離圏内に立っていたミチランデママンは直撃を食らってしまったようだ。顔を真っ赤にして俯いてしまった。


幸か不幸かカスミンはちょうど深くお辞儀をしていて微笑爆弾を見ていなかった…。


その日はカスミンに事務仕事を教えつつ一日を終え、その日の夜、私と未来とノリがここに来るまでのアレコレを話してみた。カスミンも異界の乙女と勇者の伝説は知っているらしく


「へぇ~ゲームの剣を…それはまたマニアックですね~」


と言っていた。そして、カデちゃんの話になるとユタカンテ商会の魔道具開発のドラミンに非常に興味津々で…明日、なっちゃんが異世界から御輿入れされる時にカデちゃんが来ると言うと会いたいです!と大はしゃぎだった。


只、カッシュブランカ様の話は伏せて…胸糞アイザックの話になるとずっと怒りっ放しだった。おまけに今は亡きラブランカの話になってルル君とザック君が被害にあっていたというと益々怒っていた。


「子供になんてことっ…怖かったね…よく頑張ったね」


カスミンは横に座るザック君の頭を撫でている。ザック君はニッコリ笑っている。


「どこの世界にも碌でもない大人はいるもんですねっ…いつも被害に遭うのは彼のような儚げな子ばかりでっ…」


いや…あのザック君は見た目は儚げだけどさ、攻撃力的に8才児の中で世界一強いんじゃないかな…多分そんな気がしてるんだけどさ。


カスミンはザック君の頭を撫でながら、そういえば…と切り出した。


「皆さんがシーダ叔父さんのことを変質者だとか…○○コンだとかで叩いていましたけど…私はちょっと違う気がするんですよね~」


「違う…?どんな風に…」


「う…ん、その子供の時からね変質的な雰囲気は感じなかったんですよ…ただお前の魔力量は素晴らしい、是非ともその魔力を有用に使う為に絶対に魔術師になるべきだ!…みたいな方向の熱心さはあったんですよね。つまり私というより、私の魔力が欲しかったんじゃないかな…」


「魔力…」


カスミンは本人もご両親も認めるほどの底なしの魔力量の持ち主だ…。多分、神の加護だろう。シーダさんはその天賦の才を見て欲しくなった。その魔力そのものが…膨大な魔力があれば何が出来る?


その時私の中でカスミンの叔父さんと沢田美憂を召喚した術士のイメージが重なった…!


コスデスタの魔術師…。召喚魔法を何度も失敗している…て言ってなかった?そしてナッシュ様の召喚に便乗して沢田美憂を呼んだシークエンス=エレ(偽名)!


慌ててナッシュ様にこの事を話すとガレッシュ様達と天ぷらを食べて酒盛りをしていた男性陣は一斉に顔を見合わせた。


「やはり…そうか。実はこちらでもクリオから話を聞いて、明日…シークエンス=エレと面識のある魔術師団の術士に、幻術魔法でシーダ=ナンシレータの姿を映し出して、同一人物か確認してもらおう…ということになっている」


ああ、やっぱり…。皆もそう思うのね。ナッシュ様が立ち上がると私の肩を抱きながら優しく、ソファに座らせてくれた。カスミンとザック君が心配そうな目で私を見ている。


そうよね…明日確認すれば分かるわよね。沢田美憂は今…その魔術師の所にいるけれど、あの子大丈夫かな…。


次の日


相模那姫…なっちゃんが異世界からやって来る。朝一でこちらに来る予定なので、皆朝からソワソワしている。カスミンとなっちゃんを一目見ようと熊達(軍人)がまた今日も押しかけていて、フロックス魔王の機嫌が急降下でさっきから詰所内は木枯らしどころか、こな~ぁ~ゆきぃ~が舞っている…。


