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飾り扉の使い方  作者: へたすん
29/55

魔剣士の力

今年もキッチリやっていきましょう

舞台の端からブロードは戦いを眺めている。

「あれ、どうなんってるんです?」

話しかけたのは傍に立っているフェリールだ。

中央ではリヴィと土人形が戦いを繰り広げている。


「我と戦う夢を見ておるのじゃよ」

「夢、ですか?」

「あの者の目には我が戦っておるように見えておるだろうな」

リヴィによって土人形が倒されると新たな土人形が襲いかかる。

「倒すまであのままで?」

「あの者が幻術を破らなければそうなるが…そこまで弱くはないようじゃの」


新たに切り捨てた土人形を眺めるリヴィ。休む間もなく新たな土人形が襲いかかる。

「ふざけんなぁ!」

彼女が怒鳴ると体から魔力が溢れ出して体を包むと同時に髪を束ねていた紐が切れて髪が広がる。

周囲を見渡した後にこちらに気がつくとリヴィは地面を剣先で削りながら歩き出す。

襲いかかる土人形は一太刀に切断され崩れ落ちた。


「見つかりましたね」

「見破った、という方が正しいな」

「随分とお怒りのようですよ?」

視線に殺意が込められていてブロードは逃げ出したい気持ちになっている

「なに、もう少し遊んでやるさ」

「アレ、殴ってどうにかなるものじゃ無いですよね?」

「怒りで暴走しておるな」

「い怒りの副長…大きく怪我しても戦い続けるとか聞いた気がしますよ?」

「これからは速度が上がるでな、巻き込まれぬように気をつけるのじゃぞ」

突如姿を消したリヴィがフェリールの前に現れ両手で剣を振りあげるも、フェリールは片手に持った剣でそれを受け止める。遅れてガチリと剣がぶつかる音が響く


「ほれ、真ん中に戻るのじゃ!」

縦を持っていた側の片手で胸ぐらを掴むと引き寄せてから舞台中央へと放り投げる。

空中で姿勢を直して着地するリヴィに今度はブロードが攻め込む。

「そぉら!受けられるか!」

走り抜ける勢いでの刺突をリヴィは体を回転させることでそれをかわしながら反撃に移る。


「ォラァ!」

リヴィの剣が突如漏れ出すように炎を撒き散らすとフェリールは盾で受け止めることをやめて飛び上がり薙ぎ払う剣を回避する。

「まだまだァ!」

空中に上がったフェリールが落ちてくる瞬間を狙いリヴィの剣が振り上げられる。

漏れ出す炎は勢いを増し刀身の全体を覆うほどに増えている。


そのまま落ちれば両断されると思われた時、突如フェリールは空中で落下を止めた。まるで背中を紐でつられたかのように体を曲げ跳ね上がるようにリヴィの剣筋から逃れる。

リヴィが呆気に取られながら空振りをすると思い出したかのように落下を始めて着地する。

振り切ってのけぞったリヴィにフェリールは前蹴りをくらわせる。守る余裕もなく腹に攻撃を受けたリヴィは体をくの字に曲げながら地面を転がる。


「そろそろ終わらせるぞ。覚悟は良いな?」

咳き込みながら起き上がるリヴィにフェリールは剣を向けて宣言をした。

「ゲホッ。勝つのは、私だ」

荒く息をしながら吐き出すように言葉を返すリヴィ。

「次のはちぃと過激だぞ!」

少しの呼吸を置いて駆け出すフェリールに、会場はまだまだ盛り上がっていく。






リヴィを飛び越す勢いで高く飛び上がったフェリールに、リヴィは警戒を緩めることなく剣を頭より高く構える。

空中で体を捻ったフェリールは空を蹴ることで方向を変え直線的にリヴィへと切りかかる。

リヴィの目は驚愕に見開かれるがすぐに戻されてフェリールを見据える。

頭上から振り下ろされる剣を横に逃げる事でかわすとフェリールは地面を蹴って向きを変えてリヴィを追いかける。体制の悪いリヴィは打ち上げるようにフェリールを蹴り飛ばす。

蹴りあげられたフェリールは回転して向きを変えるとまた空中を蹴り飛ばして垂直に落下してリヴィへと向かっていく。

「チッ」

舌打ちをしたリヴィは足を1歩開いてからそれを受け止める。

鍔迫り合いは地に足をつけたリヴィが勝った。振り払うようにフェリールを押し返したリヴィはすぐに体制を整えて追撃へと移る。

未だ燃え盛るように炎がまとわりついた剣で切りかかると、あろう事かフェリールは素手でそれを受け止めた。


「なんだと!?」

フェリールに掴まれた剣はピクリとも動かず、持ったまま距離をとることは出来ない。

ゾクッとした嫌な気配を感じ取ったリヴィは手を離して素早く離脱する。

「思い切りの良さはなかなかじゃな」

にやりと笑うフェリールが剣を後方に落とすように投げ捨てると剣を包んでいた炎は床を少しだけ焦がしてから消え去った。

「さて、武器のなくなった剣士には何が出来るかのぅ?」

フェリールは両手の装備を消しながらリヴィへと話しかける

「道具がなくとも!戦うことは出来る!」

リヴィは拳を握って殴りかかろうと体重を前へと動かすが、突如体が固まりそれ以上前に進むことはできなくなる。


「何を……」

動かすことの出来ない体に動揺しながら辛うじて呟いた言葉は続けることができなかった。

「わからんか?魔法使いのすることといえばひとつであろう?」

リヴィを中心として足元には幾何学模様が広がっていく。

「動かれると死ぬかもしらんからの。そこで大人しくしておくのじゃな」

足元に作られた魔法陣。それが完成すると同時に舞台の上は急激に温度を下げる。

「極地に根付く氷の華、堅き大地に咲き誇れ。【アイスガーデン】」

フェリールが魔法を唱えるとリヴィの足元から氷が生え、結晶の花を咲かせる。それらは侵食するように舞台全体へと広がり氷でできた花畑を作り出す。

動くことの出来なかったリヴィにはツタが這うように氷が伸び、その体を拘束していく。

幾重にも重なった蔦に覆われて姿を隠すリヴィ。

リヴィのいた場所には高さ3mほどの花が聳え立つ様に咲いている。


フェリールがパチンと指を鳴らすとその大きな花に亀裂が入り、振り返って背を向けるとひときわ大きな炸裂音を響かせながら砕け散っていく。

細かくなった氷の結晶は空へと向かって舞い上がり、花に閉じ込められていたリヴィは力なく崩れ落ちた。

フェリールが足元に咲いた氷の花を踏み鳴らして歩きながら兵士へ合図を送る。気が付いた兵士はリヴィの元へと駆け寄り確認をすると勝敗を叫ぶ。

「リヴィ戦闘不能!よって勝者、魔法使いフェリール!」

残された氷の花畑と、舞い上がった氷の結晶により舞台は幻想的な雰囲気に包まれており、その中で拳を突き上げたフェリールは……


とても綺麗だった

振り返るとなんでこんなに伸びてるのだろうなって思ってます。

予定では10話くらいのはずだったんデスケドネ…

何故か終わりません。

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