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第8首 出会う前に
こえぬまは よしののやまの さくらばな ひとづてにのみ ききわたるかな
(紀貫之)
県境を越えて、そちらに行くまでの間が待ち遠しい。
桜の花のような方だと人づてにお聞きしています。
いざお会いするまでは、その噂をたよりに、あなたのことを思い続けましょう。
【ちょこっと古語解説】
○吉野の山……吉野山。奈良県にある山。桜の名所。
○人……ここでは第5首、6首と違って、「他人」の意の人。
○わたる……元々は「移動する」の意だが、ここでは別の動詞にくっついて、「~し続ける」という意味になっている。「聞きわたる」で「聞き続ける」となる。
越えぬ間は吉野の山の桜花人づてにのみ聞きわたるかな
(古今和歌集)