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第82首 約束を命に
かたいとの あわずはさてや たえなまし ちぎりぞひとの ながきたまのお
より合わせていない糸は、すぐに切れてしまいます。
あなたに会えなかったら、同じようなはかなさで、わたしの命も絶えてしまうことでしょう。
あなたの愛の誓いこそが、わたしの命をつなぎとめているのですから。
【ちょこっと古語解説】
○片糸……より合わせていない糸。
○ずは……「もし~でなかったら」の意。
○さて……そのままで。
○まし……「もし~なら」という仮定を受けて、「―だろう」とする仮定の帰結を表す。
○契り……約束。ここでは、男女間の愛の約束のこと。
○玉の緒……美しい宝玉を貫き通す紐。人の魂と肉体をつなぎとめるための紐という意味もあり、ここではその意。
片糸のあわずはさてや絶えなまし契りぞ人のながき玉の緒(新勅撰和歌集)




