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ヤウエン討伐 SIDEミライ後編

未来視点の後編です

次は本編に戻ります。

誤字報告ありがとうございます。


「女性の眼前に魔獣を投げつける人がありますかっ!」


とアーダクトさんに怒られてガレッシュ殿下はしょんぼりしている。


生血のシャワーはガレッシュ殿下が浄化してくれたけど…まだ獣臭い気がする。


「いや、もう大丈夫っすから…捌いて…塊肉になっている状態なら触れるんで…お気になさらず」


と、アーダクトさんが毛皮?と骨を外してくれた塊肉を更にコーリー君が腐敗魔法をかけて…切られた生肉の状態を私が麻袋に詰める…という工程を先程から繰り返している。


因みにあの後、何度か魔獣に遭遇して、鹿みたいな魔獣2匹、魔獣鳥…3羽もバーバンさんとガレッシュ様が一緒に捌いている。


「ゴメンね…ミライ」


ガレッシュ殿下はしゅん…としたまま私に謝って来た。


「いいですよ。流石にまだ半分生きてビチビチ動いている鳥を投げられるよりはマシなんで…」


流石は冒険者様だ…。魔獣狩りも慣れたものだが、ここに冒険初心者がいることを忘れないでいて欲しかった。


さてその日の夕食はガレッシュ殿下特製の野菜シチューだった。


美味い。なんだこれ?びっくりした。


皆もあまりの美味さに何杯もおかわりしていた。私も二杯おかわりした。流石料理男子…やるなぁ。


そして狩ってきたロイエルホーンはステーキの醤油掛けにした。


葵先輩から、絶対美味しいからやってみて!と言われていたものである。


「おいひぃ…ロイエルホーンてこんなにおいひぃんだ…」


ガレッシュ殿下がロイエルホーン肉を噛みしめながらしみじみそう言ったので、バーバンさんとアーダクトさんは目頭を押さえている。


「殿下…お労しや…」


「どうかお腹いっぱい召し上がって下さい…うぅ…」


ふ、不憫だよ…そんな獣肉で喜んで…苦労したんだね…。


「ミライさん!このソーナっていう調味料美味しいですね!あ、このクッキー美味しい!」


コーリー君よ…。主食とお菓子を一緒に食べるのやめな…。大人がしんみりしているのに…空気を読みなさい…。


さて


本日の狩りの成果を確認しつつ…


ガレッシュ殿下は明日の朝と昼の仕込みをしている。もはやプロだ…。私は洗い物をしたり下ごしらえの後の掃除をするのみだ。


リズミカルに包丁で刻む音とかき混ぜる音が聞こえている。


殿下にから揚げの下味は何が良い?と聞かれたので迷わずソーナ(醤油)漬けを提案した。ニンニクとショウガで味付けするのが宜しいよ…この世界にニンニクっぽい野菜があって良かった。玉ねぎとニンニクは万能だな。


その横で私はお菓子のストックを確認中だ。コーリー君がお菓子が大好きみたいですごく喜んでくれたので、ここでも何か作っておこう…と思ったのだ。


「パンケーキ焼いておこうか…ジャムは…桃っぽい果物あったよね…」


とブツブツ呟いているとガレッシュ殿下から笑い声が聞こえた。


「本当にお菓子作り好きなんだな~」


「殿下の御料理好きなのと一緒です!」


と笑いあっていると、殿下が表情を変えた。勿論、私も気が付いた。


「侵入者だ…」


魔力波形を読み取ろうと…外へと意識を飛ばす。マジー先生に教えてもらっている最中だ。


「六人ですね」


私がそう問うとガレッシュ殿下は頷いて


「侵入者を確認してくる、待機で」


「承知しました」


ガレッシュ殿下は消えた。するとアーダクトさんが台所にやって来た。


「何かありましたか?殿下が移動しました?」


「実は敷地内に六名侵入者が入りまして…」


と言い掛けた時にガレッシュ殿下がもう戻って来た。顔色が若干悪い…どうしたんだろ?


