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自称勇者

長期連載にならない予定が…まだ続いています。もうしばらくお付き合い宜しくお願いします。


誤字修正しています

討伐から帰ってきて二日目の朝、パンケーキを焼いているとナッシュ様がキッチンに顔を出した。


「おはよう、ニルビア~アオイ~」


「おはようございます!」


とニルビアさんと仲良くナッシュ様に朝のご挨拶をする。今日はお弁当にしようかな。昨日のから揚げの残りを甘酢でからめて、卵焼き焼いて…ああそうだロイエルホーンでローストビーフ作ってたんだ。


私がローストビーフをレイゾウハコから取り出しているとナッシュ様が近づいて来た。


「アオイ、言うの忘れていた。今日の朝議アオイも参加してくれ」


「は?どうして今頃言うのですかぁ~もうっ」


ニルビアさんは焼き上がったパンケーキをテーブルに運んでくれる。お弁当作りは後でいいか。


「今日の朝議の議題はなんですか?」


「ああ、陛下にエフェルカリードを見せようかと思って…隠したりコソコソするのは性に合わんしな。他の臣下の反応は…まあ大体は読めるけど…交渉の切り札にするにはこちらの手札も見せておかねばな…」


パンケーキのブルーベリーっぽい実のソースをかけて頂く。甘酸っぱくて美味しい。


「そのお披露目に何故、私が必要なのですか?」


「まあ、見てて欲しいからかな?」


「何をです?」


「私を」


「……」


私は胡乱な目を向けた。ナッシュ様はうっとりした目でこちらを見ている。


ナニヲタクランデイル?


私はパンケーキを食べ終わるとお弁当作りを再開した。またもナッシュ様が煩く騒ぐので4人分作って持って行った。ローストビーフサンド、から揚げの甘酢和え、卵焼き、魔獣鳥のササミサラダ、デザートはクレームブリュレだ。


離宮からの通勤、朝の2人の予定確認の時間だ。メモしながら書き留めていく。


「それと、カステカートのユタカンテ商会だけど一応行くとなると表敬訪問扱いになるから…もう少し待ってくれ」


「ユタカンテ商会に少し行くだけ…なのにですか?」


「それだけじゃすまないんだよ、カステカートのルーイドリヒト国王陛下にもご挨拶したいし、それと向こうのダヴルッティ閣下にも会いたいんだ~すごくカッコいい方なんだよ?私、憧れてるんだよ!」


なんと!このナッシュ様の憧れの御仁だってぇ!?それはお会いしたいかも…はっ!待てよ?まさか変態のお師匠様ではないだろうなぁ?


さて…詰所に着いて朝議に必要な書類をフロックスさんと確認していると、何か薄い本みたいなものを見ているコロンド君に気が付いた。ちょっと…まさか朝から如何わしい本なんじゃ…とソロリと横から覗いて見た。


なんだ…何かのカタログみたいじゃない…図解入りで何か魔道具のなんとか…と書いている。もしかして!


「コロンド君、それユタカンテ商会の商品目録?」


コロンド君は顔を上げると「いえ…これは…」と、裏をひっくり返してから


「ガーベジーデ商会ですね」


と言った。


「ガ…ガーベジー…そのガーなんとか商会のね、ユタカンテかと思った」


「ユタカンテの目録ですか…タクハイ所にありましたね。買ってくればよかったかな。これは内務省の事務次官の方から頂いたのです。カーベジーデ商会はユタカンテ商会より割安で似たような商品があるのでお手頃なんですって…」


な…なにそれ?怪しくない?安くて似ている商品…?遠回しにコピー商品ですよ!って言っているみたいじゃない。自称、服飾業界の風紀委員の血が騒ぐ。これは確認しておかねば…


