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魔神の正体


貴賓室で待っていたポルンスタ爺を囲んで皆が着席した。


ナジャガル皇子兄弟と私と未来。デッケルハイン一家。それに家族付き添いということでミーツ兄さんも参加だった。


カデちゃんがミーツさんを見るなり


「あの人、日本人っぽいですね。塩顔イケメンだ」


とおっしゃいました。うむ、うちの騎士団は顔審査がありますからね!(本当に顔審査あったのよ)


ミーツさんは同席を拒否されていたけど


「お前にも今後、関係のあることだ」


とポルンスタ爺に言われて渋々参加になった。


メイドがお茶を入れて退出してからポルンスタ爺は部屋全体に消音魔法をかけた。


「他言無用で頼むよ」


ポルンスタ爺に皆が頷いて見せた。ポルンスタ爺は柔らかく微笑んでから話し出した。


「さてナジャガルの弟皇子よ、遺跡に入り…何を見たかの?」


いきなり名指しをされてガレッシュ様はワタワタしていた。


「え…複数の召喚に関する文献と、遺跡で生活をしていた女性の日記を発見しました」


ポルンスタ爺は、頷いた。


「マーガレの日記だな…」


未来は大きく頷いた。


「それを隠しておくように…当時の神官長がマーガレ本人から頼まれたそうだ…。神官長はそれをワシの祖先に託し、ワシも受け継いで今も管理しとったんじゃ。なぜに処分せんかったのかは…先読みで知っとたからの…いつかこれが見つかり…すべてが動き出すと」


緊張するわ…手汗がすごい…。


「まずは何から話そうかのぅ…う~ん、ワシとアポカリウス殿の出会いから話そうかの…」


おお…それめっちゃ気になる!つい前のめりになる。


「ワシはクラバッハの出身じゃったが、まあハッキリ言うと公爵家の出だった」


ひえぇぇ?!ポルンスタ爺公爵様なの?いや、と…言うことはミーツさんも、ボンボンの出自なのか?!


「知らなかった…ずっと平民だと思ってた…」


ミーツさん、そう言われてみればどことなく気品が…いえ、元々イケメンですがね。


「まあ…うちの家格は無駄に古くての…クラバッハでもっとも長く続く公爵家で…祖先は異界の乙女がおるらしい」


未来と私はガバッと立ち上がった。


「ミーツさんが異界の乙女の子孫なの?!」


「初耳だよ、ポル爺?!」


私の叫びとミーツさんの叫びが重なった。ミーツさんは「失礼…」と呟いてから座り直した。そうか…ミーツさんのアジアンテイストな顔立ちの訳は脈々と受け継がれる日本人の平面顔族の血脈のせいか!


平面顔族のDNA恐るべし…!


「まあ、ただ祖先に乙女がおる、と言うだけで何も特殊なことはないがの~」


そうなんだ、そりゃそうか特殊能力は自動翻訳くらいだもんね…後は普通の女だもん。


「それでも有難がる阿呆はおっての…ワシがまた小さい時にクラバッハの王がまだ幼い姉とおまけに母親までも後宮に上がるように言うてきたんだ」


「後宮?!」


皆様がざわついた。そうか…これが朝、内乱があって清々したと言っていたポルンスタ爺が怒ってたあの話ね。


「ワシは二人を守ろうと思おて、後宮に忍び込んで魔術をぶちかまして暴れて…二人を逃がしたんだ。じゃがワシは捕まってしまっての…。城の魔術師が作り出した亜空間に放り込まれての…。殺されかかったんじゃ…」


亜空間て…どんな所何だろう。想像出来ないわ…。


「放り込まれて…体が千切れんばかりの痛みで失神しておったようで、目を覚ますと…なんとワシは死んでおらんかった。ワシは不思議な球体の中におった…そこに美しいお兄さんがおっての…。優しい目でワシを見ながら、坊主、僕がいなかったら死んでたよ?と言われたんだ。それがアポカリウス殿だった」