「ミライ…はミユとかいう子を知っているよな?あの子が…いる」


「え?いるって…侵入者はあの子なんですか?」


何しにここへ?と言うより確か、国外逃亡していたんじゃなかった?


「殿下、どうしましょうか…?」


「とにかく…兄上に連絡を…」


ガレッシュ殿下達が対応について話し出した。あれ?そう言えばコーリー君がいないや…。


コーリー君の魔力波形を捜しながら台所を出ると、コーリー君は裏口近くのお手洗いに入っているようだった。


ここまで来たしコーリー君が出て来るのを待つか…。


すると、ガレッシュ殿下の魔力障壁で包まれているはずの裏口辺りから変な風が入って来る?


何?と思って裏口の扉に近づきかけて気が付いた…。扉の向こうに誰かいる?!


ブワン…と障壁に穴が開いて(・・・・・)軍服を着た男達が扉を蹴破って中に入って来た。


私は迷わなかった…一気に踏み込むと先頭の男に回し蹴りを加え、他の男が体勢を整える前に腕を取り、一人を投げ飛ばすと更に三人目の懐に飛び込んで背負い投げをした。


我ながら…素晴らしい先制攻撃だ…。


するとトイレの扉からものすごい勢いでコーリー君が飛び出して来た。見るとすでに剣を構えていた。偉いぞ!


「お前ら何者だ?!」


私は侵入者を観察した。倒れた男は一人は昏倒している。もう一人は頭を打ったのか悶絶している。残り三人…そして女性が一人…間違いない。男達の後ろから驚愕の表情でこちらを見ている、女。


沢田美憂…。


「動くな」


ガレッシュ殿下だった。すごい…いつの間に?侵入者の背後に立ち、剣を首筋に当てている。それにバーバンさんもアーダクトさんもすでに倒れている男を縄のようなもので縛り上げている。


沢田美憂は洋装ドレスというより、アジアンテイストなドレスを着ている。


しかしこの子こんなに人相悪かったっけ?化粧が濃いのか…目がギラギラしている。おまけに魔力波形が汚い…灰色だ…。


「片倉未来…よね?私、分かる?沢田美憂よ」


っておい!呼び捨てかいっ!


私が無言で頷くと、沢田美憂はニッコリと笑って叫んだ。


「良かった!ねえ、あなたの剣を私に頂戴!」


けん?…何だって?何をくれって?


私が怪訝な顔をすると沢田美憂は手を前へ差し出してきた。


「剣…あなたの出した剣を私に頂戴よ!私出せなくて困ってるの!お願いっ!」


益々分からん…?首を捻っていると私の後ろの廊下の奥からナッシュルアン殿下と葵先輩とミラマ兄弟の魔力の気配がしてきた。


あ、ルル様とフロックス大尉もいるな~勢ぞろいだ。


「沢田さん…」


葵先輩はナッシュ殿下の背後から顔を覗かせている。沢田美憂はなんと舌打ちした。


「あんたっ…なんで教えてくれないのよっ!あんたが剣の出し方教えてくれないから恥をかいたじゃない!」


どういうこと?


葵先輩を見ると、まるでビチビチ動く魔獣鳥を投げつけられたみたいな顔をして、沢田を見詰めていた。


「教えるも何も…あなたが剣を想像出来なきゃ無理だし…」


創造?想像かな?葵先輩を見詰めると、私にちょっと頷いてみせてから続きを沢田美憂に話し始めた。


「沢田さん…あなたが誰かに召喚された人ならば…剣を想像して生み出せることが出来るはずよ?あなた…自分が呼びたい剣を思い描いてみた?」


葵先輩に問われて沢田美憂はポカンとしている。


「呼びたい剣?何それ?」


葵先輩はポカンとする沢田美憂に噛んで含んだ様に言い聞かせた。


「あなたが剣を渡したい人の事を想って…その人に合う剣を思い描く事…私はそれが剣を召喚するやり方だと思うわ」


「鷹宮さん…あなたそうして…剣を…その人に渡したの?」


その人と言ってナッシュ殿下を沢田美憂は見た。おい…皇太子殿下に向かって何て言い方だよ…。


「そうよ?でも詳しい仕組みは分からないわよ?」


沢田美憂は急に地団駄を踏んだ。


「そんなの分からないわっ…私が異界の乙女だって証明出来るのは剣を出すことだけだもんっ!早く出さないと…公子様に…っ。だから片倉っあんたの剣を貸してよっ早くっ!」


「いや?剣なんて知らんし?」


と私がそう答えると、沢田美憂は半泣きになりながら更に地団駄を踏んだ。


「あんた異界の乙女でしょう!?剣を出してなきゃ乙女だって認めてもらえないじゃない?!何やってんのよ?!」


よく分からん持論だな…?


