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第87首 深く秘めた
いかでかは とりのなくらむ ひとしれず おもうこころは まだよぶかきに
にわとりの声が、けたたましく朝を告げる。
おかしいな、まだ夜深い時刻のはずなのに。
あなたを思う気持ちは、まだ秘められたまま伝えられず、この思いが伝わらないうちに、夜が明けてしまうなんて。
【ちょこっと古語解説】
○いかでかは……「どうして」の意。
○鳥……ここでは、にわとり、のこと。
○らむ……「~しているだろう」という、現在の推量を表す語。
○人……和歌の中で出てきたら、「好きなあの人」の意で取る。
いかでかは鳥の鳴くらむ人しれず思う心はまだ夜ぶかきに(続後撰和歌集)




