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第78首 夢見て一人
おもいねの われのみかよう ゆめじにも あいみてかえる あかつきぞなき
きみのことを思いながら眠りにつく夜。
夢路が開けて、それは君のもとへとつながっているようだ。
夢はそこで破れ、ぼくが放り出されたのは、まだ浅からぬ闇の中。
夢の中でさえ、きみと朝まで一緒にいることができないなんて。
【ちょこっと古語解説】
○思い寝……恋人のことを思って寝ること。
○夢路……夢の中で、恋人に会いに行く道。
○見……「見る」とは、単に目にする、ということではなく、ここでは、男女が一夜を共にするということ。
○暁……夜明け前。
思い寝のわれのみかよう夢路にもあい見てかえる暁ぞなき(新勅撰和歌集)




