98/297
第97首 雨に試す心
かきくもれ たのむるよいの むらさめに さわらぬひとの こころをもみん
曇って雨でも降らないかな。
綺麗な夕焼け空を見ながら思う。
あの人が行くよと約束した今夜。
その約束がどのくらいのものか試してみたいんだ。
わたしへの気持ちが確かなら、にわか雨くらい、何の障害にもならないはずでしょ。
【ちょこっと古語解説】
○たのむる……元の形は「たのむ」で、期待させる、の意。ここでは、やって来ることを期待させる、ということ。
○村雨……にわか雨。
○さはら……元の形は「さわる」で、妨げられる、の意。
○む……意志を表す助動詞で、「~しよう」の意。
かきくもれたのむる宵の村雨にさはらぬ人の心をも見む(続古今和歌集)