「まあ、アポカリウスお手柄じゃない!」


確かにポカ爺はグッジョブですね…オリアナ様。


「本当に命の恩人じゃった。アポカリウス殿に人と話すのは数百年ぶりだと言われて…しばらく話し相手になった。最近の大陸の動向や…当時のワシで分かる範囲は話してみた。するとワシがクラバッハの出身で異界の乙女の子孫だと分かったら、召喚や破魔の剣…など詳しく教えてくれと言われて…そこで初めてアポカリウス殿の境遇をワシは知ったのじゃ」


ポルンスタ爺がお茶を飲んだので、私達も一息入れた。


「ワシはそこでアポカリウス殿が使った禁術や他の魔術について少し教わったのだ…。そして亜空間の亀裂からこちらに戻してくれようとしたアポカリウス殿にこう言ったんだ。待っていてくれ、必ず研究を重ねてあなたをこの空間から助けてみせるから…と。今思えば子供だったし無謀な事だとアポカリウス殿も呆れていたとは思う。だが子供なりに助けてもらった命だ…無駄には出来んと必死だった」


ポルンスタ爺はヴェルヘイム様とザック君を優しい目で見詰めている。


「両親と姉はクラバッハから逃げ出してナジャガルで生活していた。そこへ死んだと思うとったワシが空間からコロンと落っこちて来たもんだから皆大騒ぎだった。そして亜空間で助けてもらった経緯とアポカリウス殿を助けたいと言うと家族みんなが納得し協力してくれた。時間はかかったが、研究を重ね修行を積み…ワシは再び亜空間に入りアポカリウス殿と再会した。ワシはアポカリウス殿より年上になっておったがの…。アポカリウス殿は会いに来たワシを見てそれはそれは喜んでくれた。そしてワシは長年の研究の成果をアポカリウス殿に告げた」


一旦言葉を切るとポルンスタ爺は目を瞑った。


ん?もしや寝てるの?すると横でカデちゃんが小声で「また寝てますかね?」と呟いている。もはや様式美なのかな…。するとポルンスタ爺はふーっと息を吐きながら目を開けた。寝てませんでしたね…失礼。


「ワシが研究をして得た魔法は、簡単に言うとアポカリウス殿が常に発動している吸収魔法の一部をワシが肩代わりする魔法だ。つまり、一時的ではあるがこの世界の魔素の吸収を遮断することが出来る。しかし、これは弊害が出ての~アポカリウス殿は亜空間から出て一時的だが自由を得ることが可能になったが、今度はワシがその肩代わりする魔法を行使する魔力が足りんようになって魔力切れをおこしての…。苦肉の策で別空間の異世界から魔力を吸収する方法の魔法を編み出したんじゃ。これでもアポカリウス殿と色々考えて編み出した魔法じゃぞ~ホホホ」


ホホホ、って簡単に言ってるけどすんごい魔法だよね…。


「それであのポルンスタお爺様だけが使える他人の魔質を完璧に模すことの出来る吸収魔法が出来た…と言う訳なんですね」


カデちゃんが言うと横でヴェルヘイム様も「ああ、あれか…」と言っている。


魔質を模す?ってどういうこと?私の怪訝な顔に気が付いたナッシュ様が教えてくれた。


「ポルンスタ爺は特殊な『吸収魔法』が使えるんだよ。他人の魔質を完全に真似ることが出来る。そして個人で使える特殊魔法も完全に自分のものとして発動出来るんだ」


「あ、そうか。魔質って千差万別…術士は全員違う魔質だって言ってたわね」


「そう言うことです!」


カデちゃんが相槌を入れてくれる。


「まあ、実の所この魔法はアポカリウス殿も使えるがの~二人で開発したし、何せこの世界に長く留まると魔素の吸収を始めてしまうアポカリウス殿の負担を少しでも減らすのが目的じゃったが…兎に角、少しだが世界に留まれたお蔭でアポカリウス殿は良い伴侶に巡り合えたしな…」


そう言ってポルンスタ爺はオリアナ様を見て微笑んだ。オリアナ様も頬を染めながら微笑み返されている。


「そこはアポカリウスも詳しくは教えてくれなかったのよね~ポルンスタ様のお力添えがあったのね!アポカリウスに助力して下さって感謝しておりますわ」


オリアナ様は立ち上がられると淑女の礼をされた。


「イヤ何、ワシも命の恩人の為に何か出来ないかと…本当はもっと根本からお助け出来るような魔法を開発出来れば良かったのですが…。そもそも私の祖先の公爵が早うに乙女を召喚出来ていればアポカリウス殿がこんなご苦労をされることも無かった訳で…」


