シェフの晩餐
捕まった沢田美憂は茫然としたまま牢屋に入っているようだ。
取り調べにもまだ黙秘を貫いているらしい。
一緒に捕まえた男達から聞き出した所、コスデスタの第二公子に剣を出せと言われた沢田美憂が、またナジャガル皇国で異界の乙女が召喚された…という話を聞きつけて、その新たな異界の乙女から剣を奪ってしまえばいい…と思いついてここまでやって来たということだ。
どうやら未来のストーカーをしていたのは、剣を奪おうとしてたコスデスタのスパイのようだった。離宮や詰所では奪えないと判断したので、討伐に出る機会を知り…沢田美憂と共にノコノコやってきたようだ。
沢田美憂はコスデスタ公国第二公子付の魔術師の指示の元動いている…と男達は自供していた。
その男達の取り調べから戻って来たナッシュ様にお茶を出して話を聞いていた。
「ミライと召喚について話していた時、アオイを呼んだ召喚用の魔法陣を描いたのは魔術師団の術士に手伝ってもらった…魔法陣は共同で描き上げた。と言ったな?」
「はい。」
ナッシュ様は難しい顔をしている。
「魔術師団のホーガンスに問いただしてみた。私の召喚魔法の作成に、魔術師団から毎日入れ替わりで誰かが手伝いに入っていたそうだ。それならと更に聞いてみた。では…ここ最近、魔術師団を辞めたものはいないのか…と。」
私は唾を飲みこんだ。
「一人いるそうだ。名はシークエンス=エレ。年は30才…出身はカステカート…となっている。親の体調不良により故郷に帰国となっている。カステカートに問い合わせて今、調べている最中だ。だが、何も出んだろう…。恐らくエレとやらが…。」
「沢田美憂を呼んだ…ですね?」
私の呟きにナッシュ様は頷いた。
「召喚魔法はまだ術式の細部まで解析出来ていない…古代魔術の流れを汲む魔法だ。もしかすると魔法陣の作成の際に何か特殊な方法を用いることで、召喚対象に何らかの働きかけが出来るのかもしれん。こればかりは憶測だ。」
二人黙り込んでいると、
「殿下失礼します。」
とジャレット君の声が聞こえた。
「何だ?」
ジャレット君は執務室に急いで入って来るとナッシュ様に耳打ちした。
「そうか…う~ん。」
「どうされました?」
「カステカートに問い合わせていた件の返答があった。シークエンス=エレは実在する人物だ。ただし70才を越えるご老人だそうだ。」
ドッと肩の力が抜けた。
「偽名か…こうなって来るとあの偽エレが…誰か、と言うことだろうが魔術の素養はかなり高かったらしい。やはり疑ってかかると、ガンドレアかコスデスタ…どちらかだろうな。」
「何か目的があって異界の乙女を召喚しようとしていた…のでしょうか。」
ナッシュ様が腕を組んで天井を見上げた。
「アオイが読んでくれた歴史書に書いてあったな…確か何度か召喚しても失敗したとか…。」
あ、そうね。一度召喚に成功したので味を占めて…という言い方は下品かもしれないけど何度か召喚を試みて失敗していると記載されていたわね。
