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第95首 紅葉の想い
かんなびの いわせのもりの はつしぐれ しのびしいろは あきかぜぞふく
まるで神が降りて来そうな清らかな森の中。
秋風が今年初めての時雨を招き、雨滴に洗われた木の葉が赤く染まる。
そんな風に、時に従うようにして、わたしの気持ちも自然と表に現れてしまった。
ずっと忍んでいた思いが口をついて。
【ちょこっと古語解説】
○神なび……神が天から降りて来てよりつく場所。
○磐瀬の森……諸説あり。一説に、奈良県生駒郡斑鳩町稲葉車瀬にある森とか。
○時雨……晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりする冷たい雨。
神なびの磐瀬の森の初時雨しのびし色は秋風ぞ吹く(続古今和歌集)




