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飾り扉の使い方  作者: へたすん
28/55

赤土の副長

「なんであの人が参加してるんだ……」

試合会場へと戻った二人。舞台上で待つ女性にブロードは心当たりがあった。

「なんじゃ、知り合いか?」

フェリールは段を上がる足を止めてブロードを見る

「冒険者では有名人ですよ。王都に拠点を置いてる赤土の旅団、その副長ですから」

「強いのか?」

「実務の団長に戦闘の副長って言われてますからね、強さでは組織最強なんじゃないですかね?」

「ふむ?それは楽しみじゃな」


再び登り始めたフェリールにブロードはあわてて声をかける

「彼女の事は言わなくても?」

「なに、負けはせぬから問題は無い」

「なら一つだけ!彼女は勝てないからって辞めるような性格じゃないですからね!」




「決勝戦、魔剣士リヴィ対魔法使いフェリールの戦いを始める!」

向かい合う2人の間で兵士が片手を挙げた。

「始め!」

兵士が手を振り下ろして立ち去ると会場からは大きな声が上がる

「魔法使いってのは近接でも戦えんのか?」

赤い髪を後ろに束ねた女性、リヴィが口を開いた。長さ1mほどの直剣を右手で持ち、反対の手には指先から肘までを覆うほどの細長い盾が握られている。

「魔法というのは便利でな、どんな戦い方もできるのよ」

不敵に笑いながらフェリールはリヴィと似ている直剣と盾を生成して構える。

「そうかい?それはいい。さっきの相手が弱くてな、不満が溜まってんだよ!」

言い終える前に踏み込んだリヴィ。剣は最短でフェリールの喉元へと吸い込まれるように伸びていく。


「せっかちは嫌われるぞ?」

盾で切っ先を逸らしながらフェリールは話す。

「今が楽しければいいんだよ!」

盾に触れている場所を軸に、持ち手を突き出すように押し込むと剣を滑らせて軌道を変えるリヴィ。

胴体へと流れた剣にフェリールは逆手に持った剣で地面へと打ち下ろす。

叩き落とされる剣が地面へと当たる前に軸足を踏み込んで剣を引き上げるリヴィ。その間にも左手の盾でフェリールの盾を弾き上げるようにぶつける。


打ち上げられる勢いを後ろに逸らしながらフェリールは1歩距離を取る。

リヴィは振りあげようとした剣を体に引き寄せながら後ろに回しつつ、距離を詰めつつ体を捻りながら回転させて勢いよく剣を振り下ろす。

角度のついた振り下ろしに対してフェリールは体を地面へと落とすことで剣筋から逃れつつ剣で受け流す。


「楽しいねぇ!」

特に攻めるでもなく受け流し続けるフェリールと、休む間もなく攻め続けるリヴィ。

動きが変わり攻め方が変わり体制が変わるも確実に受け流す戦いに会場はますます盛り上がっていく。

「どこまで続くか見ものじゃな」

淡々と作業のように受け流しなながらフェリールは落ち着いて対処していく

「すぐに終わってくれるなよ?」

薙ぎ払われた剣を踏みつけながらフェリールは嘲笑う


「当然、まだまだこれからさ!!」

盾を振り払って距離を取るリヴィ。フェリールはそれを黙って見逃した。

「ふぅ、そろそろ準備運動は終わりだぜ」

「次はどんな攻め方で来るのかのぅ?」

手に持った剣を振り回しながら退屈そうにフェリールは言う。

「大技はあんま持ってないけどな、全力で飛ばしていくぜ!!」

突如速度を上げたリヴィが目にも止まらぬ速さで駆け抜けながら件を振るうと、フェリールは防ぐ間もなく上下に分断されてしまう。


「あん?これで終わり?」

崩れ落ちたフェリールの体を見下ろしながらリヴィはため息を吐いた。

「言ったであろう?魔法はどんな戦いでもできるのよ!」

突如背後に感じる気配に慌てて盾を構えると、盾ごと吹き飛ばす程の威力でフェリールの蹴りが炸裂した。

気を抜いた瞬間ともあり不十分な体制で受けてしまったリヴィは勢い良く地面を転がってゆく。

舞台の端でようやく止まって立ち上がったリヴィは変形して使えなくなった盾を投げ捨てながらフェリールの方を睨んだ。

「戦いの最中に気を抜くからじゃな」

ふたつに割れて崩れ落ちたフェリールがいた場所、そこには土の山が残されている。

「よかったのぅ、これが魔物相手でなくてな!」

深く息を吐いて呼吸を整えるリヴィ。始めてフェリールから受けたダメージもあまりひどくは無い。

「次は見逃さねぇからな!」

リヴィの瞳には強者と戦える喜びが浮かんでいた。

駆け出したリヴィをフェリールは正面から迎え撃つ。


太陽は建物の影に消えようとしているが暗くなるにはまだまだ時間がある。

決勝戦の戦いは更に盛り上がりを見せていた。

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