「コロンド君…お手隙な時でいいのだけど、ユタカンテ商会の目録を買って来てくれない?それとナッシュ様のお菓子も…」


私はフロックスさんから預かったナッシュ様専用お財布から銀貨を抜いた。ナッシュ様の財布だ、私の懐は痛まない…


準備が出来たのでナッシュ様、フロックスさん、私…で朝議に出かける。フロックスさんに朝議に関する注意事項を聞いた。


「大抵は国王陛下と宰相やその他のご高齢の方が取り仕切るので、黙って座っているだけで大丈夫です。それと、モヤシと乙女とクリッシュナ様もご参加なのであしからず」


今、さり気なく…本当にさり気なくリディックルアン皇子殿下をモヤシと言ったね?まあ、ここは公の場ではないのでセーフかね。


「おはようございます。ナッシュルアン皇子殿下」


議場に入ったら大勢のおじ様達から一斉にご挨拶をかけられる。ハッキリ言って誰がどう見ても皇太子殿下の風格だよね…これで第二皇子です…なんて誰が信じるのよ。モヤシと乙女はまだ来ていない。


「おはようございます、ナッシュルアン様。オヤ、あなたが新しい補佐の方ですかな?」


どう見ても…横から見ても縦から見てもフロックスさんの親御さんらしい人が立っていた。ものすごい殺し屋アイズである。こちらが元祖かな…


「父上、おはようございます」


「おはよう、バッケンジー外相」


あらま、フロックスさんのお父様は外相様なのね。私は淑女の礼をとった。


「お初にお目にかかります。ナッシュルアン皇子殿下の執務補佐の任を拝しております、アオイ=タカミヤと申します」


「エレックス=バッケンジーだ。宜しく頼むよ…いや~滅多に人を褒めないコレが、使える人が入って来たと言っていたからどんな方かと思っていたら綺麗なお嬢さんじゃないか~ハハハッ!」


コレと言われたフロックスさんは渋い顔である。


「まあ、ホホホ。使えるかどうかは今後の仕事を見て頂くしかありませんわね~ご期待に添えるように精進致しますわ」


オホホ…とハハハ…と笑いあってビジネス挨拶をしているとモヤシと乙女がやっと入って来たようだ。皆が見るのでつられて議場入口を見て目を剥いた。


手…手を…繋いでいらっしゃるよ…?おまけに座ってからも肩を寄せ合ってなんだか今にもキスしそうですけど?周りの皆様も申し訳なさげに朝のご挨拶をしているけど…アレ何なの?


「ああ、言い忘れていましたが…あのようにモヤシ達が戯れますが、あしからず」


フロックスさんが不敬にもモヤシと乙女を指で差している。まあ、体で隠しているからギリOKかな…


「いつも…なの?あれ?」


「まあ、いつもですね」


フロックスさんに代わりフロックスパパが答えてくれる。元祖殺し屋アイズだぁぁ…怖い。


「国王陛下入られます」


お付きの方の声で議場の皆様は所定の位置に戻られた。私は予備椅子を出してもらってナッシュ様の斜め後ろに移動した。立って国王陛下をお迎えする。


「皆、おはよう」


「「おはようございます!」」


さてさて、そして朝議が始まった。まずは今週のお国関連の行事の確認とそして半月ほど前に行われた巫女姫による勇者の剣の召喚式の痴態に議題に移った。


「なんでも、召喚式を執り行う際にそこの異界の乙女が、大層な気狂いを起こされて巫女姫様にお怪我を負わせたそうですが…」


内務大臣のおじ様がジロリと沢田美憂を睨んだ。このおじ様はナッシュ様派なのかしら?ああ、いやだ…この世界でも派閥ってあるのねぇ…


議場内がざわつく。さっきまでイチャついていたモヤシと沢田美憂は今はお互い離れて身を固くしているようだ。この瞬間でも抱き合っていたら流石にその神経を疑う所だ。


次はバウントベリ宰相が手元の資料を読み上げた。


「異界の乙女はここに来られて一月以上経ちますが…いかがですかな?剣を授けるお気持ちはあられるのですかな?」


ひえええっっ!…自分の事じゃないのに冷や汗がドッと出る。これってなんて答えれば正解なのよ…


「そう急かすな、バウントベリ。私が慌てなくてもよい…と言ってあるのだ」


モヤシがナイスフォローを入れてどうやら事なきを得たようだ。沢田美憂は明らかに顔を引きつらせている。なんだか段々「舞台女優」の仮面被れ無くなってない?しっかりしなよっ。


