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飾り扉の使い方  作者: へたすん
10/55

フェリールの戦い方

「ふむ。これだけ扱えれば十分じゃ」

ゲートの魔法の派生先である時空属性の魔法。離れた場所へ移動するなどのいくつかの魔法の訓練を数時間ほどおこなった後、フェリールが満足そうに頷いた


「我が使えるいくつかの魔法を見せてやろう」

フェリールはそう言って何処かへと繋がる扉を開いた。

「どこへ?」

魔法を見るためにわざわざ移動をする意味をブロードは見い出せなかった

「なに、体術などはその威力も知っておいた方が良いかと思うてな」

つまりは魔物と戦うから見ていろと言うことらしい

「で、この道はどこでしょう?」

扉を抜けた先には見たこともない、宮殿のような場所ではあるが全体的に薄暗く禍々しい雰囲気のある通路だった。

「お前さんらがエルの竪穴と呼んでおった迷宮の主に用があるのじゃ」

指さす先には祭壇のような広場がある。

「い、いきなり最深部に!?」

当然ながら心の準備は出来ていない

「我に任せて見ておけば良いぞ」

「そんなに弱い相手でも無いんですよね?!」

「あまりにも弱すぎれば試すまもなく終わるのでな。ちょうど良いぞ」

すたすたと歩き出すフェリールを慌てて追いかけるブロード。


通路を抜けた先、開けた空間の奥に祭壇のようなものがあり、そこに全身を黒色のローブで多い尽くした人物が何かを唱えている。

2人が部屋の中へ進むと通路が完全に塞がれ、と同時に祈りを捧げていたらしい人物がゆっくりと立ち上がり振り返った。


彼が懐から杖のようなものを取り出すと同時に深く被ったフードはめくれ、骨の顔が現れる

「我輩の名は闇の王エルドリヒ。儀式を邪魔する愚かなる者に制裁を!」

「運良く魔力が拾えたからとはいえ、雑魚は所詮雑魚のままじゃ」

フェリールの挑発にエルドリヒを名乗る魔術師のような骸骨は怒りを顕にする

「眷属よ。王に歯向かう不届き者を駆逐せよ!」

彼が杖を掲げると広場には百をこす魔物が地面より吹き出すように出現する。骸骨騎士や動く鎧、腐乱死体などだ。

それらはエルドリヒの指示によりまとまりなくフェリールに向けて動き出す。

「纏という技術がある」

フェリールは迫る軍勢を警戒すらせずに話し始める

「魔力を体に纏うだけなのだがその技は剣すら弾く」

彼女が右手を前に伸ばすと魔力が炎のように揺らめきその拳にまとわりつく。

剣を振り上げた骸骨騎士がその剣を振り下ろすよりも圧倒的に早く、塗りつぶしたような黒色の魔力を纏わせた拳を叩きつける。

直後骸骨騎士はその後方にいた30ほどの魔物を巻き添えにしながら壁へと届き跡形もなく、まさしく粉砕されたのである。

「む?本調子でなければこんなものか」

吹き飛ばした余波で過半数を再起不能にしながらも、フェリールは不満そうにつぶやくと

「ほれほれ、この程度の数では準備運動にもならぬぞ?」

祭壇の上から見下ろしているエルドリヒを煽っていく


「良いだろう…その余裕、いつまで保てるかな?」

エルドリヒが呪文を唱えるとさらに多くの魔物が呼び出される。中には1回り大きな魔物も混ざっていて質も少しは上がっているようだ。

「纏の応用ともなれば魔力を武器として扱う事もできるのじゃ」

我先にと群がる魔物にもなんの変化もなく講座は続けられる。彼女の手には魔力が剣のように形作られている

「もちろん、長さも自在であるぞ?」

彼女が魔力を込めながら水平に剣を振るうとその刀身が伸びながら魔物の群れを薙ぎ払った。

「このように、な?」

彼女が剣を振り抜いてブロードの方を見るとその背後では魔物の群れが体を上下に切り離されて崩れ落ちていく。

その奥では祭壇すらも切り捨てられ壁には切り裂かれたであろう傷跡が残っている。エルドリヒは崩れた祭壇に巻き込まれながら落ちていった。

「わ…我輩は王であるぞ…」

エルドリヒが瓦礫から這い出て呪文を唱え始める

「させぬよ」

気が付けばフェリールの右腕がゲートを通り何処かへと消えている。よく見るとエルドリヒの首元に白い指が巻きついているのが見て取れる

「そして我の最も得意とする魔法にな、こういうものがあるのじゃ」

【エナジードレイン】

彼女が魔法を唱えると骸骨の奥に揺らいでいた炎は消え去り、言葉を残す間もなく、砂のようにボロボロと崩れ落ちていったのである。


「どうじゃ!すごいじゃろ?」

お前さんにも同じことが出来る。精進するのじゃぞ?

彼女の目がそう語っている

誤字脱字は感想より。

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