「あの~ちょっと質問が…」


とガレッシュ様が手を上げた。促されてガレッシュ様は話し出した。


「その1000年前の異界の乙女が出現した時に、勇者の剣も召喚出来たのですよね?そうしたらアポカリウス様はもう魔法を発動しないでよくなったんじゃありませんか?」


ごもっともな意見だ。皆の視線がポルンスタ爺に集まる。


「そこはアポカリウス殿も失敗した…と嘆いておられたのだ。魔素を吸収する禁術は一度発動すると止まらない…止まるのは術士が死亡した場合だが亡くなった瞬間、今までアポカリウス殿が蓄えていた魔素がまた世界に戻ってしまう。それではたかだか一振りの剣では浄化が間に合わんと言う訳だ。だからアポカリウス殿は死なないようにご自身にも時間停止の魔法をかけて不老不死を作り出していると言う訳だな」


死ねない理由…。ゾッとする。未来永劫生きなければならない理由…。ソッと横を見るとカデちゃんとオリアナ様は涙を流されていた。辛いんだろうな…家族だもんな。


「だがの…ワシは諦めんかったんだ。アポカリウス殿は長い時をお一人で過ごされて精神を疲弊されておった…早う助けて差し上げねばいけないと奮起した。何か解決策があると思ったんじゃ。そして異世界の魔力を吸収している時に気が付いた。異界の乙女という存在をもっと呼び寄せればもっと魔を祓える剣が増えるのではないか…とな」


「ああ、そうか!文献にも乙女の数の制限などは書かれていませんでしたよ。絶対に一人でなければ…なんてことはない。制限がなければ沢山来て貰えばいいんですよね!」


未来がそう言うとポルンスタ爺は頷いた。


「誠に勝手な願いだが、異世界を探して魔力量や資質のありそうな乙女に協力を願おうと思おておったんじゃ。ところが…今、複数人の乙女がこちらに来ておる」


思わず未来とカデちゃん?も見てしまう。カデちゃんも乙女?乙女カテゴリーに入っちゃう?


「ワシはの…もしやするとコーデリア神が助力してくれているのではと思うとる。なんでもアポカリウス殿も禁術を使って亜空間に閉じこもった時に神がその空間に乗り込んで来て、随分叱られたと言っておったしな」


「ええ?!神様?!」


私、未来、カデちゃんの声が重なった。ちょっと恥ずかしい。驚いてるのは見事に異世界人だけじゃないか…。神様と遭遇するのはこの世界では珍しくないのか?


「そうそう、怒られたんだよね~『勝手なことをして!もう少し待っててくれたら魂が廻るから乙女と勇者を見つけれるのにぃ』てね」


ギョッとして皆がポルンスタ爺の後ろを見た。


「あら、アポカリウス」


「父上!」


「ポカ爺!」


「ポカリ様!」


ポカ爺は相変わらずの美貌を保っていて、オリアナ様の隣にストンと座ると走り寄って来たレオン君とザック君、リュー君を三人とも膝の上に抱えた。


「皆元気だった~?」


「じいじー!」


「はーい、じいじだよ~。」


急にのほほんとした雰囲気になる。カデちゃんが何か術を発動してポカリ様にかけている。


「私一人の術ですので長時間は無理ですよ~」


「あんがと~カデちゃん」


「カデちゃん、今の何?」


そうカデちゃんに聞くとカデちゃんはニッコリ微笑んだ。


「あれは障壁なのですが神力のみで形成しているのです。正直アル兄様やレミィ兄様の方が長時間持つ耐久性のある障壁が作れるのですが、私にはあれが精一杯です。あれで防御すると…魔素を吸わないのでしょうね。今まで短時間でポカリ様が消えていたのは、世界から反発を受けていたのではなくて、世界を壊さないように逃げていた…そうですね、ポカリ様?」