「時々、言葉が分からないと騒いでいるようですが…些か頼りないですなぁ…」


うっわっ!軍部の最高責任者、ゼベロッパー大元帥閣下が殺し屋アイズどころか、睨んだだけで魔人でも殺せそうなメデューサアイズで沢田美憂を一睨みした。カッチーン…沢田美憂もさすがに固まっている…


ゼベロッパー閣下は第一部隊の隊長も兼任されていて、顔は怖いけど気のいいおじ様で…私は好きだけどね。


そして…議題は一昨日、討伐遠征を終えた第三部隊の討伐報告と…問題のエフェルカリードの召喚の話になった。ナッシュ様が静かに手を挙げられた。


「僭越ながら…私は偶然にも魔を払える剣を手に入れました」


議場が最高潮にざわつく。静粛に静粛に!と宰相様が叫んでいる。沢田美憂を見てみた。まさに驚愕と言った表情をしている。横のモヤシなんて真っ青だ…クリッシュナ様も愕然としている。


「一度、御見せ致します」


ナッシュ様はヒラッと卓上を飛び越えると議場の中央に立った。そしてヨジゲンポッケの口に手を差し入れた。空気が変わる…どんどん気配が濃くなる…何だろう神聖な何かなのかな。


そしてヒラリ…と剣を出した。…相変わらず…え~となんて言ったかしら…中二病?みたいな剣ね。


おおおっ!と、お歴々の方々からどよめきが起こる。確かにすごい剣だものね。魔力のある者なら誰でもこの剣の不思議な圧?のようなものを感じるはずだ。


しかし、どうも納得いかないわ…もっと威風堂々とした…アーサー王のエクスカリバーとかの方が良かったかしら…と言ってもエクスカリバーがどんな姿形かは知らないけど。


「ご覧の通り…歴々の方々ならコレの異質性が分かられると思いますが…取り敢えずこれで魔人も一振りで屠れますので、先だってより頭の痛い案件である…ガンドレア周辺の魔の眷属の殲滅作戦に用いてみようかと検討中であります」


水を打った静けさである…議場内はナッシュ様の声しか響いていない。すると突然、フロックスパパが手を挙げてやや前のめりにこう叫んだ。


「しばし待たれよっ!ということはまるで、ナッシュルアン皇子殿下が伝承の勇者のようではありませんか!?」


ああ、そう来たか…これもナッシュ様との話し合いで頭の痛い事項として挙がっていたのだ。まず間違いなくこの剣を出せば食いついてくる連中がいると…ナッシュ様を持ち上げ、モヤシを扱き下ろす材料にするはずだと…


ナッシュ様そして私も…表舞台に立つつもりはない。そのつもりなのだが…これ言う予定だったっけ?討伐の際に魔を払う魔道具の開発ヒントを得たから新たに剣を作ったことにする…って言ってなかった?どういうことよ?


「ナッシュ様っ…」


小さく呼びかけた。するとチラリと私を横目に見たナッシュ様は悪よのぅ~な顔をしていた。


何か企んでいるの?私は座り直した…きっとお呼びがあるなら声をかけるはず、私は大人しくしていればいいのよね?そういう気持ちを込めてもう一度ナッシュ様を見ると…一度頷いてくれた。