「そもそもだけどさ、その剣?を出してなくても…異界から来たっていうのは皆知っているじゃない?だったら、腹括って異界人で何が悪いんだ…ってな感じで働いて生活していきゃいいだけの話では?乙女とか…剣の召喚?とかしなくても私、元気に働いて生活出来てるし」


沢田美憂は髪を掻きむしった。


「だって異界の英知を出せっ…て言われたのよ!?それ何よ?!私、何も持ってないわ…だったら剣を召喚しろ…って…知らない知らないっ?!」


う~ん…。葵先輩が私の横に立った。思わず先輩と顔を見合わせる。


「沢田さん、あなた経理課に居たわよね?経理事務は出来るんじゃない?それにこの世界に無い異世界の知識…あなただって冷静になれば分かるはずよ?生活必需品…身の回りの便利グッズ…これがあれば便利だな…ってもの、あちらの世界にあってこちらに無い物…探せばいくらでも()()として挙げられるわ。私も未来もそうやって…企画営業の仕事をこちらでも生かして働いて生きているのよ?」


葵先輩の言葉に沢田美憂がとうとう泣き出した。


「英知…てそれなの?私知らないもの…全然…知らないもの…」


「沢田、あんたね知らなければ聞く。常識でしょう?今までチヤホヤされて周りに任せっきりにしていたから…付けが回ってきたんだよ。この世界でだって働かなきゃ生きていけないだろ?」


ルル様とジャックスさんが沢田美憂に何か魔法をかけた。あ、拘束…縛っているのか。


「だって…異界の乙女…だって…選ばれたんだって…」


私は泣きじゃくる沢田美憂に言った。そう、これは言っておきたい。


「選ばれなくてもここに来ちゃった以上…戻れないんだから特別なんてことはないよ。ここの世界の住人にならなければいけないんだ。異世界人…乙女なんてただのあだ名だよ。そこに胡坐かいてちゃダメだよ」


沢田美憂は連れて行かれた…。葵先輩達も「帰ってから詳しくね」と何度も言ってから帰って行った。


異界の乙女、剣の召喚…。ガレッシュ殿下に聞いたら教えてくれるかな…とチラッと殿下を見るとちょうどこちらを見ていたようで私の表情で分かってくれたようだ。


「今日はもう遅いし…明日にしようか~」


と言われたのでその言葉に従うことにした。


翌朝


外で空手の型をやっていると、男性陣が剣を片手にこちらに歩いて来るのが見えた。コーリー君が柴犬みたいに走ってくるように見えるのは目の錯覚だろうか…?


「ミライさんっ!おはようございます!あのあの…昨日の賊を倒した袖を持って…回転させて投げるあの体術…僕に教えて下さいっ!」


朝から元気だね~。


「あれは…正規の技じゃないんだけどね、え~と相手の動きに合わせて体重の乗っている方へ回転させる…ていうか…。あ、実際見た方が早いかな~。ガレッシュ殿下ちょっと…」


皇子殿下に組み手の相手をしてもらおうかな~。


すると男性陣はそれは嬉しそうに近づいて来る。皆の魔力が弾んでいる。


「殿下、私の手を掴もうと…こういう感じで…動いて見て下さい」


「いいよ~」


ガレッシュ殿下に動いてもらって、腕を取り、体を捻りガレッシュ殿下を投げた!…が、ガレッシュ殿下は空中で体を返し…ストンと綺麗な姿勢で着地して地面に降り立ってしまった…。