そしてカステカートからカデちゃんがやって来ていた。


カスミン待望のカデちゃんとの初対面である。お互いに転生異世界人…カデちゃんが転移門から現れるとカスミンはきゃあ!と可愛い悲鳴を上げた。


「可愛い!」


おおぅ…確かにカデちゃんはちんまくて可愛いよ。多分150㎝ちょこっとくらいの身長だと思う…小人族なのもヒンヌーと同じくらい気にしてそうなので、聞いてみたことはないけれど…。


「は、初めまして!ヒルデ=ナンシレータ、恩田香澄と申します。元教師です」


カスミンはカデちゃんの前でまず淑女の礼をしてから、深々とお辞儀をした。


カデちゃんは子供達とゆっくりと近づきながら、頬を染めている。


「ふわ~っ…顔ちいさーい!スタイルいいー!…ああ、いけないっカデリーナ=デッケルハインと申します」


カデちゃんも深々とお辞儀をした。カデちゃんの後ろに居た子供達リューヘイム君とレオンヘイム君は、興味深げにカスミンを見上げていた。カスミンは少し微笑むと素早く腰を落として、子供達と向き合った。


「初めましてヒルデと申します。仲良くして下さいませ」


大きくて綺麗なお姉さんを見て…初めはモジモジしていたリュー君とレオン君だったがザック君が現れると、カスミンを取り囲んで四人でキャッキャッして遊び出した。


流石、元教師…アッと言う間に子供達と溶け込んで遊んでいる。


そう言えば、皆が強い強いと言うカスミンだけど、ザック君が未来のように師匠!と呼ばないのが不思議だな~と思っていたら、ザック君はモジモジしながら


「だって…ヒルデは、違うもんっ…」


と顔を真っ赤にして叫んでいた。何これ?何これ?ええ?もしかして…年上のおねーさんを好きになるアレかい?正直に言いなっ!おいっ、ザック君?!…と問い詰めようとしたらナッシュ様に制された。


「多感な時期の恋心を煽るんじゃないよ…ソッと見守ってやれ…」


と、言われてしまった。そうか…ここで親?が囃し立てたりすると、拗れてしまうものなのか…。


さて


そろそろなっちゃんが来る時間じゃないか…ということになり野次馬の熊達と一緒にジューイの机の上を皆で見守っている。さすがにこの衆人観衆を前に事務仕事もしにくいのかフロックスさんもナッシュ様も、ソファに座ってお茶を飲んでいる。こな~ぁ~ゆきぃ~が舞う中のお茶会…ある意味レアである。


因みにジューイはなっちゃんを迎えに行っている。


やがて、机の上の魔法陣が鈍く輝き…ジューイの腕に抱かれて、ハリウッドナツキが現れた!


なっちゃんはジューイの腕の中で顔を伏せていたが、ジューイに「着いたよ」と声をかけられると、顔を上げてこちらを向いた。


なっちゃーーん!やっぱりいつ見ても綺麗だよっ!私、未来、ノリ、カデちゃんはジューイの腕の中から床に降り立った、なっちゃんに走り寄った。


「いらっしゃい!なっちゃん!」


「待ってたよっなっちゃん!」


熊さん達のどよめきが起こる。なっちゃんは嬉しそうに周りを見て微笑んでいる。


「皆様、改めまして、ナツキ=ゾアンガーデです。宜しくお願いします!」


元気なゾアンガーデ家の嫁のご挨拶にニヨニヨしながらジューイを見てみる。ジューイは案の定、鼻の下を伸ばしていた。私と目が合うとわざとらしく咳払いしながら


「ホラホラ!もう見世物は終わったぜ!散った散ったっ!」


とか言ってますよ。ジューイのくせに、あのジューイのくせに…。


ハリウッドナツキはスーパーモデルカスミンとも初めましてのご挨拶をしている。系統の違う美の化身同士のご対面である。この詰所内の美人指数がググッと上がった感じだ。


と、感慨深く美の化身を見詰めていると、国王妃付きの侍従が詰所の入り口から顔を覗かせた。


「お取込み中の所失礼致します。皇太子殿下、アオイ妃…クリッシュナ妃がお呼びです」


おや…クリッシュナ様?何だろう…とナッシュ様と転移をして皇宮奥のクリッシュナ様と国王陛下のお部屋の前に行く。戸口に立っていたふくよかなメイドの方が「殿下…」と、近づいて来た。


