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第86首 逢瀬を祈る
あうまでの こいぞいのりに なりにける としつきながき ものおもえとて
何度も思いを告げたけれど、彼女は首を縦に振らない。
だからと言って、はっきり拒絶するわけでもない。
延々と恋心を伝え続けた結果、ぼくのこの思いはもう祈りのようなものになってしまった。
彼女と結ばれますように。
この祈りがかなうのかどうか。
長い間かなわぬ恋に苦しめばいいと、言わんばかりの彼女の態度を変えることができるのかどうか。
【ちょこっと古語解説】
○逢う……単に会うということではなく、男女が会って一夜を共にすること。
○とて……「と言って」「と思って」の意。
逢うまでの恋ぞ祈りになりにける年月ながき物思えとて(続後撰和歌集)