「すごい投げ技だね!」


おい…ガレッシュよ…。そんなに綺麗に返されたら投げ技の参考にならんではないか…。


私はコーリー君を見た。


「コーリー君、今の投げ技は無駄に運動神経の良い殿下のせいで台無しだったけど、本来はこうやって相手の力を利用するのよ。コーリー君は動きが素早いから…。相手が構える前に懐に飛び込んで…こうっ…ね!」


私は近づいてきていたバーバンさんの体を、素早く屈みこんで背負って投げてみせた。


バーバンさんは流石、地面に落下する直前に受け身を取っていた。


「いったた…さ、流石ミライさん!あの賊達も一撃でしたよね!」


バーバンさんは投げられたけどめっちゃ嬉しそうだ。コーリー君は大興奮でガレッシュ殿下を相手に、何度も投げ技の練習に挑んでいる。


「ところで殿下…」


「なに~?」


コーリー君と組手をしながら返事をしてくるガレッシュ殿下の横に立った。


「昨日、話に出ていた剣と異界の乙女…について教えて下さいますか?」


コーリー君は動きを止めて私とガレッシュ殿下を交互に見ている。


「朝食食べてからにしよっか?」


それには大賛成です。


本日の朝食は


殿下の御手製のオムレツ(中に入ってるソース?美味いよ!)とパンは城からの配給…そして魔獣鳥の根菜スープと豪華だ。デザートは私のお手製木の実マフィン…。おまけに葵先輩から果物ゼリーが届いている!コーリー君が大はしゃぎだ。 


さて、お茶を頂きながら異界の乙女と剣についての話になった。


「えっと異界の乙女というのは500年前に召喚されて来て…ロンバスティンの剣を勇者に授けた…というのが歴史書に記されている。これがまあ一般の人も知っている内容かな」


ふんふん…なるほど?で、剣は召喚?とか葵先輩が言っていたけど…。


「義姉上が言うには召喚というか剣が現れたのは、魔を祓える剣があればな~と異界の絵物語の中の架空の剣を思い出していたら現れたとか。確か…甥御さんが遊んでいた『げーむ』って言ってたかな?」


「ああ、甥っ子さんね…ゲームかぁ、剣が出るとなるとRPGとかかな?私もその辺は疎いわ。へぇ~先輩はゲームの剣を呼び出したって訳か…ああそれで剣が擬人化したエフェルカリードが居る訳ね~。細部まで細かい設定が生かされてるんだなぁ…」


何せ私の専門は王子様の出て来る小説とキラキラした女性向け恋愛ゲームだ…他は分からない…。


「沢田美憂には、そんな剣を想像出来る知識はなさそうだと思うけどね」


私がそう言うとアーダクトさんは驚いたような顔をした。


「つかぬ事をお伺いしますが、異界の乙女って…その自分の剣の存在は事前に知らないのですか?」


おいおい?私ら普通の異世界人だぞ?ってあれ、待てよ?異界の乙女側からの情報って歴史書に載せてないのかな?


「私も葵先輩も普通の人間ですよぉ~いきなりこっちに来て何も分からないです。それにしても歴史書には乙女の経歴…とか乙女の証言とかは記載されていないのですか?」


「500年前のものにはそれは詳しく書いていない…というより先日、義姉上が原文を読んでくれてやっと分かったばかりなんだ。実はまだ遺跡に乙女に関する1000年くらい前の古文書が眠っているらしいんだけど…。俺、発掘してこようかな…」


何!?遺跡の中なのか!?気になる…実は遺跡とか発掘のドキュメンタリー番組も好きなんだよね。エジプト展みたいな催しもよく見に行ってたし…。そういえば…転移の加護って…。


「葵先輩にその1000年前のも読んでもらえば?確かなんでも読めるんでしょう?」


ん?皆の視線が私に集まる。


「義姉上は暗い所は…イモゲレラドアンキーが出そうでイヤだと言って入ってくれないよ。ん?そうだ…そういえばミライはナジャガル語をいきなり話してたね!義姉上とは異界語話しているし…ザックとはカステカート語を流暢に話している…そうかっミライ!俺と一緒に遺跡に入る?」


な、なんだって?!イモゲ?それはともかく…


遺跡発掘?!某鞭を振う考古学者を思い出す。ひ、秘境とか…?隠された神殿とかに入れるのかな?!


