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第75首 晩秋の風に
ふくからに みにぞしみける きみはさは われをやあきの こがらしのかぜ
吹くとすぐにわたしの身を震わせる風。
それはただその風が秋の冷たい木枯らしだからというだけじゃなくて、この頃のあなたの態度がつれないから。
そう、あなたはわたしに飽きてしまったのね。
【ちょこっと古語解説】
○吹くからに……「からに」は、「~するとすぐに〔同時に〕」を意味するので、全体で、「吹くとすぐに」くらいの訳。
○さは……それでは。
○あき……「秋」と「飽き」が掛けられている。「『秋』の木枯らしのような冷たい態度を取るのは、わたしに『飽き』たからなのね」くらいの含みを持たせている。
吹くからに身にぞしみける君はさは我をやあきのこがらしの風(新勅撰和歌集)




