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第79首 夢中のまま
いかにせん いまひとたびの あうことを ゆめにだにみて ねざめずもがな
どうしよう、ああ。
もう一度だけ、あの人に会いたい。
現実で会うことができないなら、せめて夢の中ででも。
もしも夢で会えたらそのまま、永遠に寝ざめなければいいのに。
【ちょこっと古語解説】
○いかにせん……「いかに」は、「どのように」の意。「せ」は、するを意味する「す」を表し、「ん」は、意志を表す。全体で、どのようにしよう、くらいの訳。
○逢う……単に会うことではなくて、会って一夜を共にすることまで含む。
○だに……「せめて~だけでも」の意。
○もがな……「~であればなあ」の意。
いかにせん今ひとたびの逢うことを夢にだに見てねざめずもがな(新勅撰和歌集)