「やります!発掘!残された神殿の謎っ迫りくる追手!解き明かされる1000年の呪い!明かされる真実!萌えるぜ!」


私が興奮してガレッシュ殿下の手を握ると殿下はびっくりしてオロオロしている。


ごめんなさい…興奮しまして…あはは。


そういえばどさくさに紛れてて忘れていたけど、私の周りに張られている防御障壁ってどういうことなんだろう?すっかり聞くのを忘れてた…。まあいいか…、なんかか弱い女子になったみたいで…実はちょっと嬉しい…とか思っているのは皆には内緒だ…。


さてその日の討伐はグローデンデの森近くまで行くことになった。


グローデンデの森…。聞きかじりの知識しかないけど森の中には高濃度の魔素が流れていて、中に入ったら魔素に晒されてどんな生き物も魔の眷属化してしまう…。


怖いな…怖い…けどキャラじゃないし…怖気づいているところを見せる訳に行かない。


だってね…その森の方向から獣の鳴き声とか…魔素だろうと思われる力のようなものが離れてても分かるんだよね。


「まだコンコレドがいますね…」


とコーリー君が呟いたのでコーリー君の見ている方向を見ると、空を何か鳥が飛んでいる。鷲?鷹だろうか…うん?よく考えたらこちらからの距離の割に大きくないか?


「で、でかいっ?!」


そうだ、葵先輩から借りてきた『超危険!世界の魔獣害獣大図鑑☆改訂版』をレデスヨジゲンポッケの中から取り出してみた。


「コ…コ…ああこれか…体長は幼獣で1~3シーマル。成獣は4~6シーマルになる飛行型の翼獣…主な主食は果物など…なんだぁでかいから肉食かと思ったよ!脅かしやが…っ…て…?キターーー?!」


コンコレド!でかい…てか一直線にこっちに向かってない!?草食だよね?襲わないよね?


思わずしゃがみ込んだがコンコレドはボヨヨン…と何かに弾き飛ばされた…あ、これ知っている。ガレッシュ殿下の防御障壁だ…。


「コンコレドは魔獣化したら人を襲うよ?図鑑に載ってない?」


と、ガレッシュ殿下が言ったのでコーリー君と二人して図鑑を覗き込んだ。すると但し書きが小さく、本当に小さく書き記されている。


『但し、一般的な害獣が魔獣化した場合、凶暴性が増し、更には人を襲い肉食獣化することが確認されている』


文字小せぇよ!?こんな危険な事はもっとデカデカと赤文字で書いておけよ!


「コンコレドかぁ…魔獣肉の価値としては良くないんだよな…」


「殿下…見つけた場合討伐しませんと…」


バーバンさんに指摘されてガレッシュ殿下はハッとしたようだ。


「ついうっかり売値が高価かどうかで判断してたよ…あはは」


アーダクトさんがまた目頭を押さえている。


骨身に沁みついた庶民魂を感じるぜっ…。思わずガレッシュ殿下にサムズアップをしてしまった。


それから討伐の期間中


ガレッシュ殿下の料理男子の絶品グルメを堪能しつつ、細々とした節約術を披露してバーバンさん達に労わられながらガレッシュ殿下は無事、定期討伐を終えた。


それはそうとアレ…はスルーされてるのかな…。


アレとはガレッシュ殿下から聞かされた告白っぽいことのことだ。しかし告ったはずのガレッシュ殿下がいつも通りなので、私も気にしないことにしたのだった。


まだ思い出してモヤモヤすることはあるけれど、なんだかガレッシュ殿下って憎めないんだよね…。


異界の乙女の剣か…。


沢田実憂はどうしているんだろうか…あの子は何の罪を犯して捕まったのか…。


とにかく帰ってから全部を聞いてみよう。


「おーい準備出来た?帰るよ~」


「はーい」


私は元気よくガレッシュ殿下に返事を返した。


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