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始獣神ミアキスの神話

作者: 二月

獣人の神話(カトゥス族に伝わる話)

始獣神ミアキスの話



母なる全祖ミアキスが地に降り立った時、この世には虫と魚しかいなかった。


ミアキスはそれを憂い、自身の毛皮と爪、それと牙のかけらを用いて、猫をお創りになられた。猫は賢く俊敏で、虫や魚をよく獲った。ミアキスは猫の出来にたいそう満足され、その初めの猫を、フェリスと名付けられた。

猫たちの数が増え始めたころ、ミアキスが様子を見てまわっていると、痩せ細りお互いに身を寄せ合っている数頭の猫を見つけた。ミアキスは虫を何匹か生きたまま捕ってくると、その猫たちに与えてやった。しかしどの猫もうまく虫を獲ることができなかった。見ると、せっかく与えたはずの爪が、小さく短くなってしまっていた。

「自分だけで獲物が取れないなら、群れで狩りをすればよい」

そういってミアキスは、以前はかけらで与えてやった牙を、今度はかけらでなく与えてやった。

こうして犬ができた。犬は群れで狩りを行い、獲物を得られるようになった。ミアキスは犬に満足され、この初めの犬をルプスと名付けられた。


しだいに猫と犬は数を増やし、餌である虫や魚が足りなくなってきた。そこでミアキスは再び自身の毛皮や体の一部を用いて、猫や犬たちの餌となる獣をたくさん創ってやった。毛皮と歯を用いて鼠や兎を、毛皮と角を用いて鹿や牛をお創りになり、それらが猫や犬と食べ物を争わないよう、それらには草を食ませることにした。猫と犬はとても感謝し、ますます数と種類を増やした。


その後、ミアキスは水辺に行き、魚たちを呼び寄せた。大きな魚と、中くらいの魚と、小さな魚と、とても小さな魚が集まった。ミアキスは、大きな魚に牙を、中くらいの魚に毛皮を、小さな魚に爪をお与えになった。大きな魚は鮫に、中くらいの魚は鳥に、小さな魚は蜥蜴になった。とても小さな魚には何も与えられなかった。

とても小さな魚はミアキスに訴えた。

「尊いお方、あなたの呼びかけに応えてここへ来ました。なぜ私には何も与えてくださらないのですか」

ミアキスは答えた。

「お前はまるで虫のように小さい。私の一部を与えても、きっと何もできないだろう」

ミアキスはそのまま水辺を去った。


とても小さな魚は悲しみ、かつての他の魚たちを羨んだ。そこでとても小さな魚は蜥蜴のもとへ行き、爪を分けてくれないかと頼んだ。しかし蜥蜴はそれを拒んだ。

次にとても小さな魚は鳥のところへ行った。毛皮を分けてくれないかと頼んだが、鳥はそれを拒んだ。

最後に、とても小さな魚は鮫のところへ行った。牙を分けてくれないかと頼んだが、鮫はそれを拒んだ。とても小さな魚はそれを聞き、自分には何も得られないと知って、他の魚たちを激しく妬み、恨んだ。

そして、とても小さな魚は、鮫から牙を一かけらだけ盗んだ。


ミアキスはこれを知って激怒した。ミアキスはとても小さな魚の体中のひれをすべて噛み千切ったが、しかしとても小さな魚は牙を手放さなかった。ミアキスは怒り狂い、この先生まれるすべての生き物からこの者が忌み嫌われるよう呪いをかけた。こうしてとても小さな魚は蛇になった。

こうして蛇はすべての生き物から忌み嫌われ、手足がないため地を這うようになったという。





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