「ガンドレアでは召喚魔法はここ数十年は行われていない…これはガンドレアの元第二魔術師団長が証言している。つまりだ、あくまで憶測だがコスデスタでは召喚を何度か試みてみたのではないかな…。だが失敗に終わった。それで私が召喚しようとしているのを知って便乗しようとした。あの魔法は本当に魔力量が半端なく要るからな…魔術師数百人規模で行わなきゃまず発動しないしな。それでも失敗する確率が高いし…。」
そんなに難しい上に、魔力も労力もかかる魔法なのね。ナッシュ様もガレッシュ様もスルッと成功しているからもっとお手軽な魔法だと思っていたわ。
「本当に双方が必要としないと呼べない…と思うのだが、これも憶測だからな~。なぁ本当に1000年前の歴史書が保管されているらしい遺跡に調査に行くの嫌か?今は身体的に無理だろうけど…産まれた後…。」
「やめてよっあの大きなGの仲間がいるんじゃないかってカデちゃんが言ってたもの!絶対嫌よ!」
ナッシュ様が口を尖らせた。
「確かに、今では見かけなくなった古代生物が生息している可能性もあるけど…。あ、そうだ。ガレッシュに頼もうかな~あいつ専門家だし。」
「専門家?」
「ガレッシュって遺跡の調査をしたり、古代文明の探し物を見つけたりするのを専門にしていた、研究調査班に所属していたんだって…簡単に言うとギルドお抱えみたいなものなんだ。」
「ええ!?そうなの?意外~全然そんな風には…」
と言い掛けてそう言えばナッシュ様と違ってガレッシュ様には躍動的なイメージは無いわね。穏やかでニコニコしているけど…、遺跡調査ねぇ。
「明日討伐から帰って来るから、遺跡調査頼もうかな~。」
それはいい考えね。私はGと幽霊…が出そうな所は勘弁だわ…遺跡なんて○ァラオの呪いとか…ありそうじゃない?呪われるのはナッシュ様だけにして欲しいわ…あ~やだやだ。
翌日
帰って来たガレッシュ様に遺跡調査の話をするとキョトンとした顔をした後にものすごく笑っていた。
「いや~ちょうどさ、ミライと一緒に遺跡調査に行こう!て話になってたの~いいよ!行って来る。」
「未来、あなた大丈夫なの?遺跡なんて入って…。」
と、横で定期討伐の報告書をガリガリ書いていた未来は顔を上げて私を見た。
「最高じゃないっすか!○ンディー○ョーンズの世界っすよ!隠された秘宝!呪われた神殿!暴かれる真実!くぅ~オーパーツ最高!」
し…知らなかった。夢見る夢子の次は遺跡が好きな遺跡ガールなの?
「でも…遺跡なんて1000年前のものなのよ?どんな生物がいるか分からないし…ほら、ゆ…ゆ、幽霊とか…○ァラオの呪いとか…。」
私が恐る恐るそう言うと未来はカカカ…と笑いながら言い切った。
「幽霊?そんなのいないよ~。それに私が呪われるわけないじゃん。そんなの発掘するガレッシュ殿下が呪われるに決まってるよ。」
あら…そう?…てどこかで聞いたことのある事を未来も言ってるわね。
ナッシュ様と執務室で話されているガレッシュ様から
「ミライ~ひどい~。」
と楽しそうな声で非難の声が上がる。
何だかね…どうしたんでしょうね?ヤウエンの討伐から帰って来たら…二人の魔力波形が違うのよ…ちょっとどういうことよ~。元々相性が良いから二人が近くにいると魔力が混じり合っているみたいに診えていたけれど…。
今はお互いの魔力がお互いを包み込んでいるみたいになっているのよ。
これはこれは…オホホ。是非進展のほどを聞いてみようかしらね?
