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ワカコイ ~恋の和歌~  作者: coach
色色の歌
92/297

第91首 月を恨んで

こぬひとに よそへてまちし ゆうべより つきちょうものは うらみそめてき

 なかなか来てくれないあの人を、なかなか現れない月にたとえてみた。

 来ないあの人、現れない月。

 あの人を待ちながら、月を待つ。

 あの人も来ないし、月も出ない。

 もしか、あの人が来ないのは、月が現れないから。

 月が現れれば、あの人も来てくれる。

 それなのに、月は出ず。

 その頃からだ。

 わたしが月を恨み始めるようになってしまったのは、


【語句解説】

よそえ……元の形は「よそう」で、「たとえる」の意。

てふ(ちょう)……「という」の意。

来ぬ人によそえてまちし夕べより月てふものは恨みそめてき(続後撰和歌集)

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