ポカ爺は困ったような顔をカデちゃんとポルンスタ爺に向けていた。


「も~うポル君、言っちゃダメだって言ってただろう~?なんでバラシちゃうの~?」


ポルンスタ爺のこと、ポル君って呼ぶんだ…。ポルンスタ爺は少し俯かれた。


「アポカリウス殿…そろそろワシも寿命がつきそうなのでね…早うせんと、ワシが死んだら一部肩代わりしていた、魔素の吸収の遮断が出来んようになる。もしワシが力尽きてしもうたらまたアポカリウス殿は吸収を避ける為に亜空間から出られんようになってしまうじゃろ?」


「ポル君死んじゃうの?!」


「まだ生きとるわいっ!」


ものすごいボケとツッコミだな…とふたりの爺を見て思っていると、ポルンスタ爺は深く息を吐いた。


「今複数人の異界の乙女と伴侶が揃っとります…これで皆が剣を召喚出来れば広範囲の魔素を祓える…。アポカリウス殿…もうご無理して禁術を発動されなくても大丈夫じゃ…」


ポカ爺は困ったような情けないような顔をしていた。


「ポル君…楽観的すぎ~僕知ってるよ…乙女と勇者が揃ってても剣を召喚出来ない人もいるって…。世界全体の魔素を一気に祓えるくらいの剣て…もっと必要だよ」


ミーツさんがポルンスタ爺の背中に手を当てた。


「ポル爺…もしかして呼んだ乙女達が剣の召喚が出来なければ…ポル爺の吸収魔法をオレに肩代わりしろ…ていうことなのかい?」


「!」


皆がギョッとしてミーツさんを見た。


そうか…ミーツさんにこの場所に居ろ…と言っていた意味はそれなのかも…。ポルンスタ爺は曾孫の顔を見上げた。そうだ、今でこそシワシワのお地蔵さんみたいなポルンスタ爺だけど、昔はミーツさんみたいなイケメンだったってこと?年を取るって怖いわね…。


「流石にお前一人にこの魔法を行使させると負担が大きい…。じゃから異界からワシの魔質によう似た…お前とも相性の良い魔力波形の女性を呼んで…二人で分けて、肩代わりしてもらおうかと思っておったが…。」


「ええ~すごいね、ポル君そんな魔法も開発してたの~」


ちょっ…ポカ爺!話の腰を折らないでよっ、黙ってろ!


「アオちゃん相変わらず口悪い…」


「ポカ爺になんて思われようと平気です」


「先輩…あの人偉大な魔術師なんですよね?」


ずっと黙って話を聞いていた未来がそう聞いてきた。


「そうだよ~偉大な魔術師様だよ!あ、初めましての女の子だね。ミーちゃんだね!宜しくぅ!」


相変わらず絡みずらいジジイだな…。


ミーちゃんと勝手に呼ばれた未来は酸っぱい沢庵(たくあん)でも食べたような顔をした後で


「あの方に回し蹴りをしてもいいですか?」


と真顔でヴェルヘイム様に聞いていた。


「後で叱っておく…」


とヴェルヘイム様が同じく真顔で未来に返していた…。


カデちゃんが話の腰を折っちゃってすみませんっ!とミーツさんとポルンスタ爺に謝っていますよ。嫁は辛いね…。あんな義父でさ…。


「あんなってどう言う意味だよっアオちゃん!」


無視無視無視…。


「それでのミーツよ…」


「はい」


「実はな…今朝までは異界の女性と二人でワシの魔法の肩代わりをしてもらおうと思っておったんじゃが…先読みが見えてな…」


ポルンスタ爺とミーツさんの会話に注目する。


「お前が異界の乙女として召喚するほうがええと…見えた」


おおおっ!ここにまた召喚者現るですね…。ああ、そうだ!