その日の夜、討伐で狩ってきたコンコルドの焼鳥串を食べながらミライに討伐の様子を聞いた。
「ええ!?ガレッシュ様お店を出せる位の料理の腕前だったの!?」
「そうなんですよ!めっちゃ手際もいいし、料理もすごく美味しかったです。また作って下さい!てバーバンさん達に懇願されてた。私も殿下のシチューまた食べたいよ〜。」
「いいな〜私も食べたい!」
「僕も!」
ナッシュ様とザック君もそう言ってミライが作ったパンケーキを食べている。
あんなに焼鳥串を食べたのによくお腹に入るわね…。スイーツ男子とその予備軍の胃袋は別腹仕様らしい。
「時々ここでご飯作ってもらえば、いいんじゃないっすかね?」
との未来のその言葉を聞いて、ナッシュ様とザック君が小躍りしている。
その後に、夕食の後片付けをして未来と二人きりになることが出来たので早速聞いてみた。
「ねぇ、ちょっと未来~あなたとガレッシュ様の魔力波形が討伐に行く前と全然雰囲気が違うんだけど、ヤウエンで何かあったの?」
未来はう~んと言いながらレイゾウハコから葱っぽい野菜の味噌焼きを取り出した。
おや?ナッシュ様がキッチンへ来られましたね、すごい…未来ってば何も言わずに葱の味噌焼きと黒ビール…ジーロをナッシュ様に手渡している。
「準備いいね、ミライ。」
「殿下がザック少年を寝かしつけてから、こちらにウキウキしながら来るのが分かりましたから…。」
なんでそんなことが分かるの?という顔を私もナッシュ様もしていたみたい。未来は破顔した。
「なんだか最近魔力を診る?ていうか感じる精度が上がってきているみたいなんですよね~結構遠くの人や細かい魔力の揺らぎまで分かるんですよ。」
「すごいね、ミライ~あ、そうだ。あのパンの中に果実が入ったの、また作ってよ~。」
と言いながらナッシュ様はまさにウキウキしながらキッチンを出ていった。
「果実の…ってもしかしてジャムパンのこと?」
「はい、ナッシュ殿下って子供が好む料理が好きですね。」
うん、私もそう思う…。
「でね、話を戻すけど…ガレッシュ様とどうなったの?」
未来と二人、キッチンのテーブルに座って未来はジーロ、私はホットサラーを飲みながら聞くことにした。
未来は始めは座って飲んでいたが、今はバンバガデランガの串焼きとコンコルドのネギマを作っている。多分ストックおかずだ…。流石、片倉未来…。
「じゃあ、結局ガレッシュ様から召喚した経緯を全部教えてもらったのね?」
「そうですね、聞きながらなんだか…モヤモヤ~としましたけど…。」
「あ…そう、よね。」
「満島ちゃんを呼びたかったのに…私も付いて来ちゃった…みたいな感じでしょう?自分でも何だか腹立ったし…でも…でもね、先輩。ガレッシュ殿下ね…今はね、私の内面…がいいんだって!外見より中身がいいんだって…言ってくれたんですよ。」
そう言って私を顧みた未来は真っ赤な顔をしていた。やばい…可愛い。
「そう…そう…外見を褒められるのもそりゃ…嬉しいけど、自分の内面…性格や生き方…を褒められるのすごく嬉しいわね。だって仕事に向き合う姿勢も褒められたってことよね?」
私までこそばゆくてそれと同時に嬉しくなる…。これは未来に対しての最高の褒め言葉じゃない?やるなぁ!ガレッシュ!
「で…褒められて二人で盛り上がったわけだ~。」
「いえ、何もありませんよ?」
「なんだって?」
未来はまだ顔を赤らめたまま…刺し終った串をレイゾウハコに入れている。
「結局ね、召喚したかったのは私のような性格の人…ということと…褒められて中身が良いと言われただけで…いまいちハッキリしないままその話は終了してしまいまして…。盛り上がりようもありません。」
なんだそれー!?ガレッシュあんたにはガッカリだよっ!
「まあ唯一分かったことと言えば、料理を作るのが抜群に上手いことと、女性との交際遍歴がすごい…ということぐらいでしょうか…。」
あ、分かるそれ。どっかの拗らせの兄とは違って、弟はモテそうだ。
「ひょっとしたらまだ切れてない女性もいるかもだし…なんだか中途半端な所で絡まれるのも困りますし…。私的には様子見でしょうか…。」
み…未来ーーあんたも淡白過ぎるわー!って、別に未来はガレッシュ殿下に…という気持ちは無いのかな?
