クリスマスとか言ってられないのです!
クリスマス番外編になります。
誤字修正しています
はっきり言おう年末の仕事の追い込みほど体力を奪うものは無い…皆、口を揃えて言う「なるべく年内までに…」何かの呪文の如くこれを言う。コレを言っておけば納期だって間に合うだろう…とか訳の分からんプレッシャーを与えて来る。はっきり言おう、お前以外にもほぼ全員がそう言って仕事を押し付けて来ているんだよっ。
「頼むよ~アオイっ!」
「くどいっ!もうジューイの案件2件とフロックスさん1件、ゼベロッパー大元帥の腰痛悪化に伴う戦線離脱の業務を私が…何故か私がっ請け負っているので無理ですっ!一人で頑張って下さいっ」
「アオイ~愛してるよっ~」
「愛があっても今回は無理です」
来年年明けに行われる、国が一般に向けて行う…私から言わせると某アトラクションのナントカパレードみたいなド派手演出の式典に際して上がってくる書類と試算の不備が無いか確認するだけで手一杯でナッシュ様に構う暇が無い。
「ここの広場の折り返し地点で花火の演出いるの?」
「ちょうど立ち止まられる所でして…見せ場なのです」
何の見せ場だ…国王ご一家…だけで十分だろうと思うけど私も参加だ。まあいいけど…
「一般市民に誤発だけは気を付けて、それと規制線…縄なのでこの区間とここは…一定の距離近づけないようにしましょう。かならず等間隔で人員を配置すること、警護の方にも通達を」
書類と地図に○印を入れて内相の補佐に渡す。さてジューイから預かった、来年から試運転の国営託児所の予算案を…なんだよ?ジッと子犬みたいな目で見て来てさ、見たって休めるわけないじゃない…ナッシュ様を睨む。
「なんでそんなに忙しいのだ…」
「ゼベロッパー大元帥の腰に聞いてください、慢性の痛みには魔法は効きにくいそうですねっ」
そうなのだ、時間を置けばまた痛みをぶり返す、などの症状のある慢性の疾患には魔法は効きにくい…根本的治療はその病巣を治療魔法…しかも完全治癒魔法なるものが扱える、シュテイントハラル治療術院の上位治療術士しか治療出来ないと言う。その方々は向こう数年間予約がびっしりだ。重篤の方は別枠申請が出来るのだが…ゼペロッパー大元帥は腰痛なので、地味な順番待ちで…なんとか5ヶ月待ちまで漕ぎ着けたらしい。後5ヶ月耐えるんだよ…うちの国にも治療術院作ろうかしら?カデちゃんに相談してみよう。
「ナッシュ様何故そんなに…明日の休みが欲しいのですか?」
ナッシュ様は今日の朝突然に
「明日はアオイとずっと一緒にいたい!」
と、言いだした。折しもニルビアさんは息子さんご一家と温泉旅行に出かけて不在ではある。だが別にわざわざ休みにしなくともいつも一緒だ。不本意…ではないけど一緒だ。
ちょいちょいこの皇子殿下は子供っぽい所を見せるのよね。まあ5才から親の愛情に飢えていたっていうのもあるだろうけど…お蔭様で今では親子仲も順調に回復されて母親のクリッシュナ様に始終べったり中だ。仲良きことは美しきかな、それにナッシュ様には新たに構う対象が出来てそちらにもべったりだ。もう好きにしたら宜しいよ。
「実はカデリーナ姫から、異世界情報を得たのだ」
カデちゃんっ!またいらぬ知恵をナッシュ様に与えたのではあるまいな?
カデちゃんは外見は可憐なお姫様だが、中身は渋めのおば様なので…何せお節介だ、悪い意味ではないけど世話好きだ。今度はなんだ?と取り敢えず聞く体勢はしてみる。
「明日は世の想い合う恋人や夫婦同士がより仲良くする日らしいなっ!」
いやぁ~あの間違いはないけれど…本来のクリスマスの趣旨から外れるが、それに乗っかって「クリスマス限定コフレ」とか「クリスマス特別フェア」とかの企画をぶち上げてきた身としては、強く反対は出来ない…うん、出来ないけど。
「それで、これをアオイに着て欲しいのだっ!」
ああっ!いやな予感!カデちゃんっ~私じゃクリスマスをスルーすると踏んで、ナッシュ様を煽ったね?この皇子様は本当に流されやすいのだからぁ!
ナッシュ様がヨジゲンポッケから取り出したのはサンタコスプレの女性向けの膝上丈のスカートとサンタ帽、しかも赤いニーハイブーツ付だ。ブーツどうやって作ったのだろう?思わず受け取って縫製や布地を確認してしまう。完璧だ…さすがカデちゃん。
「うわっ何それ?服なのかっ?身丈短い!ほぼ足見えてるじゃん!」
ジューイいらぬことを言ってまたナッシュ様を煽るな。
「だろうだろう?ものすごく色っぽいと思わないか!」
コラコラ、鼻息荒いよ!ナッシュ様
「破廉恥ですよっそんな服っ!」
コロンド君、声が大きい。
こんな服を年甲斐もなく着て「あのババア痛いっ」とか影でコソコソ言われるのはごめんよっ!
…って待てよ?この格好が痛いと思うのは私が異世界人だからであって、こういう服をどれぐらいの世代の子が着るのかは、ここの人には分からな……いかんいかんっ!なにを正当化しようとしているのだっ!