「あのあの、ポルンスタ様。何度もすみません…実はシュテイントハラルの王子殿下も今、異界の乙女を召喚しようとされているのですが、アルクリーダ殿下はぶっちゃけ成功するのでしょうか…」


「ああ!そうです!ポルンスタお爺様っお願いします!アル兄様はお嫁さんが見つかりますでしょうか?!」


カデちゃんの叫びが悲痛過ぎて涙が出そうよ…。


「姫の兄か…会うたことの無い者は見えんのじゃが…」


「それならば是非シュテイントハラルへ!兄に会って下さいっアル兄様をお願いします!必ずお願いします!宜しくお願いします!」


カデちゃん、某選挙のウグイス嬢みたいになってるわよ…。


「あ~そういえば爺、さっきジューイにも空間を繋げる魔術印を渡してたけど、あれも異界の乙女絡みだよね?」


おおっ!?ナッシュ様!すっかり忘れてたけど…この流れで、もしかしてジューイも召喚者に…ドキドキ。


「あれは、只の先読みだ」


「へ?」


「あの術印の上に手紙やら異界の食べ物や…何と言ったかの…ホレ皆が読んでおる…新聞じゃったかな?が空間を繋いで現れとるのが見えたんだ」


「手紙?!食べ物…新聞!じゃあジューイの持ってる魔法陣で異世界の誰かと連絡が取れるってことですか?!」


「やだっ!先輩!和菓子送って貰いましょうよ!おはぎ食べたい!」


「お蕎麦を所望致しますよ!」


未来とカデちゃんから欲望ダダ漏れのリクエストが入っておりまーす。


「おい…続きがあるのじゃが…」


「先輩っ!豚骨ラーメンもいいですね!」


「私、味噌ラーメンをお願いします!」


「話を聞かんな…」


「爺…私が代わりに聞いておきます…すみません」


「お米!」


「もち米!」


未来とカデちゃんのリクエストの歓声?に阻まれてポルンスタ爺が何か言ってるけど聞こえない…。ナッシュ様が聞いてくれているみたいだから、後で聞いてみよう。


最後はなんかわちゃわちゃしたけど…色んな謎が解けてスッキリしたわ。


まさかのポカ爺が元?人間で…魔術師だとは驚きだけど。ただのお調子者じゃなかったのね…。


「そうだ、ミーツさん」


ポカ爺が長居出来なくてごめんね~と言いながら消えた後、皆帰り支度をしている時にミーツさんに話しかけた。


「はい、何でしょうか?」


「結局召喚はしてみるのよね?」


「はぁ…そうですね、ポル爺の先読みは絶対なので…やってみます。正直、俺が破魔の剣を持てれば…助かる人も増えますしね」


ミーツさんはチラリとオリアナ様やヴェルヘイム様を見て言った。


そうだよね~勇者になるのにお金がかかる訳じゃないし、貰っといて損はないわよね。え?セコイ?


「具体的にどんな女性がいいの?」


ミーツさんってどういう女性が好みなのかな?なんだか浮かれて聞いてしまってごめんなさいね~?


「う…ん実は理想はあるんですが、もう死んじゃったけどポル爺のお姉さんの大伯母のレアンテリ婆…若い時はめちゃくちゃ綺麗だったらしくって…近所のじーさん達の憧れの的だったって…長い黒髪で、漆黒の大きな瞳…優しくて…とか…これ全部近所のじーさん達の受け売りですけど。そんな人だったらいいなと思ってます」


ほ~日本人には結構いそうだけどね、現に私の親友の實川実莉(じつかわみのり)がそんな感じよ?


「私の住んでいた国ではミーツさんの好みっぽい雰囲気のお嬢さん多いわよ?私の友人もそんな感じだし?」


「へぇ~そのご友人は黒髪なんですか?」


「そうね、実莉…ノリは本当にお姫様なのよ~この国で言う所の公爵家や伯爵家とかみたいなお嬢様なのよね。まあ、でも流石にノリももう29才だし…ここに来る前は独身だったけど結婚してるんじゃないかな~あはは。あ、しまった!ノリに温泉のお土産渡さないまま、異世界に来ちゃったわ…」


すごくどうでもいい事を思い出してモヤモヤしてしまった。


ノリに私のマンションに入って貰って好きな物持って帰って使って欲しいわ…。はっ!冷蔵庫に入れっぱなしにしてある、出汁巻腐ってるんじゃない?ノリ~~処分しておいて~~。


ああ、そうだジューイの異世界の交流相手(仮)に『処分よろしく!』とか頼んでみるか…?


厚かましい?そうですか…そうですよね…。

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