「未来はガレッシュ様の事どう思っているの?」
未来は洗い物の片づけを終えると、ちょっと困った顔をしている。
「ガレッシュ殿下はかっこいいな~とは思いますよ。信頼もしていますし…でも皇子様なんですよ。そこは私とは違うっていうか…。」
「それを言うなら私だって…。」
「あの、今でもね…結構貴族のお嬢様から嫌味を言われるんですよ。ガレッシュ殿下絡みの、これでも堪えてまして…前の…世界でも種類は違うけど、言われていたことをまた言われるのか…と思うと、それを耐えれるほど自分の中では気持ちがついて行ってないと言うか。え~と、ガレッシュ殿下の為に頑張ろう!て思えないというか…私が恋愛のエンジンがかかるのが遅いっていうのもあるんですが。」
分かるわ…すごく分かる。
「そっか…でもねガレッシュ様の良き理解者にはなって欲しいわ。性格的にどう?上手く付き合える?」
「それはね~すごく気が合うんですよね!何を話しててもテンポが良いっていうか~一緒にいると楽だし~安心してるし~楽しいんですよね!」
あれ?…私は気が付いた。これって…これって?…ガレッシュ様に気があるってことじゃない?
未来は私の疑念に気づくことなく、ガレッシュ様の好ましい所を一生懸命に挙げている。可愛い~~~!未来を見守る隊の熊さん達が見たら悶絶するんじゃないかしら。
今はまだ芽吹いたばかりの恋心かな?エンジンがかかるの遅いのよね?ゆっくりじっくり進んで行って欲しいな…。
「ホント、ガレッシュ様って料理の腕前最高、性格も容姿も最高でパーフェクトプリンスね!」
と私が言うと未来は真っ赤になったまま頷いた。この顔ガレッシュ様に見てもらいたいわ~。
翌日
ドアンガーテ家にて『皇国の秘匿』のアイザックの胸糞事件の事をガレッシュ様と未来に話すことになった。語り部はまたレデュラートお兄様だ。今日はジューイは不参加だ。
話しの途中から未来が静かに泣き出していた。ガレッシュ様はチラチラと未来を気遣わしげに見ている。
話し終えるとレデュラートお兄様は大きく息を吐いた。
「この件に関してはガレッシュは本当に巻き込まれてしまったんだ、たまたま医院で生まれたばかりで…。すまんな。」
ガレッシュ様は慌てて首を横に振った。
「いやレデュ兄さんが謝ることないよ…そりゃ誰に怒りを向けるかって言ってももう死んじゃってるし…困るけど…俺なんかより被害にあった女の子達のほうがもっともっと苦しくて辛かったと思うし…。」
この流れで話すのもな~とは思ったけれどついでなので…。
私と沢田実憂がここに召喚されてきた経緯を…沢田実憂の事件などを未来とガレッシュ様に伝えた。リリアンジェ様やレデュお兄様は初めて聞くこともあり、興味津々という感じだった。
「…それで国外に逃げて、今また捕まったと言う訳ね。」
ガレッシュ様は未来の肩を優しく撫でている…てか二人の魔力波形…めっちゃキラキラしててピンク色に診える…て言ってもいいのかしら?診てるこっちが恥ずかしいわ。
ナッシュ様以外のレデュお兄様やリリアンジェ様の表情と言ったら…皆ニヨニヨしてるわね…。
「コホン…沢田さんの処遇についてはまだ決まっていないけど、厳しい処罰は受けることになるわね。」
未来はもう泣いてはいなかった。ちょっと怒っている感じ?
「沢田は…勘違いしてたんだよ…前から勘違いしてたけどさ。この世界に来て『異界の乙女』だと言われて先輩に勝ったつもりになって自分の事を客観視出来なくなってた。」
「私なんかに勝っても何もないのにね…。」
「沢田は先輩に限らず自分に無い物を持っている他人が羨ましくて仕方ないんですよ。」
無い物ねだりか…。
私達はゾアンガーデ邸を後にした。
その日、ナッシュ様の懇願でガレッシュシェフによる特別晩餐会が催されることになった。
どんな腕前なんだろう…ワクワクするわ~。
未来を助手にキッチンに入って行くガレッシュ様…気のせいか魔獣狩りにでも行くような気合いを感じるわ!
邪魔にならないようにザック君と戸口の端から作業を見守る。
野菜の下洗い…むむっ手際が良い!
ほ…包丁さばき鮮やか~~!
今日はロイエルホーンを使うのね~鍋の返しも凄い!
