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第77首 知りたい心
しのぶやま しのびてかよう みちもがな ひとのこころの おくもみるべく
きみのもとへ、人目をしのんで通うことができる道があったらなあ、と思う。
その道をたどってさらに奥へと、きみの心の本当のところまで見てみたいんだ。
きみがぼくのことをどう思っているのか、それを知りたいんだよ。
【ちょこっと古語解説】
○しのぶ山……福島県福島市にある山。この和歌では、「しのび」てかよう、と言いたいがために、詠まれている。
○かよう……男が女の家へ通うこと。
○もがな……「~があればなあ」の意。
○人……和歌で「人」とあったら、「大好きなあなた」くらいにとらえておこう。
しのぶ山しのびてかよう道もがな人のこころのおくも見るべく(新勅撰和歌集)