「マーマリン、どうしたの?」


マーマリンと呼ばれたご年配のメイドの方は、少し涙ぐんでいる…。ナッシュ様の体が強張った。私も涙ぐむメイドを見て…血の気が引いた。


もしかして…クリッシュナ様に何かあったの?…まさか?まさか…。


ナッシュ様は血相を変えて部屋の扉を開けた。私も慌てて中に入って行った。


「あら?何ですか?ご挨拶もしないで…」


クリッシュナ様は優雅にソファに座って、果実水を飲んでいた。なんか元気そうなんだけど…?とにかく慌ててクリッシュナ様の体の魔力を診る。


「アオイッ…どうだ!?早く診てくれっ!」


体全体を流れる魔力廻りは正常…体の内臓系は…ん?…んん?…お腹の周りがグルグル動いている…これ、どこかで診た事あるぞ?


その時自身のお腹の中から子供がドンドンッとお腹を蹴り上げてきた…。


これは…もしかして…。


「クリッシュナ様…御子が出来ましたか?」


私がそう言うとナッシュ様は驚愕の表情を浮かべながら私を見て…クリッシュナ様を見て…を繰り返している。クリッシュナ様は頬を染めると


「やっぱり…間違いない?フフッ…先程術医にも診断してもらったのよ」


と恥ずかしそうにそう答えた。クリッシュナ様は確か…結構早めに婚姻されて16才の年にはナッシュ様を産んでいらっしゃるから…46才か…この世界には魔法がある。異世界の常識はこちらでは通用しない…もしかすると死ぬまで出産可能なのかもしれない。


「御子…母上、いつの間に?」


ナッシュ様は動転しているのかとんでもない質問をクリッシュナ様に投げかけているけど、今は脳内お花畑状態のクリッシュナ様はスルーして益々嬉しそうに頬を染めた。


確かに見た目年齢30才と言われても納得の美魔女ではある。


「いつ…ってあなた、もちろん陛下と愛し合っているからですわよ…きゃっ♡」


今、語尾に♡が付いていたような気がする…。唖然とするナッシュ様は私の顔を見た。


「アオイ…本当なの?」


「あ、はい。術医もそう言っているのならば間違いないでしょう」


「この年で弟か妹か…。母上おめでとうございます」


ナッシュ様はクリッシュナ様のお近くまで行くと膝をついてクリッシュナ様を見上げている。クリッシュナ様は菩薩のような表情をしている。お母さんの顔だな~と思っていると、廊下が騒がしくなりキリッシュルアン国王陛下とガレッシュ様と未来がやって来た。


「おおっナッシュ…どうだった?クリッシュナ…」


「陛下…はい、間違いないそうです」



キリッシルアン国王陛下はクリッシュナ様の横に座ると手を取って指先に口づけた。


なんだこれ~~!?私達お邪魔じゃないかなーー?


「も~っ警邏に出てた時に未来が慌てて呼びに来るからさっ…悪い方に考えちゃったよ~。」


ガレッシュ様が照れたような口調でクリッシュナ様の横に立った。


「体調大丈夫なの~?また魔力酔いしてない?」


クリッシュナ様はそれは嬉しそうに微笑むとガレッシュ様、ナッシュ様、キリッシュルアン陛下をゆっくりと見回して


「もう魔力酔いが来ても大丈夫よ…だってお腹の御子に早く会いたいもの」


と、お腹をゆっくりと撫でて微笑んだ。神々しいな…未来と私、若干部外者のような雰囲気だけど…まあ今回は仕方ない。


新しい命の息吹にホッコリとした気分に包まれたのだった。



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