「ナッシュ…そちはどう思う?勇者の兆しのようなものは感じるか?」


国王陛下は真っ直ぐにナッシュ様を見ていた。


「さあ……()()()()()()()()かも不明ですしね…」


え?と私が思った時に沢田美憂が立ち上がった。


「私ですっ!私が出しましたっ!勇者の剣ですっ!」


議場に居たすべての人が仰天した。沢田美憂は頬を紅潮させてゆっくりと議場の中央へ進み出てきた。


ああ!そうかっ!私はその沢田美憂の顔を見て悟った…


沢田美憂は先ほどから内務大臣や大元帥閣下に抓られて内心随分焦っていたはず…今、目の前には誰が出したか分からないすごい剣がある…これに飛びつかない訳がない。


そう、自分が出したことにしてリディックルアン皇子殿下からナッシュルアン皇子殿下へ鞍替えをしたのだ。


でも今はナッシュ様に乗っかったらいけないんだよっ…不味い…それは悪手だよ。


沢田美憂あなたはリディックルアン皇子殿下だけの異界の乙女でいなければいけないの。


どうするんだろうコレ…不安になってナッシュ様を見た。


物凄い慈愛の表情で沢田美憂を見ているのだけど…?何それ?むかつくんだけど?


「そうか!君が出したのか!良かったなっリディック、これで君の剣もすぐ出して貰えるよ!」


驚愕した…な…なんですって…?ナッシュ様は慈愛の表情のまま沢田美憂に極上の笑みを向けた。


「だって私は勇者ではないけど(・・・・・・・・)剣を出してくれたし本当の勇者(・・・・・)ならもっとすごい剣をだしてくれるよっ!良かったな」


「そんなバカな、ナッシュルアン様、勇者ではないのですか?」


フロックスパパがなおも食い下がる。ナッシュ様は沢田美憂の肩を抱いた。おいっ!


「勇者って自分で勇者だって分かるものなのだろ?だってリディックは分かるみたいだしな!生憎と私は全然分からないからね」


なるほどだっ!本当だ!思わず自称勇者、リディックルアン皇子殿下の顔を見る。モヤシは深く頷いている。お前本当に分かっているのか…?


「私は勇者の兆しもないし…とても勇者とは自分で思えないけど、リディックは勇者だものな!本当良かったよ~いや~良かったよ!」


ナッシュ様は静かに沢田美憂から離れた。そして無表情になるとこう言った。


「早くリディックに出してやれよ、異界の乙女」


これはもしかして…ナッシュ様…相当お怒り?ナッシュ様は一度、国王陛下に頭を下げると


「以上で報告終わります!」


と軽やかに言ってスキップでもしそうな勢いで席に戻って来た。


「終わった~ああ疲れた…」


沢田美憂はワナワナと震えながらこちらを睨んでいる。いや…私を睨んでも仕方ないでしょ?この斜め前に座る極悪腹黒を睨みなさいよ。


「そうかっミユ!やっと剣を出せるようになったんだな!心配していたのだぞ?調子が悪いとずっと言っておったし…」


うわわっ…嘘でしょう?思わず俯いて笑いをこらえてしまった…なんてタイミングで爆弾を沢田美憂に投げつけるんだぁこのモヤシは!


見ればナッシュ様とフロックスさんも俯いて肩を震わせている…おまけに国王陛下まで少し半笑いだ…もしかして気が付いている?