フロックスさんが執務室の中をクリスマス状態(雪景色)にしてきたので、早々にサンタコスを事務机の引き出しに突っ込んで素知らぬふりをした。
その日の夕方、第一部隊に確認した書類を渡して帰って来ると執務室には誰もいなかった、そして私の事務机の上にメモが乗っていた。
『ヤウエンに魔人が出たとの報告があり
討伐に行って来る。
帰ったらあの赤い服着てくれよ
ナッシュ 』
う~ん、そこまで望まれるなら…仕方ないかな~と事務机の引き出しを引こうとして何かに引っかかった。服…が引っかかっている訳ではなさそうだ。少し引き出しの奥に手を入れて引っかかりの原因を手で探ってみる。何か固めのガサガサと音の鳴る袋?が入っている。
何だろうか?グイッと引っ張った時に悲劇は起こった。掴んだ何かがサンタコスのちょうど腕の布地に当たり、ビリリッ…という軽快な音を立てて服が裂けた!綺麗に裂けた!慌てたので引き戻してしまい、更にビリッと音が聞こえた。恐る恐る手に掴んだモノを引き出しから出して見た
ああっこれ!?例のひったくり事件の時の胡椒クッキーじゃないっ!入れっぱなしにしていたわっ。あわわどうしよう…胡椒クッキーかサンタコスの破れか…どちらを先に始末するかで慌ててしまう。
とりあえず物置に走り込んで、フロックスさん愛用の園芸用のスコップを掴むと、詰所の裏庭の木の根元の土をスコップで掘り起こした。そして急いでクッキーの中身を土に埋めて再び埋め戻した。
とりあえずこれで一安心だわ。中身をそのままゴミ箱に捨てたら、万が一ナッシュ様に見つかって…これをネタに弱みを握られて、どえらいことをやらされそうだし。
「森にお還り…」
ぺんぺんとスコップで土を叩いてみた。
「何を埋めているんだ?」
「ぎゃあああ!?」
脅かすなよっ!てかジューイあんたなんでいるのよ?討伐はっ!?
「あっあんっ…あんた!討伐はぁ?」
ジューイはすごく怪訝な顔で埋めた土と私の顔を交互に見ている。
「なんでゾロゾロ俺まで行かにゃならんっ!SSSクラスとSSクラスがいて何が出来るかってんだ」
なんかこの、俺まで~ならんっの台詞、最近多いな…力仕事をあっちに回し過ぎじゃない?
とりあえず、怒ったフリをしながらそそくさと詰所内に戻ると、スコップを綺麗に浄化してから元に戻し(証拠隠滅)帰宅の準備をし、破れたサンタコスをお持ち帰りした。
さて離宮に帰宅して早速、サンタコスの手直しを開始した。まず袖は取ってしまおう、腕の白いモコモコは可愛いから肩の飾りにして…と色々手を加えてなんとか腕丸出しのサンタコスが完成した。
お腹空いたな…固めのコッペパンをトマトスープにつけて食べているとナッシュ様が帰ってきた。急いで食事の準備をした。
魔獣鳥のから揚げ(温め直し)とトマトスープとパストラミモロンのコッペパンサンドを出した。お飲み物はヴェルナをどうぞ~
まぁ折角なので生クリームを使ったイチゴのホールケーキもあるのよね。もちろんカデちゃんに言われなくても…準備はしていたのよね。うん、出しましょうかね。
「なあ、あの赤い服…サンタコスプレ?だったか、いつ着てくれるの?」
はぁぁ…痛いおばさんになるかなぁ…
とりあえず食事を終えて部屋へ移動した。そうしたら、なんと着替えの状態からナッシュ様が見たい!と騒ぎだした。年末に変態旋風再びか?兎に角騒ぐので、仕方なしにお着替えの段階から見せるストリップショー再びになってしまった
そうして焦らす訳ではないが、一枚一枚…脱いでいくとナッシュ様は国の皆様にはお見せできないような、興奮状態になっておられた。そしてサンタコスプレに着替える始めると、もう耐えきれなくなったのか、私の腕やら足を撫でまわしていた。はぁはぁ言い過ぎ…
「腕の布…どうして取ったの?」
ギクン…冷や汗が背中を伝います。もっと変態を喜ばせてしまうかもだけど返答はこれしかない!
「腕を出したらナッシュ様が喜ぶかと思って♡」
イタイ…イタイデスネ。肉を削って骨を断つ!これをするしかない。
いい年した大人がこれはマズいかと思ったが膝の上に乗ってナッシュ様を見つめてみた…ウルンッ。どうだ?ナッシュ様が顔を真っ赤にして照れてきた
「アオイっ愛してるっ!」
はいっ落ちましたーーーっ!ナッシュ様と濃厚なキスを交わしながらチラリと目を開けるとちょうどナッシュ様も目を開けていたみたい。微笑まれてまた角度を変えて唇が触れる。
はぁ~まあ、変態行為も好きな相手だから許せるのよね…そうして聖なる夜は更けて行った
翌朝、眠気を堪えつつ詰所に入るとコロンド君とジューイ、おまけにルル君まで怯えたような目で私を見ている。な、何?朝から何?すると戸口に立ったフロックスさんが言った。
「私の大切な園芸用のスコップを使って、誰かを殴り殺しましたね?証拠は挙がっているのですよ?昨日、人目を忍んで土に何か埋めているのをジューイが見ています。誰を殺して埋めましたか?正直に吐きなさい」
ヒョォォォッ…執務室にダイヤモンドダストが舞い散る…
キッと私が睨むとジューイがサッと目を逸らす。
こ、こらーーーーっ!人をクリスマスに殺人者にするんじゃないーーーっ!
私が何を埋めたか、皆にばれた。皆さんは大笑いされてナッシュ様には呆れられた…が
「まあ、今度のシテルン視察でほぼ全裸のアレ着てくれれば許すよ~」
とすれ違い様に一言、耳元で囁いて来た…
この変態めっ!今度のクッキーには鷹の爪いれてやるぅぅ!
FIN