「ガレッシュ師匠…料理番の人みたいだね…。」
「そうね…料理男子ね、ポイント高いわ!」
あっという間にロイエルホーンの赤ワイン煮込みと魔獣鳥の香草焼き…それと野菜のサラダ(何味?)と魚介のスープを作ってしまった。パンに塗るディップもお手製だし…挙句にオーブンから白身魚の包み焼き出してきてる~。
未来は横で後片付けに徹している。冷蔵庫にバナナシフォンケーキが入っているからあれがおやつ?あ、果物の飾り切りしてる…今日はフルーツポンチね。
ガレッシュ様のお料理は最高だった。これぞ、プロの味!
皆、大騒ぎだった。ジーロとヴェルナやワインを飲んで大騒ぎだった。
残念なことに…少し食べた所で魔力酔いがきてしまい…フルーツポンチで我慢した…少し取りおいてもらっておこう。絶対食べたいし…。あの魔獣鳥の香草焼きの香辛料…気になるのよ。あんなのどこで手に入れたの?
「や~楽しかったな!また作りたいよ~。」
とお酒を飲んでほろ酔いのガレッシュ様は上機嫌だった。
「もうお前もここに住めよ~父上達も反対しないと思うけど。」
とナッシュ様が言うとガレッシュ様は本当に嬉しそうに笑った。
「そうだよね…料理作れるしなぁ~、うんそうしよっ!」
「やったぁ!」
ザック君が大喜びだ。ザック君はナッシュ&ガレッシュご兄弟が大好きなのよね。
夜中…喉が渇いたのとお腹が空いてきたのとでこっそりとキッチンに向かう途中に、庭のベンチで未来が一人で座っていた。声をかけようと思った所へ…な、な、なんと今日は離宮に泊まっていたガレッシュ様が近づいて行くじゃないのさ!
正直、気になって気になって仕方なかったけど…邪魔はしたくないっ!
二人の為に泣く泣く急いでその場を離れると、取りおいてもらっていたロイエルホーンのワイン煮込みにがっついた。
「やばっ美味しい…。」
魚介のスープも、これ出汁何が入ってるの?絶対ローリエ、ナツメグ、タイム…この辺りの香辛料が入っているはず…。ガレッシュ様が絶対香辛料の入手ルートを知っているはずだ。料理人だもの…。
明日入手ルートを教えてもらおう。もしかしてカルダモンやコリアンダーだったかな?も手に入れられるかもしれない…フフフ、夢はカレーを作ることよ!ネバーギブアップ!
翌朝
キッチンに向かおうと廊下を歩いていると、ナッシュ様がこちらに向かってくるのが見えた。
「ああ、良かった。今、起こしに行こうかと思っていたんだ。」
「どうされました?」
「ガレッシュを朝の鍛錬に誘おうかな~と部屋に行ったら部屋全体に障壁が張られていてな…。しかも消音と消臭…部屋に居るのか分からん…。」
ちょっと…え?え?もしかして…!?キョトンとするナッシュ様の顔を引き寄せた。
「まさか扉を叩いて起こしたりして…無粋なことはしてないでしょうねぇぇ…。」
ちょっと~~昨日の夜の二人の逢引(古いか?)の後にあーんなこととかこーんなことになって朝まで一緒…てことじゃないの!?
「だから障壁があるから…拒絶されて扉には触れんって…。」
「そう、そうね。無粋なことはやめましょう。さあ…今日は二人の為にゆっくりさせてあげなきゃね!」
ナッシュ様を促してそそくさとキッチンに入って行った。
「あざーす、殿下、先輩!今日はつわりは大丈夫ですか?朝はクレープ作っちゃおかなとか思って…なんすか?」
朝からキッチンに立つ片倉未来がそこに居た。な…な…なんで!?
「未来!?あんたなんでここにいるのよ?今、ガレッシュ様のお部屋でウフフな感じじゃなかったの!?」
さすがのナッシュ様もやっと気が付いたようだ。
「あれ…?ガレッシュと…ああ、そう言う意味か。で…今、ガレッシュ一人でいるの?」
ナッシュ様っ!誤解を生むような言い方をするなーー!