沢田美憂は真っ青になって目をウロウロと泳がせてナッシュ様に視線を止めた。そして走り込んで来た。こわっ!?目が血走っているよぉ…


「剣を今すぐ出してっあなたの剣をっ…早くっ!」


「え~だって私は自分で剣を召喚出来ないよ?あなたが自分が出しました(・・・・・・・・)て言ったじゃない?早く出してあげてよ~」


言った…確かに自分が出しました…と言ってしまっているよ、沢田美憂…


そう…沢田美憂にはこの剣が今だけ(・・)出現してすぐ消えるのか…はたまた消えないのか…分からないはずだ。


沢田美憂の後ろからリディックルアン皇子殿下の呑気な声が聞こえる。


「ミユどうした?早く出してくれ!ここで皆に見て欲しいのだ!」


沢田美憂はナッシュ様の前の卓上に突っ伏した。体がブルブル震えている。このままじゃ…と私が動こうとするとナッシュ様に体を抑え込まれた。


「堪えていろ」


それですべてを悟った。すると今まで黙っていたクリッシュナ様が立ち上がった。


「リディック…一度剣を召喚すると乙女の力が大幅に減少するのですよ、今は剣の召喚は無理でしょう。さあ乙女を少し休ませてあげなければね」


そう言ってリディックルアン皇子殿下を誘い、目線で恐らく自分の派閥?の臣下だろうに沢田美憂の体を無理やり立たせると議場から連れて颯爽と出て行った。


「ナッシュルアン…」


「はい…陛下」


「本当は誰が出したのだ…」


「さあ、神でしょうか?」


「…だろうな…さあ次の議題だ」


親子ふたりの短いやり取りの後、朝議は再び動き出した。


朝議後…私は詰所奥のキッチンにナッシュ様を連れ出した。ええ、ええ…怒ってますとも。


「最初から…計画されていたのですね?」


「なにを~?」


私はコロンド君が買って来てくれたクッキーを、頬張りながら恍ける腹黒を睨みつけた。


「あの茶番です」


「いや思いついたのは二日前、遠征から帰って来た時」


なんだ…割と最近じゃない。でもなんで?


「ここへあの女が乗り込んで来ただろう?あの時のあの女の様子で、大体の性格は分かった。アレは自分に利がある方へ靡く性格だ…私が剣を出せば必ず自分が名乗り出ると思っていた。もし乗って来なかったとしても、あの女が剣を出せない乙女だとばらしてしまえばいい…と思った。まあ今回はリディックの反応も見たくて乙女に頑張ってもらった訳だけどな~」


私は思わず目を瞑った。完璧だ…沢田美憂の性格を読み切っている。


「いい加減、私だってリディックの態度で腹に据えかねているのだ。自分から言い出したとはいえ、いつまでもリディックの思うようにはさせない…させられない。あいつが第一皇子、ましてや未来の皇太子足る自覚があるのか…見極めたかった」


目を開けてナッシュ様を見た。まっすぐに私を見ていた。怖い目…


「見極めてどうでした?」


「私の認識が甘かったのかな…時が経てば、治世を読める皇子に成長すると思っていた」


ああ…ナッシュ様はここでリディック様を見限ってしまったのか。なんて恐ろしい。いえ…統治者としては素晴らしい判断だわ。綺麗事では済まされない…私だって規模も世界も違うけど決断して見極める立場にいたもの…痛いほど気持ちが分かる。情けだけでは守れないものもある。


「もう一つお聞きしても宜しいでしょうか?」


「許す」


「私に黙っていたのはどうしてですか?」


そうこれが一番許せない…私は隠し事しないで全部ナッシュ様に相談すると決めてるのに…


「言えばアオイの事だ、晒し者はダメだと反対するだろうし、もし許可したとしても最後の取り乱したあの女を見れば庇おうと動くだろうと思った」


これもズバリ当たっている。その通りだ…ナッシュ様に制されなければ助けに入っていた。


「私はなぁ自分のモノが(けな)されるのは好かんのだっ」


ナッシュ様は途端に憮然とした顔で私を睨んでいる。なんで睨むの?


「あの女っアオイを馬鹿にしたっ。これが許せるわけがないっ!まだ足りないくらいだっ!」


ああっ…やだっ…もうなに~?そういうことかっ!理由が分かれば現金なもので、嬉しいやら恥ずかしいやらでパニックだ。そう…怒ってくれたの?もちろんあのモヤシの見極めをしたかった事もあるだろうけど…やっぱり私の為に怒ってくれたのは嬉しい。


「あぁ~泣くな泣くなぁ…よしよし」


ナッシュ様の腕の中に包まれる。ああ…やっぱりピッタリくる感じが気持ちいいっ。あら…私のおでこや頭や鼻先にナッシュ様の口づけが落されているけど…挙句に唇にまでナッシュ様の唇が触れて来てますが…いやちょっと待って?


「調子に乗らないで下さいっ!」


私のボディブローが綺麗に決まった。


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